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ソラストは戻り高値圏、20年3月期1Q営業減益だが通期2桁増収増益・連続増配予想
- 2019/8/30 08:46
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ソラスト<6197>(東1)は医療事務・介護・保育関連サービスを展開している。地域の女性人材を活用するため、ICTを活用して女性が働きやすい職場づくりや生産性向上を推進している。20年3月期第1四半期はM&A関連の一時的費用発生で営業減益だったが、概ね計画水準だった。通期は2桁増収増益・連続増配予想である。収益拡大を期待したい。なおJPX日経中小型株指数2019年度構成銘柄に選定された。株価は戻り高値圏だ。上値を試す展開を期待したい。
■医療事務・介護・保育関連サービスを展開
医療事務請負・派遣の医療関連受託事業、訪問介護・通所介護・居宅介護支援・グループホーム・有料老人ホーム・サービス付高齢者向け住宅の介護事業、認可保育所運営の保育事業、その他事業(教育サービスなど)を展開している。
19年3月期のセグメント別売上構成比は医療関連受託事業66%、介護・保育事業33%(介護31%、保育2%)、その他1%、営業利益構成比(連結調整前)は医療関連受託事業76%、介護・保育事業23%(介護21%、保育2%)、その他1%である。
医療関連受託事業は大病院との長期取引を中心に請負が9割強を占めている。介護事業はM&Aを積極活用して東名阪地域に展開している。19年3月期末の介護事業所数は、18年3月期末比22拠点増加の383拠点(訪問介護66、デイサービス102、居宅介護支援64、グループホーム67、有料老人ホーム・サービス付高齢者向け住宅27、その他57)である。また19年3月期末の保育園は14施設だった。
■長期ビジョンで営業利益200億円目標
VISION2030の目標値は、売上高3000億円(医療1000億円、介護1500億円、新規500億円)、営業利益200億円(営業利益率は医療15%、介護10%、新規15%)としている。
サービス業のデジタルカンパニーに脱皮し、継続的にサービスモデルを刷新する。介護分野でのM&Aの積極活用などによって、早期に医療および介護の分野での業界NO.1達成を目指し、新規事業にも挑戦する方針だ。配当性向は50%を目安としている。
■ICTを積極活用して女性が働きやすい職場づくりや生産性向上目指す
従業員は女性が約90%を占めている。地域の女性人材を活用するため、ICTを積極活用して女性が働きやすい職場づくりや生産性向上を目指している。
医療関連受託事業の利益率向上に向けては、待遇・職場環境の改善やコミュニケーションの向上を通じてモチベーションの向上を図り、離職率を低下させることによって、社員退職に伴う配置転換や新入社員教育などに係る工数を減らして現場の生産性を改善する。
ICTも積極活用している。沖電気工業<6703>と共同開発した初診受付登録システムの設置病院を19年3月期から拡大し、20年3月期末に100病院への導入を目指している。
採用プロセス管理の自動化・効率化では、17年9月に次世代採用管理システムが稼働した。AIを活用した離職を防ぐ取り組みでは、FRONTEO<2158>の人工知能エンジン「KIBIT」を用いて、退職リスクのある人を早期に発見してフォローを行うなど、社員の離職防止や定着率向上に向けた取り組みを推進している。
また通所介護における業務効率化と顧客満足度向上を目的として、インフォコム<4348>と協働で介護記録システム「Daily」を構築し、全事業所への導入を推進している。
さらに医事会計ソフト「日医標準レセプトソフト」を約1万7000の医療機関に提供している日本医師会ORCA管理機構と、19年6月業務提携、19年7月資本提携した。医療・介護領域のICT活用に向けて連携を強化する。
■介護事業はM&A活用で中期成長目指す
介護事業はM&Aの積極活用による成長を目指している。具体的には、1つの介護行政区(市・群・東京23区)を1エリアと定義し、2030年までに介護サービスを行うエリアを300エリアに拡大(現在87エリア)するとともに、全てのエリアで訪問介護、通所介護、居宅介護支援、グループホーム、有料老人ホームの施設を各1事業所以上運営することを目指している。
19年3月期には、チャーム・ケア・コーポレーション<6062>からの介護付有料老人ホーム2施設譲り受け、施設系介護サービス中心のJAWA子会社化、カーメイト<7297>からの有料老人ホーム運営オールライフメイト株式取得などを実行した。また19年4月には東京都内中心に通所介護事業所53ヶ所を運営するなごやかケアリンクを子会社化した。
なお20年3月期のM&Aについては、19年8月5日時点で6件のM&A契約を締結済みで、通期新規M&A目標の85%を達成したとしている。
保育事業は、認証保育所を認可保育所に移行して園児数の増加を図っている。なお19年4月には東京都内および千葉県内に新たに1施設ずつ新設して運営開始した。
■20年3月期1Q営業減益だが通期2桁増収増益・連続増配予想
20年3月期の連結業績予想は、売上高が19年3月期比13.1%増の953億円、営業利益が13.3%増の57億円、経常利益が11.7%増の56億円、純利益が42.6%増の50億円としている。配当予想は50銭増配の年間19円50銭(第2四半期末9円50銭、期末10円)で、予想配当性向は36.7%となる。
M&Aも寄与して各事業が順調に伸長する。介護事業におけるM&A効果は19年3月期実施の6件、および19年4月子会社化したなごやかケアリンクの合計で70億円増収の見込みだ。また特別利益に固定資産(秋葉原ビル、19年6月引き渡し予定)譲渡益21億98百万円を計上予定である。
セグメント別の計画は、医療関連受託事業が3.3%増収・6.5%増益、介護・保育事業が32.6%増収・39.1%増益(介護が33.9%増収・41.4%増益、保育が11.4%増収・15.7%増益)としている。
第1四半期は、売上高が前年同期比14.0%増の233億37百万円、営業利益が14.2%減の10億85百万円、経常利益が14.2%減の11億01百万円、純利益が2.6倍の21億34百万円だった。純利益は固定資産売却益計上が寄与した。
医療関連受託事業は新規契約受注も寄与して3.5%増収、11.2%増益と順調だった。生産性が継続的に改善し、営業利益率は第1四半期として過去最高だった。介護・保育事業は介護におけるM&A(オールライフメイト、JAWA、なごやかケアリンク等)も寄与して37.4%増収だが、M&Aに伴うデューデリジェンス費用や仲介手数料の一時的費用が発生して14.0%減益だった。保育は新規2施設開設などで園児数が増加して増収増益だった。
第1四半期は介護事業におけるM&A関連、全社費用におけるオフィス移転関連の一時的費用、さらにIT投資関連などの先行投資費用で営業減益だったが、概ね計画水準だった。通期は2桁増収増益・連続増配予想である。収益拡大を期待したい。
介護サービス利用状況(速報値)によると、19年7月のサービス利用者数は、訪問介護が前年同月比1.8%増、デイサービスが46.0%増だった。デイサービスは19年4月子会社化したなごやかケアリンクが寄与した。施設系サービスの入居者数はオールライフメイトの子会社化が寄与して70.8%増となった。月末入居率は95.7%と高水準を継続している。合計事業所数は19年3月末比57ヶ所増加の440ヶ所となった。
■株価は戻り高値圏
株価は戻り高値圏だ。上値を試す展開を期待したい。8月29日の終値は1287円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS53円12銭で算出)は約24倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間19円50銭で算出)は約1.5%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS148円00銭で算出)は約8.7倍、時価総額は約1212億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)