マルマエは下値切り上げ、20年8月期収益拡大期待

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 マルマエ<6264>(東1)は、半導体・FPD製造装置向け真空部品などの精密切削加工事業を展開している。受注は19年2月をボトムとして回復傾向だ。19年8月期は減収減益予想だが、20年8月期の収益拡大を期待したい。株価は小動きだが徐々に下値を切り上げている。出直りを期待したい。なお10月10日に19年8月期決算発表を予定している。

■半導体・FPD製造装置向けの精密切削加工事業

 半導体・FPD(フラットパネルディスプレー)製造装置に使用される真空部品や電極などの精密切削加工事業を展開している。

 半導体分野の需要拡大に対応するため、パイオニアプラズマディスプレイ鹿児島工場の一部を取得し、出水事業所として18年4月稼働した。電子ビーム溶接関連の生産も開始した。作業補助・介護ロボットの開発(鹿児島大学と共同研究)では、18年7月第二種医療機器製造販売業の許可を取得し、医療機器製造業の登録を行った。

 中期事業計画(19年8月期~21年8月期)では目標として、売上高80億円、営業利益24億円(営業利益率30%)、資産ベースROIC20%(18年8月期実績16.4%)、負債ベースROIC15%(18年8月期実績11.8%)、配当性向30%以上(年間最低配当額10円、ただし最終損益が赤字となる場合は見直しを行う)を掲げている。

 また21年8月期までに医療機器部門の事業化、自社FA技術構築による生産性革新も推進する。設備投資額は市場動向を見ながら判断するため、出水事業所が稼働した18年8月期の24.5億円をピークとして減少する見込みだ。なお19年2月に本社を出水事業所内に移転し、本社機能の充実や業務の効率化を推進している。

■19年8月期減益予想だが20年8月期収益拡大期待

 19年8月期の非連結業績予想(3月29日に下方修正)は、売上高が18年8月期比9.1%減の41億70百万円、営業利益が57.1%減の5億30百万円、経常利益が57.9%減の5億10百万円、純利益が57.3%減の3億70百万円としている。配当予想(3月29日に期末5円減額)は、18年8月期比5円減配の年間15円(第2四半期末10円、期末5円)としている。予想配当性向は52.9%となる。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比11.9%減の29億48百万円、営業利益が62.2%減の3億57百万円、経常利益が63.1%減の3億45百万円、純利益が66.4%減の2億25百万円だった。受注減少(26.3%減の26億66百万円)に伴って2桁減収となり、出水事業所稼働に伴う労務費や減価償却費の増加も影響して大幅減益だった。

 分野別受注高は半導体分野が17.7%減の22億23百万円、FPD分野が中国G6有機EL投資停滞で53.3%減の4億10百万円、その他分野が8.7%減の32百万円、分野別売上高は半導体分野が4.7%減の23億49百万円、FPD分野が41.8%減の4億58百万円、その他分野が2.5倍の64百万円だった。

 なお月次受注残高(速報値)を見ると、19年8月は半導体分野が3億91百万円(前月比14.9%減、前年同月比42.0%減)、FPD分野が3億40百万円(前月比38.3%増、前年同月比41.9%増)、その他分野が4百万円で、合計が7億37百万円(前月比3.6%増、前年同月比22.7%減)だった。

 前年同月比では大幅減だが、19年2月の合計6億20百万円をボトムとして徐々に回復している。半導体分野は高水準の出荷検収で受注残が減少したが、受注は横ばいだった。FPD分野は電子ビーム溶接(EBW)工程の受注が始まり、消耗品の一括受注も寄与した。今後の見通しとして、半導体分野はロジック向け投資が続き、サーバ向けメモリにも再開の動きが見られるとしている。

 19年8月期は減収減益予想だが、20年8月期の収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は毎年8月末時点で6ヶ月以上保有株主対象

 株主優待制度は、毎年8月末日現在、6ヶ月以上継続して1単元(100株)以上(17年3月1日付株式2分割後)保有株主を対象として、クオカード1000円分を贈呈する。

■株価は下値切り上げ

 株価(18年11月27日付で東証2部から東証1部に市場変更)は小動きだが、徐々に下値を切り上げている。出直りを期待したい。9月24日の終値は877円、前期推定PER(会社予想EPS28円35銭で算出)は約31倍、前期推定配当利回り(会社予想の年間15円で算出)は約1.7%、前々期実績PBR(前々期実績BPS393円21銭で算出)は約2.2倍、時価総額は約114億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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