トーセは20年8月期減益予想だが下値切り上げ

トーセ<4728>(東1)は家庭用ゲームソフト開発・制作請負の専業最大手である。19年8月期は計画超の大幅増収増益だった。20年8月期は人材などの先行投資で大幅減益予想だが、中期的に収益拡大を期待したい。株価はネガティブ反応が限定的で、徐々に下値を切り上げている。出直りを期待したい。

■家庭用ゲームソフト開発・制作請負の専業最大手

 家庭用ゲームソフト開発・制作請負の専業最大手で、デジタルエンタテインメント事業(ゲームを中心とするデジタルコンテンツの企画・開発・運営などの受託)、その他事業(SI事業、家庭用カラオケ楽曲配信事業、コンサート事業やクレーンゲーム事業などの新規事業)を展開している。

 収益は、開発業務の進行に合わせて受け取る開発売上、コンテンツ配信後の運営に伴う運営売上、コンテンツ販売数量に基づくロイヤリティ売上で、大型案件の開発受託の有無や開発完了・売上計上時期などによって変動しやすい特性がある。またプロジェクトの大型化に伴って開発期間が長期化する傾向を強めている。

 19年8月期の売上構成比はデジタルエンタテインメント事業91.1%、その他事業8.9%だった。デジタルエンタテインメント事業の分野別売上構成比はゲームソフト関連46.6%、モバイルコンテンツ関連46.5%、パチンコ・パチスロ関連6.9%だった。開発完了タイトル数は家庭用ゲーム機向け3本、PC向け3本、スマホ向け8本、合計14本だった。

 複雑化・多様化するゲーム市場において、豊富なパイプライン展開を可能とする多彩な技術ポートフォリオ、長年の実績とノウハウに基づく信用力、開発売上とストック型の運営売上を持つ安定的なビジネスモデルを特徴としている。

■19年8月期は計画超の大幅増収増益、20年8月期は大幅減益予想

 19年8月期連結業績は、売上高が18年8月期比18.5%増の53億52百万円、営業利益が58.8%増の3億63百万円、経常利益が51.1%増の4億04百万円、純利益が32.7%増の2億50百万円だった。配当は18年8月期と同額の年間25円(第2四半期末12円50銭、期末12円50銭)とした。配当性向は75.8%となる。

 デジタルエンタテインメント事業において家庭用ゲーム大型案件を中心に開発が順調に完了し、計画超の大幅増収増益だった。売上高は、デジタルエンタテインメント事業が14.8%増収(ゲームソフト関連32.9%増収、モバイルコンテンツ関連3.5%増収、パチンコ・パチスロ関連2.9%減収)で、その他事業がSI事業の好調で76.4%増収だった。

 20年8月期の連結業績予想は、売上高が19年8月期比3.7%減の51億52百万円、営業利益が37.7%減の2億26百万円、経常利益が36.1%減の2億58百万円、純利益が42.9%減の1億42百万円としている。配当予想は19年8月期と同額の年間25円(第2四半期末12円50銭、期末12円50銭)で、予想配当性向は132.8%となる。

 引き合いは順調だが、持続的成長に向けた人材への先行投資などで利益は大幅減益予想としている。売上高は、デジタルエンタテインメント事業が8.1%減収(ゲームソフト関連18.4%減収、モバイルコンテンツ関連8.5%増収、パチンコ・パチスロ関連50.6%減収)で、その他事業が40.8%増収の計画としている。

 稼働プロジェクト数は減少しているが、案件大型化傾向で1億円規模のスマホ向け案件が増加する。開発完了タイトル数はスマホ向け4本、据置型ゲーム機向け2本、アーケードゲーム機向け2本、PC向け1本、合計9本の予定である。またストック収入となる運営サイト数は25サイトの高水準を維持する。

 20年8月期は人材などの先行投資で大幅減益予想だが、中期的に収益拡大を期待したい。

■株価は下値固め完了

 株価はネガティブ反応が限定的で、徐々に下値を切り上げている。出直りを期待したい。10月21日の終値は841円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS18円83銭で算出)は約45倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間25円で算出)は約3.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS780円70銭で算出)は約1.1倍、時価総額は約65億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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