ケンコーマヨネーズは20年3月期1Q営業減益を嫌気した売り一巡

 ケンコーマヨネーズ<2915>(東1)はマヨネーズ・ドレッシング分野から、タマゴ加工品およびサラダ・総菜分野への事業領域拡大戦略を推進している。20年3月期第1四半期は売上高が横ばいにとどまり、工場新増築に伴う固定費の増加で営業減益だった。通期は操業度上昇や生産性向上などの効果で、固定費増加を吸収する見込みとしている。第2四半期以降の挽回に期待したい。株価は戻り高値圏から反落したが、第1四半期営業減益を嫌気した売りが一巡して反発を期待したい。

■マヨネーズ・ドレッシング類、ロングライフサラダの大手

 サラダ・総菜類、タマゴ加工品、マヨネーズ・ドレッシング類の調味料・加工食品事業、フレッシュ総菜(日配サラダ、総菜)の総菜関連事業等、その他(ショップ事業など)を展開している。

 マヨネーズ・ドレッシング分野から、タマゴ加工品およびサラダ・総菜分野への事業領域拡大戦略を推進している。ロングライフサラダは業界のパイオニアとして国内1位、マヨネーズ・ドレッシング類は国内2位の市場シェアである。ショップ事業の「Salad Cafe」は百貨店などに出店している。

 19年3月期の商材別売上高構成比はサラダ類44%、タマゴ類29%、マヨネーズ・ドレッシング類25%、その他2%、分野別売上高構成比は外食28%、CVS(コンビニエンスストア)27%、量販店23%、パン13%、給食5%、その他4%だった。

 収益面では、鶏卵や野菜などの原材料価格が変動要因となりやすく、プロダクトミックス、工場操業度、原燃料コストなどの影響を受ける。利益還元については連結ベースでの配当性向20%を意識し、配当の継続性に配慮しつつ、今後の成長と発展にあわせて安定配当水準を高めていくことを基本方針としている。

■事業領域拡大戦略と生産能力増強を推進

 中期経営計画「KENKO Value Action~価値の創造~」では、経営目標値に21年3月期売上高850億円、経常利益46億円率を掲げている。サラダNO.1企業として、市場ニーズに応える商品開発、事業領域の拡大などの戦略を推進する。

 目標値達成に向けて生産能力増強も推進し、18年4月ダイエットクック白老が新工場(サラダ・総菜類)を稼働、18年6月関東ダイエットクック神奈川工場(サラダ・総菜類)が稼働、19年2月静岡富士山工場(タマゴ加工品)を増設稼働、19年4月西日本工場(サラダ・総菜類)を増設稼働した。

■20年3月期1Q営業減益、通期は増収増益予想

 20年3月期連結業績予想は、売上高が19年3月期比2.7%増の760億円、営業利益が5.9%増の33億円、経常利益が4.9%増の33億円、そして純利益が2.3%増の23億50百万円としている。配当予想は1円増配の年間31円(第2四半期末15円、期末16円)で、予想配当性向は21.7%となる。

 第1四半期は、売上高が前年同期比0.8%増の185億10百万円、営業利益が10.4%減の6億70百万円、経常利益が2.7%減の7億45百万円、純利益が0.1%減の5億25百万円だった。

 総菜関連事業は好調だったが、調味料・加工食品事業の伸び悩みで全体として売上高が横ばいにとどまり、工場新増築に伴う固定費の増加で営業減益だった。調味料・加工食品事業はタマゴ加工品の低迷で1.5%減収となり33.0%減益だった。総菜関連事業は前期稼働した新工場も寄与して13.0%増収となり、増収効果で黒字化した。

 通期は操業度上昇や生産性向上などの効果で、固定費増加を吸収する見込みとしている。売上高の計画は調味料・加工食品事業が2.1%増の609億51百万円、総菜関連事業が5.5%増の138億29百万円、その他が2.2%増の12億20百万円としている。

 第1四半期の進捗率は売上高24.4%、営業利益20.3%である。期初時点で下期偏重の計画であり、第2四半期以降の挽回に期待したい。

■株主優待制度は毎年3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年3月末日現在で1単元(100株)以上~10単元(1000株)未満所有株主に対して当社商品1000円相当、10単元以上所有株主に対して当社商品2500円相当を贈呈する。

■株価は売り一巡

 株価は戻り高値圏から反落したが、第1四半期営業減益を嫌気した売りが一巡して反発を期待したい。8月14日の終値は2156円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS142円64銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間31円で算出)は約1.4%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1996円95銭で算出)は約1.1倍、時価総額は約355億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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