星光PMCは下値固め完了、19年12月期大幅増益予想

 星光PMC<4963>(東1)は製紙用薬品事業、印刷インキ用・記録材料用樹脂事業、化成品事業を展開している。19年12月期大幅増益予想である。収益拡大を期待したい。また次世代素材セルロースナノファイバー(CNF)の拡販本格化も期待したい。株価は反発力の鈍い展開だが、下値固め完了して出直りを期待したい。

■製紙用薬品、印刷インキ用・記録材料用樹脂、化成品を展開

 DIC<4631>の連結子会社で、製紙用薬品事業、印刷インキ用・記録材料用樹脂事業、化成品事業(子会社KJケミカルズ)を展開している。18年12月期売上高構成比は製紙用薬品事業67%、印刷インキ用・記録材料用樹脂事業20%、化成品事業14%だった。

■21年12月期営業利益30億円目標

 新中期経営計画「New Stage 2021」では主要戦略として、環境経営の実践、収益性向上のための製品ポートフォリオ変革、海外事業の拡大、次世代素材セルロースナノファイバー(CNF)や銀ナノワイヤー(AgNW)の事業化推進に向けた技術革新・用途開発の加速、新綜工業の業容拡大とグループ内でのシナジー創出などを掲げている。

 目標数値には21年12月期の売上高320億円、営業利益30億円、営業利益率9.4%、海外売上高比率30%以上、Green Index(独自に定義した環境戦略製品売上高の18年12月実績を100とした指数)126を掲げている。セグメント別には、製紙用薬品事業の売上高185億円で営業利益(連結調整前)19億87百万円、樹脂事業(CNF、AgNW、新綜工業を含む)の売上高92億円で営業利益9億41百万円、化成品事業の売上高43億円で営業利益4億64百万円としている。

 19年1月には新綜工業(台湾)の株式を追加取得して連結子会社化した。19年7月にはベトナムに製紙用薬品製造・販売の現地法人を設立(21年中の工場竣工・稼働目標)すると発表した。

■CNF複合材料の拡販本格化期待

 次世代素材CNFは、すべての植物の植物細胞壁の骨格成分であるセルロースをナノサイズまで細かくほぐすことによって得られる繊維である。鋼鉄の5分の1の軽さで5倍以上強く、熱による変形が少ないなどの特徴がある。樹脂の補強材として機能させることで、自動車用樹脂の強度向上や金属部材からの置き換え、家電・モバイル機器の軽量化などでの需要が期待されている。

 18年1月CNF複合材料「STARCEL」ブランドでの商業生産・製品出荷を開始した。18年6月には世界初のCNF強化樹脂応用製品の商品化として、アシックス<7936>の高機能ランニングシューズ製品のミッドソール部材の原材料の一部に採用された。拡販本格化を期待したい。

 銀ナノワイヤーは、直径がナノサイズ、長さがミクロンサイズの繊維状の銀を溶液中に分散させて透明導電性電極を形成し、ウェアラブル端末や大型ディスプレイへの利用が期待されている。

■19年12月期大幅増益予想

 19年12月期連結業績予想(8月7日に売上高を下方、各利益を上方修正)は、売上高が18年12月期比5.4%増の272億80百万円、営業利益が24.4%増の24億50百万円、経常利益が21.2%増の25億20百万円、そして純利益が15.9%増の18億10百万円としている。配当予想は18年12月期と同額の年間16円(第2四半期末8円、期末8円)で、予想配当性向は26.8%となる。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比7.7%増の135億32百万円、営業利益が28.9%増の12億28百万円、経常利益が25.4%増の12億64百万円、純利益が16.2%増の9億円だった。

 売上高は計画を下回ったが、売上原価・販管費の低減、製品販売構成の高付加価値化進展などで計画超の大幅増益だった。純利益は新綜工業(台湾)の連結子会社化に伴う特別利益(負ののれん発生益)計上も寄与した。

 製紙用薬品は中国における売上減少で1.3%減収だが、原価低減で8.4%増益だった。樹脂は新綜工業(台湾)の新規連結で31.1%増収となり、製品販売構成の高付加価値化進展も寄与して2.6倍増益だった。化成品は主力製品の輸出売上増加で16.2%増収、21.2%増益だった。

 修正後の通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高49.6%、営業利益50.1%である。通期ベースでも収益拡大を期待したい。

■株価は下値固め完了

 株価は反発力の鈍い展開だが、下値固め完了して出直りを期待したい。9月5日の終値は752円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS59円69銭で算出)は約13倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間16円で算出)は約2.1%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS795円23銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約231億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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