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インテージホールディングスは1Q減益を嫌気した売り一巡
- 2019/8/16 05:24
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
インテージホールディングス<4326>(東1)は市場調査事業を主力として、システムソリューション分野や医薬情報分野にも展開している。20年6月期(決算期変更15ヶ月決算)増配予想である。第1四半期は減益だったが、通期ベースで収益拡大を期待したい。株価は第1四半期減益を嫌気して安値圏だが、売り一巡感を強めている。出直りを期待したい。
■国内首位の市場調査が主力
子会社インテージのSCI(全国個人消費者パネル調査)やi-SSP(インテージシングルソースパネル)など、国内首位・世界10位(GRBN 2018 Global Top25 Report)の市場調査事業を主力として、システムソリューション分野や医薬情報分野にも展開している。収益面では期後半の構成比が高い特性がある。
19年3月期のセグメント別売上構成比は、消費財・サービス分野のマーケティング支援事業(事業会社インテージ、インテージリサーチ、アクセス・ジェーピー、海外子会社)63%、ヘルスケア分野のマーケティング支援事業(事業会社アンテリオ、アスクレップ、医療情報総合研究所、プラメドなど)24%、ITソリューション分野のビジネスインテリジェンス事業(事業会社インテージテクノスフィア)13%、営業利益構成比は消費財・サービス分野のマーケティング支援事業52%、ヘルスケア分野のマーケティング支援事業38%、ITソリューション分野のビジネスインテリジェンス事業11%である。
消費財・サービス分野では、次世代SRI(全国小売店パネル調査)サービス「SRI+」を19年からテストデータ提供開始し、20年に本格展開を予定している。
ヘルスケア分野ではフォーメーションを再構築するため、19年4月にアンテリオがアスクレップを吸収合併(新商号インテージヘルスケア)し、直下に医療情報総合研究所、プラメド、Plamed Korea、京都コンステラ・テクノロジーズ、協和企画(18年9月子会社化)の5社を置く体制とした。
ITソリューション分野のビジネスインテリジェンス事業では、18年3月システム開発のビルドシステムを子会社化、18年10月システム開発のエヌ・エス・ケイを子会社化した。19年4月にはアルゴリズム事業準備室設立を発表した。AI・ビッグデータ活用事業を本格的に推進する。
SBIインベストメントと共同設立のINTAGE Open Innovation Fundは、パーソナルAI「al+」開発のオルツ、WEBリサーチのリサーチ・アンド・イノベーション、IoTデータ流通プラットフォームの米EverySense、訪日外国人向けショッピングサポートアプリ「Payke」のPaykeなど、19年4月時点で合計20社に対して約21.6億円を投資している。
■20年6月期(決算期変更で15ヶ月決算)増配予想
なお決算期を3月から6月に変更する。経過期間となる20年6月期(15ヶ月決算)連結業績予想は、売上高が710億円、営業利益が48億40百万円、経常利益が47億50百万円、純利益が31億50百万円としている。配当予想は年間30円としている。実質増配予想となる。
12ヶ月分の連結業績予想(19年4月~20年3月)については、売上高が19年3月期(12ヶ月決算)比9.3%増の590億円、営業利益が6.6%増の45億50百万円、経常利益が6.8%増の45億円、純利益が4.9%増の30億円としている。各セグメントとも伸長して増収増益予想である。
第1四半期は、売上高が前年同期比8.1%増の113億29百万円、営業利益が33.3%減の1億21百万円、経常利益が65.7%減の68百万円、そして純利益が68.9%減の38百万円だった。
消費財・サービス分野のマーケティング支援事業は、主力のパネル調査が堅調に推移して3.2%増収だが、新サービス開発費の増加や海外事業の利益率低下で赤字が拡大した。ヘルスケア分野のマーケティング支援事業は、カスタムリサーチなどの好調で19.5%増収だが、プロモーション事業やCRO事業の不振で64.6%減益だった。ビジネスインテリジェンス事業は12.1%増収、2.1倍増益だった。インテージテクノスフィアにおいて旅行分野の開発案件や運用案件が増加した。増収効果で大幅増益だった。
第1四半期は減益だったが、通期ベースで収益拡大を期待したい。
■株主優待は毎年12月末の株主対象に変更
なお決算期変更に伴って株主優待制度の基準日も変更した。従来の毎年9月30日対象から、毎年12月31日現在の1単元(100株)以上保有株主を対象として実施(詳細は会社HP参照)する。21年6月期から変更し、20年6月期については従来の9月30日対象で実施する。
■株価は調整一巡
株価は第1四半期減益を嫌気して安値圏だが、売り一巡感を強めている。出直りを期待したい。8月15日の終値は817円、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS699円51銭で算出)は約1.2倍、時価総額は約330億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)