日本エム・ディ・エムは上値試す、20年3月期2Q累計を上方修正して通期も上振れの可能性

 日本エム・ディ・エム<7600>(東1)は整形外科分野の医療機器専門商社である。米国子会社製品の拡販を推進し、自社製品比率上昇で収益力が向上している。20年3月期営業増益予想である。8月28日には第2四半期累計予想を上方修正した。通期予想は据え置いたが上振れの可能性が高いだろう。収益拡大を期待したい。なお東京証券取引所における所属業種が10月1日から精密機器(現在は卸売業)に変更される。株価は03年以来の高値圏で堅調だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■整形外科分野の医療機器専門商社、自社製品比率上昇して収益力向上

 人工関節製品、骨接合材料、脊椎固定器具など整形外科分野を主力とする医療機器専門商社である。メーカー機能強化による高収益体質への転換を目指し、米国子会社オーソデベロップメント(ODEV)社製品の拡販を推進している。

 19年3月期売上構成比は、日本国内販売が60.7%(人工関節25.8%、骨接合材料21.5%、脊椎固定器具11.3%、人工骨1.3%、その他0.8%)で、米国販売が39.3%(人工関節39.0%、脊椎固定器具0.2%)だった。また自社製品比率は16年3月期85.1%、17年3月期87.5%、18年3月期88.6%、19年3月期85.9%と高水準で推移し、収益力が向上している。

 17年6月には米ODEV社が、中国のChina Pioneer Pharma Holdings(CPP社)と、中国における独占販売提携契約を締結した。18年10月には米ODEV社が、米国Johnson & JohnsonグループのDePuy Synthes社と、米ODEV社製「KASM」の米国市場における販売提携契約を締結した。19年5月には米国子会社ODEVがオーストラリアに子会社を設立した。

 収益面の特性として、医療機器償還価格の影響や為替変動の影響を受けるほか、整形外科医療機器の販売は下期が繁忙期となる傾向があるため、業績も下期の構成比が高い特性があるとしている。

■20年3月期2Q累計を上方修正して通期も上振れの可能性

 20年3月期連結業績予想は、売上高が19年3月期比8.8%増の182億円、営業利益が10.1%増の24億60百万円、経常利益が7.8%増の23億80百万円、純利益が13.3%減の17億20百万円としている。純利益は税負担正常化して減益だが、米ODEV社製品の拡販が牽引して増収・営業増益予想である。配当予想は1円増配の年間10円(期末一括)としている。連続増配予想で予想配当性向は15.3%となる。

 売上高計画は日本国内が4.3%増の106億円(人工関節が1.5%増の43億90百万円、骨接合材料が5.3%増の37億90百万円、脊椎固定器具が8.7%増の20億60百万円、人工骨が6.7%増の2億30百万円、その他が1.2%増の1億30百万円)で、米国が15.7%増の76億円(為替前提1米ドル=110円、米ドルベースでは16.5%増収)としている。

 第1四半期は売上高が前年同期比16.0%増収、営業利益が41.1%増益だった。日本国内が13.0%増収(人工関節が3.6%増収、骨接合材料が16.7%増収、脊椎固定器具が28.8%増収)、そして米国が20.6%増収(米ドルベースでは19.2%増収)と、いずれも好調に推移した。

 8月28日に第2四半期累計予想を上方修正した。売上高は4億50百万円増額して前年同期比14.6%増の86億50百万円、営業利益は3億50百万円増額して36.2%増の11億70百万円、経常利益は3億50百万円増額して36.0%増の11億30百万円、純利益は2億80百万円増額して34.7%増の8億円としている。日本国内、米国とも売上が好調に推移している。通期予想は据え置いたが上振れの可能性が高いだろう。収益拡大を期待したい。

■高齢化社会を背景に収益拡大基調

 新中期経営計画「MODE2000」では、目標数値(為替1米ドル=106円想定)に21年3月期売上高187億円、営業利益28億円、経常利益26億円、純利益19憶円、ROE12.3%を掲げている。

 重点施策として、米ODEV社との日米共同開発や日本特殊陶業<5334>との連携による高付加価値自社製品の開発強化、海外ビジネス(北米市場での拡販、中国市場での販売基盤確立、新規市場としてオーストラリアでの販売開始検討)の拡大、日本市場における注力販売製品分野(大腿骨頸部転子部骨折治療分野、脊椎固定器具分野、人口股関節分野)のシェア拡大、業務効率化とSCM強化を推進する。

 高齢化社会到来を背景に市場は拡大基調である。中期的にも自社製品拡販が牽引して収益拡大基調が期待される。

■株価は上値試す

 株価は03年以来の高値圏で堅調だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。9月3日の終値は1647円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS65円15銭で算出)は約25倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は約0.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS575円30銭で算出)は約2.9倍、時価総額は約436億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  2. ■2024年度上半期163件で過去最多更新  人手不足による倒産が急増している。帝国データバンクの…
  3. ■新たなモビリティ社会実現に向けた取り組み加速  トヨタ自動車<7203>(東証プライム)は10月…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  2. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…
  3. ■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し  金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の…
  4. ■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る