エイトレッドは売り一巡、20年3月期増収増益・増配予想

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 エイトレッド<3969>(東1)はワークフローを電子化する「ワークフローシステム」を展開している。新規導入企業数・クラウド利用数が増加基調であり、20年3月期増収増益・増配予想である。収益拡大を期待したい。株価は7月の上場来高値から反落して水準を切り下げたが、売り一巡して出直りを期待したい。

■国内ワークフローシステム市場でシェア1位

 ソフトクリエイトホールディングス<3371>の連結子会社で、ワークフローを電子化する「ワークフローシステム」を展開している。

 ワークフローというのは、企業における稟議書、経費精算申請書、各種届け出書などの作成~申請~回覧~承認~保存~履歴管理のように、企業内における業務・事務処理手続きの一連の流れ・プロセスのことである。

 このワークフローをコンピュータに組み入れて、従来の紙文書での手書き・回覧作業を、パソコン・スマホ入力で電子文書化することによって、業務負担の軽減、ペーパーレス化、回覧に要する時間の短縮、書類の紛失防止など、業務効率化・迅速化やセキュリティ向上を実現するシステムが「ワークフローシステム」である。

 主力製品は、パッケージ型の中小・中規模企業向けX-point、大手・中堅企業向けAgileWorks、クラウド型のX-point Cloudである。販売面では、第2位株主のSCSK<9719>など大手SIとパートナー関係を構築している。

 19年3月期の製品別売上高は、パッケージソフトが18年3月期比28.6%増の11億07百万円(X-pointが0.4%減の4億27百万円、AgileWorksが57.5%増の6億79百万円)で、クラウドサービスが38.6%増の3億41百万円だった。X-pointはクラウドサービスへの移行で減少だが、AgileWorksとX-point Cloudが増加基調である。

 19年3月期末の導入社数は18年3月期末比16.0%増の2716社、クラウドユーザー数は38.3%増の5万2064人となった。国内ワークフローシステム市場においてシェア1位である。

■ワークフローシステム市場は拡大基調

 ワークフローシステムによる電子文書化を導入せず、依然として紙・手書きベースでの業務・事務処理に依存している企業が多いため、ワークフローシステムの潜在市場は大きい。また在宅勤務やテレワークといった働き方改革の推進、企業不祥事防止のための内部統制強化の流れなども背景として、ワークフローシステム市場は拡大基調が期待される。

 さらにRPAとの組み合わせによる業務全般の自動化を目指す動きも活発化している。こうした潜在市場に対応し、中期成長戦略として他社サービスとの連携も強化して、AgileWorksやX-point Cloudの売上拡大を推進する方針だ。

■20年3月期増収増益・増配予想

 20年3月期の非連結業績予想は、売上高が19年3月期比10.5%増の16億円、営業利益が8.8%増の5億60百万円、経常利益が14.4%増の5億60百万円、純利益が20.2%増の3億75百万円としている。配当予想は5円増配の年間16円(第2四半期末8円、期末8円)で、予想配当性向は31.8%となる。

 第1四半期は、売上高が前年同期比25.8%増の3億55百万円で、営業利益が79.6%増の1億04百万円、経常利益が78.9%増の1億04百万円、純利益が91.1%増の67百万円だった。導入企業増加でパッケージソフトが22.0%増収(X-pointが1.8%増収、AgileWorksが42.6%増収)、クラウドサービスが36.3%増収と好調に推移し、クラウド比率の上昇も寄与して大幅増益だった。

 通期の製品別売上高の計画は、パッケージソフトが5.1%増の11億63百万円(X-pointが3.8%減の4億11百万円、AgileWorksが10.7%増の7億52百万円)で、クラウドサービスが27.9%増の4億36百万円としている。

 第1四半期の進捗率は売上高22.2%、営業利益18.6%だが、新規導入企業数・クラウド利用数が増加基調であり、通期ベースでも収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は9月末と3月末の年2回

 株主優待制度は年2回、毎年9月末および3月末時点の株主を対象として、保有株式数に応じてオリジナルQuoカードを贈呈する。

■株価は売り一巡

 株価(19年3月15日付で東証マザーズから東証1部に市場変更)は、7月の上場来高値から反落して水準を切り下げたが、売り一巡して出直りを期待したい。9月30日の終値は1580円、今期予想PER(会社予想EPS50円38銭で算出)は約31倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間16円で算出)は約1.0%、前期実績PBR(前期実績BPS317円40銭で算出)は約5.0倍、時価総額は約118億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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