立花エレテックは1Q減収減益を嫌気した売り一巡

 立花エレテック<8159>(東1)は産業用機器・電子部品などを扱う技術商社である。20年3月期横ばい予想で第1四半期は減収減益だった。第2四半期および第4四半期の構成比が高い特性だが、通期下振れに注意が必要となる。これを嫌気して株価は年初来安値圏だが、売り一巡して反発を期待したい。

■産業用機器・電子部品を扱う技術商社

 産業用機器・電子部品などを扱う技術商社である。仕入先は三菱電機<6503>および三菱電機グループが合計で約7割を占め、外資系半導体メーカー、ルネサスエレクトロニクス<6723>が続いている。M&Aも積極活用して国内外で業容を拡大している。なお国内子会社の高木商会を19年2月完全子会社化した。海外は子会社8社合計14拠点で、中国および東南アジアに展開している。

 19年3月期のセグメント別売上高構成比は、FAシステム事業59%(FA機器35%、FAシステムソリューション12%、産業メカトロニクス4%、産業デバイスコンポーネント7%)、半導体デバイス事業(半導体、電子デバイス)30%、施設事業(空調機器、LED照明、太陽光発電システム、昇降機)9%、その他(MS事業・他)2%だった。なおMS(マニュファクチャリング・サービス)事業は、金属加工の製造受託(MMS)と電子機器の製造受託(EMS)を統合した事業である。海外事業売上比率は13%だった。

 収益面では全体として企業の設備投資動向が影響し、第2四半期および第4四半期の構成比が高くなる季節特性もある。

■21年3月期営業利益75億円目標

 技術商社の強みを活かして海外ビジネスの拡大、グループシナジーの追求、事業領域の拡大、営業力強化と体質改善を推進している。

 6ヶ年中長期経営計画「C.C.J2200」では、2021年の創立100周年を見据えて、確固たる基盤を持った電機・電子の一大技術商社を目指し、目標数値に21年3月期連結売上高2200億円(単体1400億円、国内子会社460億円、海外子会社440億円、消去100億円)、連結営業利益75億円を掲げている。

■20年3月期横ばい予想で1Q減収減益

 20年3月期の連結業績予想は、売上高が19年3月期比0.1%増の1830億円、営業利益が1.9%増の67億20百万円、経常利益が0.4%増の70億60百万円、純利益が0.9%減の48億60百万円としている。配当予想は19年3月期と同額の年間48円(第2四半期末24円、期末24円)としている。予想配当性向は24.9%となる。

 セグメント別の売上計画は、FAシステム事業が0.7%増収(FA機器が2.8%増収、FAシステムソリューションが6.4%減収、産業メカトロニクスが0.5%増収、産業デバイスコンポーネントが3.2%増収)、半導体デバイス事業が2.7%減収、施設事業が4.7%増収、その他が0.8%増収としている。

 第1四半期は、売上高が前年同期比8.1%減の379億16百万円、営業利益が31.3%減の9億10百万円、経常利益が36.8%減の10億05百万円、純利益が30.8%減の7億50百万円だった。主力のFAシステムおよび半導体デバイスの需要減速で減収減益だった。

 FAシステム(8.1%減収、15.6%減益)はインバーターなどが堅調だったが、鉄鋼プラント、レーザー加工機などが減少した。半導体デバイス(17.1%減収、62.6%減益)は米中貿易摩擦の影響で特に中国、香港が苦戦した。施設事業24.9%増収、赤字縮小)は空調機器、昇降機、発電設備などが好調だった。その他(24.1%増収、黒字化)はMNS分野で立体駐車場向け金属部材、EMS分野で自動車関連向け電子機器製造受託案件などが好調だった。

 通期は米中貿易摩擦問題の影響で海外需要の不透明感が強いため横ばい予想としている。第2四半期および第4四半期の構成比が高い特性だが、第1四半期が減収減益となり、通期下振れに注意が必要となる。第2四半期以降の挽回に期待したい。

■株主優待制度は3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年3月31日現在の100株(1単元)以上保有株主を対象として、継続保有期間および保有株式数に応じてクオカードを贈呈している。

■株価は売り一巡

 株価は第1四半期減収減益を嫌気して年初来安値圏だが、売り一巡して反発を期待したい。8月16日の終値は1498円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS192円57銭で算出)は約8倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間48円で算出)は約3.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2691円02銭で算出)は約0.6倍、時価総額は約390億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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