【新規上場(IPO)銘柄】Welbyは結節性硬化症患者のためのレジストリJTSRIM構築を開始、リバウンド幅広げるか注目

株式市場 IPO 鐘

 Welby(ウェルビー)<4438>(東マ)は、本年3月29日に東京証券取引所マザーズに上場。同社は、は、2011年から「PHR(Personal Health Record)プラットホームサービス」を提供するリーディングカンパニーとして、様々な疾患領域の患者さんを対象とする、治療支援デジタルサービスの企画・開発・運用をしている。

 提供するPHRサービスの一つ「Welbyマイカルテ」は、糖尿病、高血圧などの生活習慣病患者を対象に、血糖値や血圧などの自己管理を支援するスマートフォン向けアプリで、大手製薬企業と共同で企画し、Welbyが運営するPHRサービスも数多くあり、生活習慣病をはじめとして、オンコロジー領域、中枢神経系領域、自己免疫疾患、希少疾患など、幅広い領域でPHRサービスを提供している。また、様々な疾患領域におけるPHRサービスの実績とID・DB基盤を活かし、臨床研究を対象としてPHR/PROを活用したエビデンス創出の相談から、 PHR/PROの収集システムの開発・運用、機器の運用支援までをパートナー企業と連携して提供している。


 9月17日に日本結節性硬化症学会(事務局:東京都文京区、理事長:水口雅 東京大学大学院 医学研究科 国際保健学 発達医科学分野 教授)と共同で、全身性疾患である結節性硬化症(TSC)の医療の質を向上し、各々の患者がより適切に検査・治療を受けられる様にするため、TSC専用のレジストリJTSRIM(Japan Tuberous Sclerosis Complex Registry to Improve Disease Management)の構築を開始することを発表した。

 JTSRIMでは、Welbyが提供するPHRプラットフォームを活用して、複数施設にまたがる診療情報を一本化し、TSC患者とその家族も自身のスマートフォンなどを通じて、クラウド上に病態や病状を記録でき、かつ診療情報にアクセスできるシステムの構築を目指すとしており、来年4月に予定されるレジストリ運営開始による業績寄与が期待される。

 足元の業績は、今2019年12月期第2四半期業績実績が、売上高2億0200万円、営業損益1億0100万円の赤字、経常損益1億1300万円の赤字、最終損益8100万円の赤字に着地。第2四半期は、日本糖尿病学会年次学術集会において、「Welbyマイカルテ」の利用と治療効果改善の相関に ついて発表したほか、マルホ株式会社と「ニキビログ」「アトピーノート」をリリースし、皮膚科領域でのPHRサービス拡大につなげている。

 今19年12月期業績予想は、売上高10億2900万円(前期比34.2%増)、営業利益2億円(同28.7%増)、経常利益1億8400万円(同19.9%増)、純利益1億5600万円(同11.4% 減)を見込む。年間配当は無配を予定している。

 株価は、6月12日につけた上場来高値の2万円から9月17日に上場来安値1万1530円と売られたが、同日大引け後に日本結節性硬化症学会と共同で、結節性硬化症患者のためのレジストリ JTSRIM構築を開始と同時に10月3日現在の株主を対象に1対4の株式分割を実施すると発表。来年4月のレジストリ運営開始予定と株式流動性の向上に対する期待感を背景に18日高値1万3500円と買われている。日本糖尿病学会の発表で、「Welbyマイカルテ」が患者の生活習慣改善のモチベーション向上に寄与し、一定の利用頻度と治療効果改善が相関することも実証されており、1万3000円どころを下値にリバウンド幅を広げるか注目したい。(株式評論家・信濃川)

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