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フェローテックホールディングスは下値固め完了、20年3月期最終大幅増益予想
- 2019/8/21 07:04
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
フェローテックホールディングス<6890>(JQ)は半導体等装置関連事業を主力としている。20年3月期第1四半期は営業減益だが、特別損失一巡や法人税減少で最終大幅増益だった。通期も営業利益横ばいだが最終大幅増益予想である。株価は下値固め完了感を強めている。出直りを期待したい。
■半導体等装置関連事業が主力、太陽電池関連事業は撤退方針
半導体等装置関連事業(真空シールおよび各種製造装置向け金属加工製品、石英製品、セラミックス製品、CVD-SiC製品、シリコーンウェーハ加工、装置部品洗浄など)を主力として、電子デバイス事業(サーモモジュール、パワー半導体用基板、磁性流体など)も展開している。主力の真空シールは世界シェア6割強である。19年3月には東洋刃物<5964>と資本業務提携して持分法適用関連会社化した。
太陽電池関連事業(シリコン結晶製造装置、シリコン製品など)は撤退方針としている。当面は自社販売から撤退してOEMに特化し、OEM用途以外の設備は半導体Siパーツ構造材用途への転換を進める。またOEM継続も短期的対応であり、基本的には19年中を目途に事業撤退方針である。撤退時期については、既存設備の売却交渉や撤退に伴う様々な影響度合いによって変更の可能性がある。
なお中国子会社FTHWが進めている半導体大口径ウェーハ工場建設工事に絡み、施行工事事業者2社から工事代金に関連した訴訟を提起された件に関して、当社の正当性を主張していくとしている。
■20年3月期最終大幅増益予想
20年3月期連結業績予想は、売上高が19年3月期比2.8%増の920億円、営業利益が0.2%増の88億円、経常利益が0.5%増の81億円、そして純利益が65.2%増の47億円としている。配当予想は19年3月期と同額の年間24円(第2四半期末12円、期末12円)で、予想配当性向は18.9%となる。
第1四半期は、売上高が太陽電池関連事業の自社製品販売撤退の影響で前年同期比7.4%減の210億02百万円、営業利益が主力製品の軟調推移で22.6%減の20億94百万円、経常利益が為替差損の減少で0.2%増の17億89百万円、純利益が特別損失一巡や法人税減少で94.1%増の13億26百万円だった。
半導体等装置関連事業は6.5%増収、32.2%営業減益だった。ウェーハ加工の数量増加や装置部品洗浄の好調で増収だが、デバイスメーカーの設備投資抑制や装置稼働率低下の影響を受けた真空シールおよびマテリアル製品が軟調だった。電子デバイス事業14.5%増収、39.1%営業増益だった。サーモモジュールは自動車温調シート向けが北米および中国市場の自動車販売減速の影響を受けたが、その他用途が順調だった。パワー半導体用基板は顧客開拓が順調に進み、増産のための新工場が稼働した。
通期は、売上面で半導体業界が年後半から投資再開と想定し、半導体等装置関連事業(計画8.7%増収)と電子デバイス事業(同15.5%増収)の伸長で、太陽電池関連事業(同39.4%減収)撤退影響を吸収する。営業利益は、半導体製造装置関連の8インチ量産による償却負担と太陽電池関連撤退効果の相殺で横ばい見込みである。純利益は19年3月期計上の特別損失(太陽電池関連事業撤退に伴う減損損失21億01百万円、韓国子会社のCVD―Sic事業撤退に伴うCVD炉減損損失3億05百万円など)が一巡して大幅増益予想である。
■22年3月期営業利益125億円目標
新中期経営計画では業績目標値に、22年3月期売上高1250億円~1300億円、営業利益120億円~130億円などを掲げている。半導体市場が不透明のためレンジ目標とした。
戦略製品の4事業への注力を推進する。22年3月期の売上高目標は半導体マテリアルが391億円(19年3月期実績286億円)、ウェーハが282億円(同72億円)、パワー半導体が70億円(同20億円)、部品洗浄が85億円(同35億円)としている。太陽光電池事業は消耗品販売のみにシフトして事業ポートフォリオ改善を推進する。
設備投資は中長期ニーズを見据えて、中国におけるウェーハ量産(22年3月期目標は大・中・小口径合計で月産約88万枚体制)を推進する。設備投資額は3期間合計で約710億円を予定し、中国における中・大口径ウェーハ投資が集中する20年3月期(480億円)がピークとなる見込みだ。株主還元は業績向上に伴って増配を検討する。
■株価は下値固め完了
株価は6月安値を割り込まずに推移して下値固め完了感を強めている。出直りを期待したい。8月20日の終値は887円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS126円98銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間24円で算出)は約2.7%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1337円33銭で算出)は約0.7倍、時価総額は約330億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)