【どう見るこの相場】「サマークラッシュ」の緊急避難ではこの夏のスポーツ・イベント関連株に注目

どう見るこの相場

■急落後の持ち直し相場にどれだけのパワーを期待できるか?

 「パウエルの乱」なのか、それに不満を爆発させた「トランプのブラフ(脅し)」なのか?それともまたまた「殿のご乱心」なのか?どっちだったにしても、トランプ大統領が、ツイッターに「中国への制裁関税第4弾の発動」と投稿しただけで、期待していた「サマーラリー」は、一瞬にして「サマークラッシュ」を覚悟しなくてはならなくなった。リスク回避で債券に買い物が殺到し、米10年物国債利回りは2%を割って約2年9カ月ぶりの低水準となり、日米金利差縮小で為替も一時、1ドル=106.51円とほぼ7カ月ぶりの円高・ドル安に進み、佳境を迎えようとしていた3月期決算会社の第1四半期業績発表も、8月の業績相場の起爆材料としてはブッ飛んでしまった。

 こうなると「逃げるが勝ち」の8月相場となるが、不意を衝かれて逃げ切れずハシゴを外された投資家にとっては、このところの猛暑日のうだるような蒸し暑さが余計に堪えるだろうと同情を禁じ得ない。しかも、例年の8月相場は、今年も8月6日から始まる高校野球の甲子園大会などにお盆休みが続き、市場参加者が枯渇する超閑散相場となってきた。とくに今年のお盆休みは、休み方によっては、9連休と今年5月の10連休に続く大型連休となる可能性もある。兜町も、世の中一般と同様に「休むも相場」が定石となるとすれば、急落後の持ち直し相場にどれだけのパワーを期待できるかということになる。

■スポーツ・イベント関連株に注目

 ただ救いがあるとしたら、前週末の株価急落が、値幅調整優先の男性的な強制整理で、急落のなかでも東証第1部の値上がり銘柄が129銘柄、年初来高値更新銘柄が40銘柄と逆行高した銘柄があったことである。ことによると週明けも、同様に急落銘柄の「リターン・リバーサル」で意外な自律反発があるかもしれない。となれば中心は、ハイテク関連のグロース株となる。これが、まずシナリオAである。ただこのシナリオは、中国が、報復関税発動の反撃に出ると表明しており、米中貿易戦争が、9月の「第4弾」発動を前に一段とドロ沼化するとすれば、戻り売りも重く上値は限られる。そこでシナリオA以外のB、Cなども想定しなくてはならないことはいうまでもない。

 シナリオEになるのかFになるのか、今週の当コラムでは、まったく別の「サマークラッショ」の緊急避難策のリカバリーに照準を合わせることにした。値幅調整が日柄調整に移り夏枯れ相場のなかで、マーケットの売り買いの中心から遠く離れ少額資金でも動意付く銘柄群の浮上である。その候補株としてまず注目したいのが、スポーツ・イベント関連株である。この夏は、日程的にも前述の高校野球の甲子園大会に続き、8月26日からテニスの4大トーナメントの全米オープン大会が開催され、8月31日にバスケットボールの「ワールドカップ2019」が開会、9月20日からは世界3大スポーツ・イベントのラグビー・ワールドカップ2019年日本大会が開催され、さらには来年の2020年東京オリンピック・パラリンピックが控えるなどビッグイベントが目白押しとなる。この関連株に緊急避難する相場シナリオである。

■兜町は全米オープンテニス・ラグビーのワールドカップの2大イベントの活躍次第

 全米オープンテニス大会では、ちょうど5年前の2014年に錦織圭選手が、準決勝で天敵のジョコビッチ選手に勝って決勝戦に進出し、決勝戦では破れ準優勝にとどまったものの、「錦織フィーバー」が起こったことは記憶に新しい。このときは、錦織選手の勝ち上がりとともに株式市場でも関連株が動意付き、ヨネックス<7906>(東2)をリード役に幅広い銘柄に関連株買いが波及した。またラグビーのワールドカップでは、4年前の2015年イングランド大会では、「桜のジャージー」の日本代表が、世界ランキング3位の南アフリカ共和国を破る「ジャイアント・キリング」を演じ、ラグビーのトップリーグのヤマハ発動機<7272>(東1)に所属する五郎丸歩選手のプレースキックを蹴るときのルーチンワークが人気のポーズとなり、兜町でも話題になった経緯がある。もちろんこの2大イベントが、株価材料に再浮上するかしないかは、錦織圭選手、日本代表の活躍次第となり、兜町からの絶大の応援は欠かせない。

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