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パシフィックネットは収益構造転換して20年5月期も大幅増益予想
- 2019/7/29 05:25
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
パシフィックネット<3021>(東2)は法人向けIT機器LCM(ライフサイクルマネジメント)事業を主力としている。フロー型からストック型へ収益構造を転換した効果で19年5月期は大幅増益・増配だった。そして20年5月期も大幅増益・増配予想である。中期的にも収益拡大を期待したい。株価は上値を切り下げる形となったが、調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。
■IT機器LCM事業が主力
法人向けに、PC・タブレット・モバイル等IT機器の調達・導入から、運用・管理、使用後の排出・適正処分まで、IT機器のライフサイクルをワンストップサービスで提供するLCM(ライフサイクルマネジメント)事業を主力としている。
18年5月期中に店舗撤退を完了し、従来の使用済みIT機器引取回収・リユース販売中心のフロー型から、中長期のIT機器レンタルと関連ITサービスのLCM事業によって、サブスクリプション方式(月額課金収入)中心のストック型へ収益構造を転換した。18年11月にはモバイルノートPC、無制限SIM、Microsoft365、ITサービスをワンパッケージ化した「Marutto365」の提供を開始した。
また17年12月子会社化したケンネットは、音声ガイド用無線レシーバー「イヤホンガイド」を展開している。日本各地の観光スポットや外国人技能実習現場などで採用が拡大している。M&Aアドバイザリ・仲介サービス事業の子会社エムエーピーは、18年7月有料職業紹介事業(人材紹介事業)を開始した。18年12月には、Microsoft社のクラウドサービス分野で高い技術力を有するテクノアライアンスを子会社化した。
19年5月期セグメント別(連結調整前)売上構成比はLCM事業が53%、リマーケティング事業(使用済みIT機器リユース・リサイクル販売および適正処分)が38%、コミュニケーション・デバイス事業(子会社ケンネット)が8%、その他事業(子会社エムエーピー)が0%、営業利益構成比はLCM事業が49%、リマーケティング事業が46%、コミュニケーション・デバイス事業が8%、その他事業がマイナス4%だった。
従来はリマーケティング事業のフロー収益が中心だったため、PC入れ替え時期の影響で第1四半期(6~8月)の収益が低水準となる傾向があったが、今後はLCM事業のストック収益拡大で季節変動が徐々に解消される見込みである。なおコミュニケーション・デバイス事業は観光需要の影響を受けるため、第2四半期と第4四半期(3~5月)の構成比が高い季節特性がある。
■19年5月期大幅増益・増配、20年5月期も大幅増益・増配予想
19年5月期の連結業績は、売上高が18年5月期比5.7%減の41億77百万円、営業利益が30.4%増の3億10百万円、経常利益が32.2%増の3億15百万円、純利益が21.1%増の1億92百万円だった。配当は1円増配の年間21円(期末一括)とした。配当性向は56.5%である。
ストック収益のLCM事業が牽引し、リマーケティング事業の利益率改善、子会社ケンネットも寄与して大幅増益だった。LCM事業は18.2%増収、2.2倍増益だった。ストック収益が順調に拡大した。リマーケティング事業は使用済みIT機器入荷台数減少や店舗撤退の影響で30.6%減収、26.8%減益だが、店舗閉鎖による効率化などで利益率が改善した。コミュニケーション・デバイス事業はケンネットを通期連結(18年5月期は4ヶ月分)して3.6倍増収、3.5倍増益だった。
20年5月期の連結業績予想は、売上高が19年5月期比7.7%増の45億円、営業利益が28.7%増の4億円、経常利益が26.6%増の4億円、そして純利益が30.1%増の2億50百万円としている。配当予想は1円増配の年間22円(期末一括)で、予想配当性向は45.5%となる。
店舗閉鎖に伴う減収要因が一巡し、LCM事業におけるストック収益(サブスクリプションのレンタル・ITサービス)の拡大、Windows7サポート終了に伴うリマーケティング事業における特需、ケンネットの「イヤホンガイド」の需要拡大などが牽引する。先行投資コストを吸収して大幅増益予想である。
■中期経営計画で21年5月期経常利益5億円目標
中期経営計画「SHIFT2021」では重点戦略として、LCM事業の飛躍的拡大によるストック収益強化、生産性向上や新技術への取り組み強化、ESGを意識した経営基盤強化などを推進している。また世界的な廃プラ規制問題を背景として、ITAD(IT機器資産の適正処分)をLCM関連サービスと位置付けて強化する。
目標値には21年5月期の売上高50億円、経常利益5億円、純利益3億30百万円、ROE12%以上を掲げている。なおWindows7サポート終了に伴って、20年5月期は排出台数増加が見込まれるが、21年5月期は反動減が見込まれるため、売上高目標値を55億円から50億円に修正(19年7月16日)した。利益およびROEの目標値に変更はない。
■株価は戻り試す
株価は20年5月期大幅増益・増配予想に反応薄で、上値を切り下げる形となったが、調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。7月26日の終値は862円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS48円31銭で算出)は約18倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間22円で算出)は約2.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS382円06銭で算出)は約2.3倍、時価総額は約45億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)