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ヤマシタヘルスケアホールディングスは調整一巡、20年5月期営業減益予想だが保守的
- 2019/8/6 06:05
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ヤマシタヘルスケアホールディングス<9265>(東1)は九州を地盤とする医療機器専門商社の純粋持株会社である。19年5月期大幅営業増益だった。20年5月期営業減益予想だが保守的だろう。新市場開拓などで収益拡大を期待したい。株価は急伸した7月の年初来高値から反落したが、調整一巡して出直りを期待したい。
■九州を地盤とする医療機器専門商社
山下医科機械が17年12月1日付で純粋持株会社ヤマシタヘルスケアホールディングスを新設して新規上場した。
子会社の山下医科器械は九州を地盤とする医療機器専門商社で、医療機器販売・メンテナンス、医療材料・消耗品販売、および医療モールを展開している。イーピーメディックは整形外科用インプラントの製造販売、トムスは医療機器販売・メンテナンスを展開している。
19年5月期セグメント別売上構成比は医療機器販売業99%、医療機器製造・販売業1%、医療モール事業0%である。
17年9月光通信<9435>と資本業務提携した。光通信の九州地区における医科向け「EPARK」事業を共同展開するため、第三者割当による自己株式処分で山下医科機械の4万7533株を光通信に割り当てるとともに、光通信の「EPARK」事業を展開するイーディライトの第三者割当増資を引き受けた。19年7月には自然落下制御式輸液装置を開発・製造するアイムと資本業務提携した。
収益面では医療機関の設備投資関連で、第2四半期(9月~11月)および第4四半期(3月~5月)の構成比が高い特性がある。利益還元については安定的な配当の継続を基本方針とし、配当水準として連結配当性向30%を基準としている。
■中期経営計画で21年5月期経常利益6億円目標
中期経営計画では、基本方針を「継続的な収益構造の確立に向けた事業会社の構造改革、および企業買収等によるヘルスケア領域でのグループ力向上を図る」として、目標値に21年5月期売上高605億円、営業利益5億30百万円、経常利益6億円を掲げている。
医療機器販売業では、電子カルテなどの医療情報システム構築支援、合弁事業の医科向け会員ネットワーク「EPARK」の普及拡大、SPD(Supply Processing&Distribution)事業の推進・収益性向上を推進している。医療機器製造・販売業では、台湾の医療機器メーカーと協力して手術器械の単回使用化に取り組んでいる。
■19年5月期大幅営業増益、20年5月期営業減益予想だが保守的
19年5月期連結業績は、売上高が18年5月期比4.8%増の615億33百万円、営業利益が39.9%増の5億22百万円、経常利益が37.3%増の6億17百万円だった。純利益は特別損失(トムスののれん減損損失2億10百万円)を計上して34.5%減の1億44百万円だった。配当は16円増配の年間42円(期末一括)とした。配当性向は74.2%である。
営業体制の強化や医療機関の設備投資需要回復などで増収となり、営業利益と経常利益は山下医科器械における物流センターとSPDセンターの連携強化による物流コスト削減も寄与して計画超の大幅増益だった。
20年5月期連結業績予想は、売上高が19年5月期比1.7%増の625億81百万円、営業利益が23.8%減の3億97百万円、経常利益が26.5%減の4億53百万円としている。純利益は特別損失が一巡して85.0%増の2億67百万円としている。配当は10円減配の年間32円(期末一括)としている。予想配当性向は30.0%となる。
新規事業参入に伴う販促費の増加、システム高度化や省エネ投資等の設備関連費の増加、人件費の増加など、先行投資による費用増加で営業・経常減益予想だが、保守的だろう。急性期病院への営業拡大、アイムとの資本業務提携による新市場開拓などで収益拡大を期待したい。
■株主優待制度は5月末の株主対象
株主優待制度は毎年5月31日現在の1単元(100株)以上保有株主を対象に、保有株式数および継続保有期間に応じてオリジナルクオカードを贈呈する。
■株価は調整一巡
株価は急伸した7月の年初来高値から反落したが、調整一巡して出直りを期待したい。8月5日の終値は1214円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS104円67銭で算出)は約12倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間32円で算出)は約2.6%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS2496円10銭で算出)は約0.5倍、時価総額は約31億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)