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アルコニックスは下値固め完了、20年3月期増益・増配予想
- 2019/10/3 05:43
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
アルコニックス<3036>(東1)は商社機能と製造業を融合する「非鉄金属の総合企業」を目指している。20年3月期増益・増配予想である。収益拡大を期待したい。株価は8月の直近安値圏から反発の動きを強めている。下値固め完了して出直りを期待したい。なお11月8日に第2四半期決算発表を予定している。
■商社機能と製造業を融合する「非鉄金属の総合企業」目指す
軽金属・銅製品(伸銅品、銅管など)、電子・機能材(レアメタル・レアアース、チタン・ニッケル製品など)、非鉄原料(アルミ・亜鉛地金など)、建設・産業資材(配管機材など)を取り扱う非鉄金属商社グループである。
商社機能と製造業を融合する「非鉄金属の総合企業」を目指し、M&Aも積極活用して、非鉄金属の周辺分野も含めた川上(製造)~川中(流通)~川下(問屋)を網羅するビジネス展開を推進している。
■製造が利益柱
19年3月期セグメント別売上高構成比は、商社流通84%(電子機能材33%、アルミ銅51%)で製造16%(装置材料8%、金属加工8%)だが、経常利益構成比は商社流通28%(電子機能材12%、アルミ銅16%)で製造72%(装置材料10%、金属加工63%)だった。
レアメタル・レアアースなど非鉄金属の市況、持分法投資損益、M&Aに伴うのれん償却や負ののれん益なども収益変動要因となるが、積極的なM&Aで製造が連結経常利益の過半を占める収益柱となっている。
中期経営計画(20年3月期~22年3月期、1年ごとに見直すローリング方式)では、経営目標値を22年3月期の経常利益100億円超、純利益70億円超、ROE13~15%程度、NET/DER1.0~1.3倍程度としている。
3年間の投融資総額はM&A・事業投資を中心に250億円~300億円で、ROIC10%を目標とする。商社機能と製造業を融合する「非鉄金属の総合企業」を目指して積極投資を推進する方針だ。
18年12月には摩擦調整材のカシューパーティクルを製造販売する東北化工を連結子会社化してブレーキ関連市場に参入、19年2月にはカーボンブラシを製造販売する富士カーボン製造所を連結子会社化した。19年6月には、香港でリチウムイオン電池用材料関連事業の合弁会社を設立、中国で建設用仮設資材の輸入・製造・販売の合弁会社を設立した。
19年7月には、メキシコFNA社(富士プレスが日邦産業と共同設立)の自動車部品用精密金属プレス部品事業を、メキシコFUJI-MX社(18年12月設立)が譲り受けて営業開始した。FNA社の事業運営に係る日邦産業との合弁契約は解消した。
■20年3月期増益・増配予想
20年3月期の連結業績予想は、売上高が19年3月期比3.3%増の2660億円、営業利益が8.7%増の68億円、経常利益が11.9%増の70億円、純利益が17.2%増の47億円としている。配当予想(8月6日に年間2円上方修正=第2四半期末1円+期末1円)は、19年3月期比3円増配の年間42円(第2四半期末21円、期末21円)としている。連続増配で予想配当性向は22.5%となる。
第1四半期は、売上高が前年同期比9.7%減の601億81百万円、営業利益が38.9%減の12億32百万円、経常利益が25.3%減の15億47百万円、純利益が44.9%減の9億01百万円だった。
製造―金属加工(16.9%増益)は持分法投資利益の計上で増益を確保したが、中国経済の減速による需要減少、市況下落、レアメタル在庫の一部の評価損計上などで、商社流通―電子機能材(赤字化)および商社流通―アルミ銅(23.8%減益)の損益が悪化した。製造―装置材料(92.2%減益)は新規連結の富士カーボン製造所の業績が計画を下回ったことも影響した。
通期は製造―金属加工が富士プレスとのメキシコ合弁事業立ち上げ(19年7月営業開始予定)関連費用で減益見込みだが、19年3月期のM&Aも通期寄与して増収増益予想である。
セグメント別経常利益の計画は、商社流通が28.9%増の22億50百万円(電子機能材が59.4%増の11億50百万円、アルミ銅が7.3%増の11億円)、製造が5.0%増の47億50百万円(装置材料が2.1倍の12億50百万円、金属加工が10.6%減の35億円)としている。
第1四半期の進捗率は、売上高が22.6%、営業利益が18.1%、経常利益が22.1%、純利益が19.2%である。やや低水準だが、通期ベースで収益拡大を期待したい。
■株主優待制度は3月末の株主対象
株主優待制度は、毎年3月末時点の株主を対象として、保有株式数および保有期間に応じて贈呈(詳細は会社HP参照)する。
■株価は下値固め完了
株価は8月の直近安値圏から反発の動きを強めている。下値固め完了して出直りを期待したい。10月2日の終値は1278円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS186円36銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間42円で算出)は約3.3%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1489円59銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約331億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)