ファーストコーポレーションは下値切り上げ、20年5月期減益予想だが中期収益拡大期待

 ファーストコーポレーション<1430>(東1)は造注方式を特徴として、分譲マンション建設に特化したゼネコンである。20年5月期減益予想で、第1四半期は大幅減益だったが、再開発事業への参画と超高層建築への取り組みを強化する方針としている。中期的に収益拡大を期待したい。株価は8月の年初来安値から徐々に下値を切り上げている。出直りを期待したい。

■分譲マンション建設に特化したゼネコン、造注方式が特徴

 東京圏(1都3県)を中心に、分譲マンション建設に特化したゼネコンである。造注方式による大手マンション・デベロッパーからの特命受注と高利益率、品質へのこだわりによる安心・安全なマンション供給を特徴としている。

 造注方式というのは、当社がマンション用地を開発し、マンション・デベロッパーに対して土地・建物を一体とする事業プランを提案し、マンション・デベロッパーから特命で建築を請け負うという受注方式である。入札方式に比べて好条件での請負が可能となる。

 品質に関しては「安全と品質の最優先」を掲げて、施工品質管理標準・マニュアル類の整備、階層別研修会の実施、施工検討会による安全で堅実な施工計画の策定、巡回検査による正確性の担保など、良質で均一な品質を維持するための取り組みを推進している。また第三者機関による検査導入については、施主が第三者機関による検査を実施しない場合でも、建造物の安全性を確保するために重要な杭工事、配筋工事、レディーミクストコンクリートを対象として、当社が自前で第三者機関による検査を導入するなど、安心・安全なマンション供給に向けた体制を整備している。

 請負先は飯田グループ、タカラレーベン、NTT都市開発、三井不動産レジデンシャル、阪急不動産など、大手を中心とする優良なマンション・デベロッパーである。

 収益面では受注高・受注残高の動向がポイントとなる。また完成工事高の収益認識は工事進行基準だが、不動産売上(マンション用地販売)によって四半期業績が変動する可能性がある。利益還元方針は、配当性向30%以上で経営成績や内部留保確保等を勘案して決定するとしている。

■20年5月期減益予想

 20年5月期の非連結業績予想は、売上高が19年5月期比5.2%増の200億05百万円、営業利益が31.7%減の12億82百万円、経常利益が32.6%減の12億64百万円、純利益が31.2%減の8億77百万円としている。配当予想は18円減配の年間20円(期末一括)で、予想配当性向は30.5%となる。

 不動産売上の増加で増収だが、期末受注残高減少や造注案件減少に伴う売上総利益率低下で減益予想としている。受注高は前期からずれ込み案件を含めて75.1%増の228億24百万円(8件合計、うち造注案件が2件)の計画としている。

 第1四半期は、売上高が前年同期比33.5%減の30億30百万円、営業利益が81.5%減の86百万円、経常利益が81.5%減の85百万円、そして純利益が82.7%減の55百万円だった。進行工事が減少して大幅減収減益だが、概ね計画水準としている。そして第2四半期以降に進行工事が増加して、売上高・利益とも回復見込みとしている。

■再開発事業への参画と超高層建築への取り組み強化

 中期経営計画「Innovation2019」では目標数値を、22年5月期売上高247億84百万円、営業利益17億54百万円、経常利益17億10百万円、純利益11億86百万円、受注高220億円、期末受注残高338億47百万円としている。

 19年5月期が創業以来初の減収減益となった反省を踏まえ、重点戦略としては東京圏での用地確保への注力と造注方式のシェア回復、アクティブ・シニア向けマンションの推進、九州エリアにおける事業活動の推進、リノベーション事業の推進、再開発事業への参画と超高速建築への取り組みを掲げた。

 18年4月には九州支店を開設した。19年2月にはJR前橋駅北口地区第一種市街地再開発事業に関する基本協定書を締結した。共同施工者として参画する。そして19年8月施行が認可された。22年度工事完了予定である。また19年6月には横浜エリアの再開発予定用地の一部を取得している。他の再開発案件にも積極的に参画していく方針だ。

 なお中期的な定量目標は完成工事総利益率12%超、売上高営業利益率7%超、自己資本比率50%超維持、総資産経常利益率(ROA)15%超、自己資本純利益率(ROE)20%回復としている。

■株主優待制度は毎年11月末の株主対象

 株主優待制度は毎年11月30日現在の株主を対象として、保有株式数に応じてクオカードを贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は下値切り上げ

 株価は8月の年初来安値から徐々に下値を切り上げている。出直りを期待したい。10月29日の終値は673円、今期予想PER(会社予想EPS65円66銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想年間20円で算出)は約3.0%、前期実績PBR(前期実績BPS441円59銭で算出)は約1.5倍、時価総額は約90億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■シスルナ経済圏構築に向け、グローバルなパートナーシップを強化  ispace(アイスペース)<9…
  2. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  3. ■物価高・人手不足が直撃、倒産件数29カ月連続で増加  帝国データバンクの調査によると、倒産件数が…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1.  暖房機器、除雪商品などを展開し割安放置が目立つセクターにホームセンター株がある。PBRが1倍を割…
  2. ■背広の売れ行きが映す街角の景気シグナル  街角の景気実感を分析し、景気実態を明らかにする経済指標…
  3. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  4. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る