【アナリスト水田雅展の銘柄診断】日本アジアグループは強基調に転換、収益改善基調を評価して出直り

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 社会インフラ・環境・エネルギー関連に展開する日本アジアグループ<3751>(東マ)の株価は、3月の直近安値から切り返して強基調に転換したようだ。収益改善基調を評価して出直り展開だろう。なお5月14日に15年3月期の決算発表を予定している。

 社会インフラ・環境・エネルギー関連にグループ経営資源を集中し、空間情報コンサルティング事業(国際航業の社会インフラ関連事業)、グリーンプロパティ事業(土壌・地下水保全コンサルティング、戸建住宅・不動産、太陽光発電施設の設計施工)、グリーンエネルギー事業(太陽光発電所の開発・運営・売電事業)、ファイナンシャルサービス事業(日本アジア証券などの証券業)を展開している。防災・減災・社会インフラ更新関連、環境関連、メガソーラー関連、再生可能エネルギー関連などテーマ性は多彩である。

 再生可能エネルギー関連事業に関して14年10月に子会社JAG国際エナジーが、東京都が創設する官民連携再生可能エネルギーファンドの運営事業者に選定されている。また4月16日には沖縄県糸満市「糸満ソーラーウェイ」の完成を発表した。

 14年12月にはシーベルインターナショナル(東京都)の経営権を取得した。アジア・アフリカ各国に事業展開している同社の流水式超低落差型マイクロ水力発電システム(商品名:ストリーム)を活用して、マイクロ水力発電事業を再生可能エネルギー関連事業の第2の柱に育成する方針だ。

 15年3月には、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「国際エネルギー消費効率化等技術・システム実証事業」の公募に対して、インドにおける「火力発電所放流渠を活用したマイクロ水力並列配置発電システム技術実証事業」が採択された。また小水力発電プロジェクトに関しては、国際連合工業開発機構(UNIDO)と「アフリカエチオピアプロジェクト」および「アフリカケニアプロジェクト」に関して正式契約を締結した。

 なお4月17日には、5月20日~22日開催(幕張メッセ)の「第1回国際ドローン展」に参加すると発表した。ドローン(無人航空機)に焦点を当てて、関連する構成技術から実用事例までを一堂に集めた日本で唯一の専門展示会である。

 前期(15年3月期)の連結業績見通し(11月13日に増額修正)は売上高が前々期比1.8%増の757億円、営業利益が同2.7%増の46億円、経常利益が同23.2%減の29億円、純利益が同3.7%増の26億円としている。

 空間情報コンサルティング事業における収益力改善、グリーンプロパティ事業における太陽光発電関連の開発・運営受託の増加、グリーンエネルギー事業における国内メガソーラーの稼働増加が牽引し、投資有価証券売却益(通期ベースで8億24百万円計上予定)も寄与する。

 第3四半期累計(4月~12月)は前年同期比0.3%減収、同59.8%営業増益、同12.7%経常増益、同2.4倍最終増益だった。空間情報コンサルティング事業は稼働率向上やコスト管理強化の効果で営業赤字が縮小し、グリーンエネルギー事業は太陽光発電所施設の稼働増加で営業黒字化した。純利益は投資有価証券売却益計上も寄与した。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)124億60百万円、第2四半期(7月~9月)176億00百万円、第3四半期(10月~12月)181億62百万円、営業利益は第1四半期1億45百万円、第2四半期11億47百万円、第3四半期10億07百万円である。営業損益は改善基調だ。

 通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が63.7%、営業利益が50.0%、経常利益が47.9%、純利益が51.0%である。やや低水準の形だが、空間情報コンサルティング事業およびグリーンプロパティ事業の売上が第4四半期(1月~3月)偏重の収益構造であることを考慮すれば、通期ベースでも営業損益改善基調が期待される。

 今期(16年3月期)も、空間情報コンサルティング事業の収益改善が一段と進展し、グリーンエネルギー事業においてもメガソーラーの稼働増加が寄与する。収益は改善基調だろう。

 なお13年12月発行の第3回~第6回新株予約権に関して、その全部を取得して14年12月に消却した。収益が計画を上回る状況で推移して営業キャッシュフローが改善していることに加えて、株価が下限行使価格を下回る水準で推移して行使が進んでいないことを考慮した。

 株価の動きを見ると、3月4日の直近安値512円から切り返して戻り歩調の展開だ。4月20日には615円まで上伸する場面があった。調整が一巡して収益改善基調を評価する動きだろう。

 4月20日の終値596円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS98円41銭で算出)は6倍近辺、前々期実績PBR(前々期実績の連結BPS823円96銭で算出)は0.7倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線が上向きに転じてサポートラインの形となった。また週足チャートで見ると13週移動平均線に続いて26週移動平均線突破の動きを強めている。強基調に転換する動きであり、収益改善基調を評価して出直り展開だろう。

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