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マーチャント・バンカーズは売られ過ぎ感、20年3月期大幅営業増益予想
- 2019/10/28 04:41
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
マーチャント・バンカーズ<3121>(東2)は、マーチャント・バンキング事業とオペレーション事業を展開し、中長期的な成長戦略としてブロックチェーン技術を活用した事業を強化する方針だ。20年3月期大幅営業増益予想である。収益拡大を期待したい。株価は年初来安値圏で軟調展開だが売られ過ぎ感を強めている。調整一巡して反発を期待したい。
■マーチャント・バンキング事業とオペレーション事業を展開
マーチャント・バンキング事業(国内外の企業および不動産向けの投資事業)と、オペレーション事業(宿泊施設・ボウリング場・インターネットカフェ店舗・服飾雑貨店の運営、病院食業務受託)を展開している。19年3月期の営業利益構成比(調整前)はマーチャント・バンキング事業91%、オペレーション事業9%だった。
賃貸用収益不動産およびオペレーション事業によって安定的なキャッシュ・フローを確保し、投資事業やブロックチェーン技術を活用した事業を強化する戦略だ。
■マーチャント・バンキング事業は企業・不動産向け投資
マーチャント・バンキング事業は、国内外の企業および不動産向け投資を展開している。企業投資はブロックチェーン・AI(人工知能)・再生医療の3分野を重点的投資分野として、投資先とともに企業価値を創造していく「ハンズオン型」の投資を行う。
企業投資実績としては、ブロックチェーンプラットフォーム開発のアーリーワークス、デジタルマーケティング支援のポイントスリー、ブライダル・ホテル運営のホロニック、見守り型介護ロボット開発のIVホールディングス、金属コーティング加工のCN Innovationsがある。19年6月にはIVホールディングスと販売合弁会社を設立し、販売合弁会社が静脈認証システム開発のSYNCHROと業務提携した。
不動産投資は、ネット利回り5%以上を期待できる大都市圏の賃貸用マンションやホテルを中心に、19年8月時点で24物件・取得価額103億円を保有し、年間7億円の賃料収入を安定的に確保している。
今後は新たな賃貸用不動産取得による収益基盤強化を進めるとともに、不動産特定共同事業法にかかる許可を取得し、多様な資金調達手段の確保に取り組む方針だ。また19年9月には内装工事のプレステージプランニングと業務提携した。不動産事業の強化に向けて、新たにリノベーション事業に取り組む。
■STOなどブロックチェーン技術を活用した事業を強化
中長期的な成長戦略として、子会社MBKブロックチェーンを中心に、不動産などの資産を小口にトークン化して投資希望者を募るSTO(Security Token Offering)など、ブロックチェーン技術を活用した事業(決済・送金等の金融サービス、不動産の流動化、資金調達など)を強化する方針だ。
18年11月ブロックチェーンプラットフォーム開発のアーリーワークスと資本業務提携した。19年1月仮想通貨「Z502」のイノベーション合同会社と資本業務提携した。子会社MBKブロックチェーンがプロモーション活動全般の企画を行い、業務受託料を得る。
また大株主のアートポートインベストと共同で設立した新会社が、ユーロ圏での営業ライセンスを保有する仮想通貨交換所CRYPTOFEXの運営会社CR社(エストニア)を19年5月買収し、19年7月ブランド名をANGOO FinTech(アンゴーフィンテック)に変更した。アーリーワークスのブロックチェーンプラットフォームを採用し、ユーロ圏20ヶ国以上を対象にサービス提供予定(当初19年8月予定としていたが延期)である。
19年8月には子会社MBKブロックチェーンがCR社と独占的業務委託契約を締結した。ANGOO FinTechの審査やプロモーションを行い、業務請負収入や配当収入を収益とする。
19年9月には香港のBS証券と、アジアの企業を対象としたSTO(Security Token Offering)ビジネス、および香港証券取引所への上場を目指す日本企業へのアドバイザリー業務に関して業務提携した。BS証券の顧客でSTOによる資産流動化や資金調達を希望する企業に対して、STOに関する情報提供、トークンによる資金調達・流通の場としてのANGOO FinTechの紹介などによって手数料を得る。
■オペレーション事業は活性化・拡大を推進
オペレーション事業は、岐阜県土岐市の土岐ボウリング運営、兵庫県加古川市の加古川プラザホテル運営、愛媛大学医学部付属病院の病院食業務受託、東京都内2店舗のインターネットカフェ運営、子会社ケンテンの服飾雑貨店運営を展開している。
今後の戦略としては、大株主アートポートインベストの関連会社アートポートアジア(香港)が著作権を持つ映像コンテンツや、子会社MBKブロックチェーン中心に取り組んでいるブロックチェーン技術を活用して、オペレーション事業の活性化・拡大を推進する。
19年6月には中国の大手医療機関・大承医療投資と、大承医療投資が経営する病院での病院食業務受託に関する業務提携を基本合意した。19年7月にはネットカフェ運営のランシステム<3326>と、映像作品プロモーションタイアップに関して基本合意した。19年8月には大承医療投資と、医療ツーリズムおよびネットカフェの展開でも業務提携の基本合意者を締結した。19年9月には子会社ケンテンがネット販売を開始した。
■20年3月期大幅営業増益予想
20年3月期の連結業績予想は、売上高が19年3月期比8.5%増の21億円、営業利益が2.4倍の2億50百万円、経常利益が1億20百万円(19年3月期は4百万円の赤字)、純利益が71.7%減の80百万円としている。
第1四半期は売上高が前年同期比1.9%減の4億59百万円だが、販管費の抑制で営業利益が33.7%増の30百万円、経常利益が14.8%増の3百万円、投資有価証券売却益の剥落で純利益が93.4%減の2百万円だった。マーチャント・バンキング事業は1.8%減収だが、前期に新規取得した物件が寄与して19.5%増益だった。オペレーション事業は全般的に停滞して2.0%減収、15.7%減益だった。
なお子会社MBKブロックチェーンとCR社の独占的業務委託契約による第1号案件に関して、審査手数料およびプロモーション手数料として受領しているコインの会計処理を現在確認中であり、業績に与える影響も精査中としている。第1四半期の進捗率は低水準だが、通期ベースで収益拡大を期待したい。
■株価は売られ過ぎ感
株価は年初来安値圏で軟調展開だが売られ過ぎ感を強めている。調整一巡して反発を期待したい。10月25日の終値は295円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS2円87銭で算出)は約103倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間1円で算出)は約0.3%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS125円41銭で算出)は約2.4倍、時価総額は約82億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)