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朝日ラバーは反発の動き、20年3月期減益予想だが下期収益改善期待
- 2019/9/17 07:06
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
朝日ラバー<5162>(JQ)はシリコーンゴムや分子接着技術をコア技術として、自動車内装LED照明光源カラーキャップやRFIDタグ用ゴム製品などを展開している。20年3月期減益予想だが、下期の収益改善を期待したい。株価は8月の直近安値圏から反発の動きを強めている。調整一巡して出直りを期待したい。
■自動車内装LED照明の光源カラーキャップが主力
シリコーンゴムや分子接着技術をコア技術として、自動車内装照明関連、卓球ラケット用ラバー、RFIDタグ用ゴム製品などの工業用ゴム事業、およびディスポーザブル用ゴム製品などの医療・衛生用ゴム事業を展開している。
自動車内装照明関連は、車載用小型電球の光源カラーキャップ「ASA COLOR LAMPCAP」や、車載用LED照明の光源カラーキャップ「ASA COLOR LED」が主力製品である。
19年3月期セグメント別売上構成比は工業用ゴム事業84%、医療・衛生用ゴム事業16%、営業利益構成比(連結調整前)は工業用ゴム事業80%、医療・衛生用ゴム事業20%だった。
第12次三カ年中期経営計画「V-2計画」では経営目標値に20年3月期売上高70~80億円、営業利益率8%以上を掲げている。事業分野を車載・照明、医療・ライフサイエンス、その他(卓球ラケット用ラバー、RFIDタグ用ゴム製品など)に再編し、新たな付加価値の創造や、ゴム技術を生かした機構部品の創造を推進している。車載・照明分野では、従来の自動車インテリア照明に加えて、新たにエクステリア市場に参入する。医療・ライフサイエンス分野では、独自開発の医療用回路部品などの市場投入を計画している。
技術開発では、RFIDタグ用ゴム製品で培った技術を活用した簡易睡眠ポリグラフ検査用着衣型ウェアラブルシステム、風車用プラズマ気流制御用電極、視認性に優れ疲労低減特性のある自動車内装照明用LEDなどの開発を推進している。
18年7月には、プラズマ気流制御電極開発事業が平成30年度福島県産総研連携再生可能エネルギー等研究開発補助事業補助金の研究テーマとして採択された。18年8月には、原案作成から参画してきた「照明器具用白色シリコーンインキ塗膜」に関するJIS規格が制定された。
■20年3月期減益予想だが下期収益改善期待
20年3月期連結業績予想は、売上高が19年3月期比1.3%増の78億10百万円、営業利益が4.1%減の4億64百万円、経常利益が8.4%減の4億66百万円、純利益が5.8%減の3億32百万円としている。配当予想は期末に創立50周年記念配当10円を実施し、年間30円(第2四半期末10円、期末20円=普通配当10円+記念配当10円)としている。19年3月期比10円増配となり、予想配当性向は40.9%となる。
第1四半期は、売上高が前年同期比7.8%減の17億96百万円で、営業利益が56.8%減の72百万円、経常利益が59.3%減の72百万円、そして純利益が58.3%減の51百万円だった。
工業用ゴム事業は9.7%減収、49.3%減益だった。自動車向け製品全般が減少し、RFIDタグ用ゴム製品も顧客の在庫調整の影響で減少した。なお自動車内装用照明ASA COLOR LEDは緩やかな回復傾向としている。医療・衛生用ゴム事業は5.9%増収、6.0%増益だった。採血用・薬液混注用ゴム製品で新製品への入替が進んだ。
通期は、自動車関連ゴム製品やRFIDタグ用ゴム製品など工業用ゴム事業の受注が増加して増収だが、医療・衛生用ゴム事業の減収、設備投資や人員補強に伴うコスト増加で減益見込みとしている。ただし期初時点で上期は減収減益見込み、下期偏重の計画としている。下期の収益改善を期待したい。
■株価は反発の動き
株価は8月の直近安値圏から反発の動きを強めている。調整一巡して出直りを期待したい。9月13日の終値は635円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS73円30銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想年間30円で算出)は約4.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS987円28銭で算出)は約0.6倍、時価総額は約29億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)