【編集長の視点】加賀電子は反落も1Q好決算に国内証券の目標株価アップが加わり押し目買いが交錯

 加賀電子<8154>(東1)は、前日13日に79円安の1619円と4営業日ぶりに反落して引けた。日経平均株価が、米中貿易摩擦の激化や香港国際空港デモによる地政学リスクを嫌って229円安と3営業日ぶりに反落し、今年6月以来約2カ月ぶりの安値まで売られたことから、8月6日に突っ込んだ年初来安値1450円から271円と急速に底上げした同社株にも目先の利益を確定する売り物が出た。ただ下値では25日移動平均線を意識して下げ渋る動きもみせており、8月7日に発表した同社の今2020年3月期第1四半期(2019年4月~6月期、1Q)決算が、V字回復して3月期通期予想業績に対して高利益進捗率を示したことを評価して押し目買いも交錯した。国内証券会社が、投資判断を「強気」に据え置き、目標株価を引き上げたことも、サポート材料視されている。

■富士通エレ寄与で電子部品事業の売り上げは倍増しセグメント利益は51%増

 同社の今期1Q業績は、前年同期比97.4%増収、24.2%営業増益、21.8%経常増益、17.6%純益増益で着地し、売り上げが、前年同期よりほぼ倍増となり、経常利益は、V字回復するとともに今3月期通期予想業績に対する進捗率が、29.2%と目安の25%を上回った。今年1月にグループ会社となった富士通エレクトロニクスが期初から寄与し、電子部品事業の売り上げが、EMS(製品の開発・生産受託サービス)ビジネスの空調機器、医療向けの順調推移に富士通エレクトロニクスの車載向けも上乗せとなって前年同期比2.33倍と急増し、セグメント利益も同51.3%増と大きく伸び、情報機器事業でも、個人向けや教育機関向けのパソコンやPC周辺機器販売が好調に推移したことなどが寄与した。

 今2020年3月期通期業績は、期初予想を据え置き売り上げ4300億円(前期比46.9%増)、営業利益70億円(同7.5%減)、経常利益70億円(同10.9%減)、純利益50億円(同37.6%減)と見込んでいる。米中貿易摩擦の激化、英国のEU(欧州連合)離脱、イランを巡る中東の地政学リスクなどから慎重に予想している。ただ同社は、富士通エレクトロニクスの株式取得に続いて今年4月にはドキドキグルーヴワークス(東京都新宿区)、LiveSmart(東京都港区)への各出資、今年7月にはパイオニアの製造子会社の十和田パイオニア(青森県十和田市)のグループ会社化などの成長戦略のM&Aを積極継続しており、今期1Q好決算と合わせて上ぶれ期待も高めている。

■低PER・PBR修正で東証1部平均PER13倍まで買ってまず800円幅の再底上げ余地

 株価は、十和田パイオニアのグループ会社化を発表したものの、8月1日にトランプ米大統領の制裁関税第4弾発動表明を背景にした世界同時株安再燃の波及で年初来安値1450円まで約200円安し、1Q好決算を評価して271円高して急落幅を上回る底上げとなった。足元では、再び下値を探っているが、25日移動線が強力な下値支持ラインとして意識され、投資採算的にもPERは8倍台、PBRは0.58倍、年間配当利回りは3.70%となお割り負けている。投資判断を「強気」で据え置き目標株価を2500円から2800円に引き上げた国内証券会社の株価格付け通りに底上げに再発進、年初来高値2252円抜けから東証第1部全銘柄平均PER13倍に買った2400円への800円高が目先の上値余地として意識されよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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