【編集長の視点】クレスコは反落も連続最高業績見直しにミニGC示現の好形チャートも加わり下値買いが交錯

クレスコ<4674>(東1)は、前日25日に35円安の3610円と反落して引けた。日経平均株価が、4営業日ぶりに反落したことから、年初来高値3940円から8月5日につけた直近安値3270円まで下げた調整幅の半値戻しをクリアしていた同社株にも目先の利益を確定する売り物が出た。ただ下値には今2020年3月期業績が、10期連続して過去最高更新と予想され、8月6日に発表した今期第1四半期(2019年4月~6月期、1Q)決算も、市場コンセンサスを上回って着地したことを見直し、売られ過ぎ訂正買いや今期中間配当の権利取りの買い物が交錯した。テクニカル的にも、5日移動平均線が、下から25日移動平均線を上に抜くミニ・ゴールデンクロス(GC)を示現しており、上昇トレンド転換を示唆したとして買い材料視されている。

■「デジタル変革」需要を広範囲に取り込み10期連続の増収増益予想

 同社の今2020年3月期通期業績は、売り上げ378億8000万円(前期比7.5%増)、営業利益34億円(同6.0%増)、経常利益38億1300万円(同4.2%増)、純利益24億1600万円(同5.7%増)と予想され、10期連続の増収増益で過去最高を更新する。「デジタル変革」時代の到来を背景に顧客層の裾野が拡大する好事業環境下、基幹系システムの更改、新規サービスの対応システム、新商品の組込みシステム、人材不足解消・生産性向上のためのシステム(AI、RPA)、運用コスト削減に向けたクラウド移行など有望なビジネスが拡大しており、同社がITパートナーとして先端技術を積極的に取り込みサービス、ソリューションを充実させて提供していることが要因となる。なお配当も、年間68円(前期実績66円)と増配を予定している。

 8月6日に開示した今期1Q業績は、前年同期比14.0%増収、63.1%営業増益、7.6%経常減益、4.7%純益増益となり、経常利益は、金融商品の評価損計上で減益転換したが、受注高が同13.1%増、受注残高が同25.9%増と続伸し、品質管理と収益管理の徹底により大きな不採算プロジェクトが発生したかったことなどが寄与した。1Q業績は、市場コンセンサスを売り上げで約6億円、営業利益で2億2000万円上回った。

■直近安値への調整幅の半値戻しを達成し全値戻しの年初来高値3940円を奪回

 株価は、米国での機械学習を利用した疾患分類の手法に米国特許が成立したことを追撃材料に年初来高値3940円まで買い進まれたが、中国への米国の制裁関税第4弾発動で世界同時株安が再燃しツレ安して3270円安値に突っ込んだ。同安値からは、売られ過ぎ訂正にオフショア開発強化のためのベトナム子会社設立も加わって3645円までリバウンド、年初来高値から直近安値への調整幅の半値戻しを達成するとともに、ミニGCを示現して上昇トレンド転換を鮮明化した。相場格言の「半値戻しは全値戻し」の通りに年初来高値3940円の奪回に再発進し、昨年1月につけた上場来高値4875円を視野に捉えよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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