【編集長の視点】安川電は今期の経常増益が続伸も市場コンセンサスを下回り急続落

編集長の視点

安川電機<6506>(東1)は、93円安の1623円と3営業日続落して始まっている。東証第1部の値下がり率ランキングでは、ワースト3と売られている。前日20日大引け後に主力株のトップバッターとして3月期決算を発表、前2015年3月期業績が、今年1月22日の再上方修正値を上ぶれて着地し、今2016年3月期の経常利益の続伸を予想したが、市場コンセンサスにやや未達となったことを嫌って利益確定売りが増勢となっている。

■前期業績は上ぶれ着地・最高純益更新も今期は利益の伸び率が鈍化

前2015年3月期業績は、利益が、今年1月の再上方修正値を約9億円~13億円上回り、前々期比10.1%増収、25.81経常増益、46.3%純益増益と続伸し、純利益は、繰り延べ税金資産を計上したことで248億1900万円と2008年3月期の過去最高(202億4200万円)を7期ぶりに更新した。モーションコントロール部門では、ACサーボモータ・コントロールが、スマートフォンや自動車関連を中心に内外の販売を好調に推移し、ロボット部門では、中国を中心とした自動車業界向け市場の拡大を確実に捉え、溶接・ハンドリング・塗装ロボットが、堅調に推移し、為替レートも、前々期より円安で推移したことが上ぶれ着地要因となった。

今2016年3月期業績は、為替レートを1ドル=120円、1ユーロ=125円と想定し、売り上げ4350億円(前期比8.7%増)、経常利益370億円(同9.2%増)、純利益240億円(同3.3%減)と予想、経常利益は続伸するが、市場コンセンサスを約5億円下回り、純利益は、税金負担が増え減益転換する。

■新長期経営計画の配当性向アップも下値を支え半値押し水準で日柄調整展開も

株価は、前期に四半期決算発表のたびの前期業績の上方修正と増配を好感して高値を追い、今年1月の業績上方修正と再増配では1612円と買われ、調整安値1476円からは、期末の配当権利取りにワイ・イー・データ<6950>(東2)の完全子会社化が続いて年初来高値1831円をつけ、25日移動平均線水準でもみ合い、きょう22日朝方の急落で半値押し水準まで調整した。PERは、17倍台と市場平均をやや下回り、今回の決算とともに発表した新長期経営計画では、2025年度までに配当性向を段階的に30%(今期予想22%)までアップさせる株主還元政策が盛り込まれたことも下値を支え、値ごろ的には業績伸び悩みは織り込み済みとして日柄調整を続ける展開も想定される。(本紙編集長・浅妻昭治)

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