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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】インフォマート1200円近辺のフシ突破、中期成長力を評価して一段高
- 2015/4/24 07:12
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
企業間電子商取引プラットフォームを提供するインフォマート<2492>(東マ)の株価は、14年7月1188円を突破して4月15日に上場来高値1248円まで上伸した。1200円近辺のフシ突破の動きであり、中期成長力を評価して一段高の可能性があるだろう。なお4月30日に第1四半期(1月~3月)の業績発表を予定している。
フード業界向けのEC(電子商取引)プラットフォーム「FOODS info Mart」で、企業間(BtoB)電子商取引の「ASP受発注システム」「ASP規格書システム」「ASP商談システム」「ASP受注・営業システム」「クラウドサービス」などを提供している。月額システム使用料収入が収益柱のストック型収益構造だ。
サービス拡充の一環として、フード業界企業向け総合マーケティングサービス「BtoB F-Marketing」や、フード業界向け情報発信の総合ポータルサイト「フーズチャネル」も開始している。
子会社はインフォライズがクラウドサービス事業、インフォマートインターナショナル(香港)が海外「FOODS info Mart」事業を展開している。なお15年3月に日立システムズとの合弁事業契約を解消し、インフォライズに対する日立システムズ出資分49%を譲り受けてインフォライズを完全子会社化した。
中期成長を加速させる戦略として業界標準化に向けたフード業界向けBtoBビジネスの強化、他業界BtoB展開の美容業界向け「BEAUTY info Mart」や、医療業界向け「MEDICAL info Mart」による事業領域拡大、次世代BtoB&クラウドプラットフォームの拡販を推進している。14年11月にはフード業界だけでなく、請求書のやり取りがある全ての業界に対応できる電子請求の新サービス「ASP請求書システム」を開始した。
アライアンス戦略では13年5月にJFEシステムズ<4832>、13年6月に東芝テック<6588>、13年11月に東京システムハウス、14年10月にヤマトホールディングス<9064>傘下のヤマトシステム開発とデータ連携している。
15年1月には全国の商工会議所・商工会等が運営する「ザ・ビジネスモール(B-MALL)」の事務局を務める大阪商工会議所と、全国の企業へ電子請求を推進することを目的として業務提携した。電子請求「ASP請求書システム」による企業のコスト削減・効率化で企業の利益アップを応援する。
14年12月末時点の「FOODS info Mart」利用企業数(海外事業を除く)は、13年12月末比2958社増加の3万7160社(売り手企業が同2662社増加の2万9919社、買い手企業が同296社増加の7241社)となった。大手の食材卸売企業や外食・中食チェーンも利用し、電話やFAXからWebに切り替えて受発注する企業・店舗が増加基調だ。
14年の「FOODS info Mart」年間取引高は9806億円となり、13年に比べて1188億円増加した。中期目標として掲げた年間システム取引高1兆円は15年に達成が濃厚となった。また外食産業における仕入金額ベースのシェアは13年の12.4%から14年は13.6%に上昇している。
4月6日には企業の受発注・請求業務における生産性向上を提供するため、内田洋行<8057>やミロク情報サービス<9928>など19社24ソリューションが提供する販売管理・会計・店舗管理システムとデータ連携を強化したと発表している。企業にとって利便性の高いビジネスインフラの提供を目指して今後も連携サービスを拡大し、3年後までに利用企業数100万社を目指すとしている。
なお前期(14年12月期)を四半期別に見ると、売上高は第1四半期(1月~3月)11億57百万円、第2四半期(4月~6月)12億06百万円、第3四半期(7月~9月)12億66百万円、第4四半期(10月~12月)13億48百万円で、営業利益は第1四半期4億23百万円、第2四半期4億17百万円、第3四半期5億46百万円、第4四半期5億57百万円である。ストック型収益構造で売上高、利益とも拡大基調だ。
今期(15年12月期)の連結業績見通しは売上高が前期比19.5%増の59億48百万円、営業利益が同17.4%増の22億83百万円、経常利益が同16.2%増の22億79百万円、純利益が同19.3%増の14億04百万円としている。
セグメント別売上高の計画は、ASP受発注事業が同12.5%増の33億13百万円、ASP規格書事業が同31.8%増の9億77百万円、ES事業(ASP商談事業、ASP受注・営業事業、およびASP請求書システム)が同28.3%増の15億39百万円、その他(クラウドサービス事業および海外事業)が同29.3%増の1億19百万円としている。
サーバー増強によるデータセンター費用の増加、新システムリリースによるソフトウェア償却費の増加、中期成長に向けた人員増加(新卒採用中心)による人件費の増加などで、前期に比べて増益幅が縮小する見通しだ。しかしASP受発注システムなど各システムの利用企業・店舗数増加に伴ってシステム使用料が増加基調であり、好業績が期待される。
配当予想(2月13日公表)は、15年1月1日付の株式2分割を考慮すると実質的に前期比2円07銭増配の年間11円76銭(第2四半期末5円88銭、期末5円88銭)としている。配当方針は個別業績に応じた配当性向(基本配当性向50%)としている。
今期の重点施策として、フード業界BtoBのシェア拡大を加速して「FOODS info Mart」利用企業数4万社を目指し、電子請求プラットフォームのデファクト化を推進する方針だ。業界標準化の進展、データ連携の強化、サービスの拡充、ホテル・給食業界への利用企業開拓、さらに新規分野への事業展開も寄与して中期的に成長加速が期待される。
株価の動き(15年1月1日付で株式2分割)を見ると、2月の安値895円から切り返し、14年7月の1188円を突破して4月15日に上場来高値1248円まで上伸した。中期成長力を評価する動きだろう。
4月23日の終値1200円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS23円26銭で算出)は52倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間11円76銭で算出)は1.0%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS66円75銭で算出)は18倍近辺である。
日足チャートで見ると25日移動平均線がサポートラインとなった。また週足チャートで見ると13週移動平均線と26週移動平均線が上向きに転じた。強基調への転換を確認した形だ。1200円近辺のフシ突破の動きであり、中期成長力を評価して一段高の可能性があるだろう。