【どう見るこの相場】「モグラたたき相場」では海洋プラごみ関連株、地政学リスク関連株にセクター・ローテーションも

どう見るこの相場

 「殿 ご乱心」ならぬ「殿 ご変心」である。「殿」とは、もちろん米国のトランプ大統領のことである。イランや北朝鮮に対して保守最強硬派のボルトン大統領補佐官を解任し、10月1日に発動予定の中国への制裁関税の拡大を10月15日まで延期すると発表したからだ。とにかく大統領就任以来2年余、イランとの核合意から離脱し、地球温暖化防止のパリ協定からも脱退、極め付きの中国に対する制裁関税の連発などやりたい放題で、「乱心」ともいうべき自国第一主義は、「トランプ・リスク」として世界のマーケットを揺さぶり続けてきた。「乱心」が「変心」に様変わりし、その「変心」が、サウジアラビアの石油関連施設への攻撃で「乱心」に逆戻りしない限り、マーケット関係者はひとり残らずウエルカムである。

 この変節は、来年11月の大統領選挙での再選を目指す「ディール」に過ぎないと眉を顰める投資家も少なくないだろうが、投資家も、「昨日の敵は今日の友」くらいに割り切って、ここはトランプ大統領の「ディール」には大いに見習う必要がある。すでに日経平均株価は、9月に入って8月の急落分を埋めて4カ月半ぶりの高値に躍り出た。市場センチメントは、「弱気」は「強気」へ、「リスクオフ」は「リスクオン」に百八十度、トレンド転換するとしたら、変わり身の早さを発揮しなくては市場を出し抜けないことになる。

 ただこのサプライズは、まだ初動段階の危うさを否定できず、そこここに短期志向の逃げ足の速い資金が出没することには注意が必要となる。よくいえばセクター・ローテーションとなるが、銘柄個々の日々の浮き沈みが激しいのである。今回の日経平均株価の9連騰でも、銀行株、保険株、地銀株などのバリュー株(割安株)が、軒並み高になってグロース株(成長株)が売られたと思ったら、次の日には逆にグロース株が買い直されて急伸し、バリュー株が、売られて急落した。相場は、日替わりメニューで動き、悪くいえば食い散らかしの傾向も懸念される。

 こうした激しい循環相場は、かつてゲームセンターで人気となった「モグラたたきゲーム」になぞらえて「モグラたたき相場」といわれたことがある。モグラたたきゲームでは、遊技台の穴から頭を出したモグラを手にしたハンマーで機敏にヒットしなくては高得点を稼げなかったが、相場の方でも動いた株、動きそうな株に飛び乗り、飛び降り回転を効かせないと高パフォーマンスが期待できなかったからだ。9月相場に入っての3連休前までの9連騰は、まさにこの「モグラたたき相場」の再来を思わせるところがある。とすれば「理屈は後から貨車で来る」の相場格言が教えるようにように、ここからはどのセクター株にも出番が回ってくる可能性があることになる。ここは、とにかく「ディール」巧者のトランプ大統領を見習ってモグラの頭を見極めて素早く叩くところだろう。

 そこで今週の当コラムでは、「モグラ」候補株として2つのセクター株にハンマーを構えることとした。一つは、小泉進次郎環境大臣関連株である。9月12日に発足した第4次安倍再改造内閣では、株式市場ではこれといったご祝儀相場は見当たらない。これからご祝儀相場があるとしたら、同内閣の目玉人事となった小泉環境相のパフォーマンス次第となる可能性があるからだ。もう一つは、トランプ大統領の北朝鮮政策の転換に伴い動意付く可能性のある地政学リスク関連株である。サウジの石油関連施設の攻撃で中東情勢が緊迫化すれば、出番も近いはずである。

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