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シルバーライフは上値試す、19年7月期大幅増益予想
- 2019/7/26 05:01
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
シルバーライフ<9262>(東マ)は後期高齢者向けに特化して配食サービスを展開している。FC本部としての調理済食材販売が主力である。19年7月期大幅増益予想である。20年7月期も収益拡大を期待したい。株価は6月の年初来高値から反落したが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。
■高齢者向け配食サービスを展開
自分で調理することや買い物に行くことが困難な一人暮らしなど、要介護の後期高齢者向けに特化して配食サービスを展開している。
販売(事業)区分は、FC本部として加盟店に調理済食材を販売するFC加盟店事業、高齢者施設等に調理済食材やチルド弁当を販売する高齢者施設等事業、宅配弁当業者などから相手先ブランドの冷凍弁当を受託製造するOEM事業としている。
18年7月期の事業別売上構成比は、FC加盟店事業が73%、高齢者施設等事業が17%、OEM事業が10%だった。主力のFC加盟店事業ではロイヤリティを受け取るが、大部分が調理済食材の売上である。
特徴・強みとしては、要介護の後期高齢者向け配食に特化していること、普通食からやわらか食まで低価格かつ豊富なメニューを用意していること、FC本部として調理済み食材販売を主力としていること、配食サービスで求められる多品種ランダム生産に対応したフレキシブルかつローコスト製造のノウハウを蓄積していること、管理栄養士による商品開発から、自社工場(一部外注)による製造、冷凍・冷蔵倉庫における保管、FC加盟店による配達まで一気通貫で展開していること、さらに高齢者の自宅まで届けるFC加盟店の配達ネットワークを活用して周辺ビジネスにも展開できることなどがある。
■配食サービス店舗数1位
主力のFC加盟店事業は、09年4月開始の「まごころ弁当」と、14年2月開始の「配食のふれ愛」の2ブランドで展開し、調理済み食材を販売している。18年3月には一部のFC加盟店において、オフィス向けランチ宅配弁当「楽らく弁当」の販売も開始した。
18年7月末時点のFC店舗数は「まごころ弁当」381店舗と「配食のふれ愛」245店舗の合計626店舗(17年7月期末比63店舗増加)である。配食サービスの店舗数として1位規模である。
FC加盟店にとっては低コストで簡単に開業できるメリットがある。FC本部から仕入れた調理済食材を盛り付けて配達するだけの簡単なオペレーションのため、調理経験や大型厨房設備が無くても開業できる。また来店型店舗でないため立地を問わない。このためFC加盟店は順調に増加している。
高齢者施設等事業はサービス名称「まごころ食材サービス」で、調理済み食材やチルド弁当を販売している。18年7月末時点の契約施設数は4406施設(17年7月期末比1301施設増加)である。民間配食業者の効率的な食材販売サービスへの需要が高まり、新規契約が増加基調である。なお配達はFC加盟店の配達ネットワークを利用している。
OEM事業は、宅配弁当業者などから相手先ブランドで冷凍弁当を受託製造している。18年4月にはヨシケイ開発、18年10月には全国通販と取引開始した。
なお自社直販として、19年4月Amazonで通販を開始、19年6月自社サイト、楽天市場、Yahoo!ショッピング等に販売チャネルを拡大した。
■19年7月期大幅増益予想
19年7月期の非連結業績予想(6月10日に利益を上方修正)は、売上高が18年7月期比17.9%増の77億16百万円、営業利益が45.1%増の8億70百万円、経常利益が43.2%増の9億70百万円、純利益が43.8%増の6億20百万円としている。
第3四半期累計は売上高が前年同期比21.4%増の57億54百万円、営業利益が56.1%増の6億71百万円、経常利益が57.7%増の7億57百万円、純利益が55.9%増の4億66百万円だった。
FC加盟店事業が18.2%増収、高齢者施設等事業が22.1%増収、OEM事業が44.2%増収と伸長し、自社工場での作業工程効率化などによる売上総利益率改善も寄与して大幅増益だった。19年4月末のFC店舗数は18年年7月末比67店舗増加の合計693店舗(まごころ弁当413店舗、配食のふれ愛280店舗)となった。
通期もFC加盟店や契約施設が順調に増加する。事業別売上高の計画はFC加盟店事業が15.3%増の55億11百万円、高齢者施設等事業が29.2%増の14億19百万円、OEM事業が17.0%増の7億82百万円としている。
利益面では、自社工場の作業工程効率化やスケールメリットを活かした価格交渉力などで当初見込んでいた食材価格高騰の影響が限定的となり、配送回数の変更(週5回から週3回に変更)による運賃比率低下も寄与して大幅増益予想である。20年7月期も収益拡大を期待したい。
■生産能力増強して中期的に収益拡大期待
成長戦略としては、積極的なFC加盟店の募集、セカンドブランドである「配食のふれ愛」による店舗網の拡大、高齢者施設等向け新規開拓と継続契約へのフォロー、OEM販売先の新規獲得を掲げている。店舗数は中期的に1500店舗を目指している。
高齢化が進展して後期高齢者人口が増加し、在宅介護へのシフトも追い風となって配食サービスの利用者の増加が予想される。また高齢者施設等においても、調理者不足に伴って外部委託の需要が高まっている。事業環境は良好である。
なお18年4月発表した新工場(仮称:第2関東工場、20年初稼働予定)建設に関しては、計画を作り直すため、修正計画の発表を19年夏ごろ、稼働日を未定に変更している。
新工場稼働後は立ち上げ費用や減価償却費の増加が一時的利益圧迫要因となるが、販売チャネル拡大や生産能力増強で中期的に収益拡大基調が期待される。
■株価は上値試す
株価は6月の年初来高値6370円から反落したが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。7月25日の終値は5710円、今期予想PER(会社予想EPS117円18銭で算出)は約49倍、前期実績PBR(前期実績BPS574円92銭で算出)は約9.9倍、時価総額は約302億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)