エスプールは上値試す、19年11月期大幅増益予想、さらに上振れ濃厚

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 エスプール<2471>(東1)はロジスティクスアウトソーシング、障がい者雇用支援・就労移行支援サービス、コールセンター業務などの人材サービス事業を展開している。19年11月期大幅増益予想である。第3四半期累計の利益進捗率が高水準であり、通期上振れが濃厚だろう。なお千葉県における豪雨の影響は無く、千葉県内13施設の「わーくはぴねす農園」は通常通り運営している。また9月の台風15号で被災した市原農園は10月下旬から段階的に運営を再開している。株価は上場来高値圏から利益確定売りで一旦反落したが、素早く切り返している。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■ロジスティクス、障がい者雇用支援、コールセンターなど人材サービス事業

 ビジネスソリューション事業(障がい者雇用支援サービス、ロジスティクスアウトソーシングサービス、セールスサポートサービス、新規事業)、および人材ソリューション事業(コールセンター向け派遣、販売・営業スタッフ派遣、ストアスタッフ派遣など)を展開している。

 18年11月期の売上構成比はビジネスソリューション事業が30%、人材ソリューション事業が70%、営業利益構成比(連結調整前)はビジネスソリューション事業が47%、人材ソリューション事業が53%だった。

 障がい者雇用支援サービス「わーくはぴねす農園」は18年11月期末時点で13農園を展開し、利用企業数186社、管理区画数2039区画、就業数1020名となった。19年4月には千葉県千葉市、19年5月には愛知県春日井市、埼玉県さいたま市に開設を発表して全国16農園となった。また19年8月には新京成電鉄と共同で、全国17番目となる「わーくはぴねす農園」を千葉県八千代市に開設すると発表した。初の企業間協力での開設となる。

■営業利益率10%目標

 中期経営計画の目標値は20年11月期までに営業利益率10%達成としている。配当の基本方針は連結ベースでの株主資本配当率(DOE)5%を目安としている。営業利益の季節特性として、障がい者雇用支援サービスの売上が伸びる第2四半期、および第4四半期の構成比が高い傾向がある。

■19年11月期大幅増益予想、3Q累計が高進捗率で通期上振れ濃厚

 19年11月期連結業績予想は売上高が18年11月期比15.3%増の170億66百万円、営業利益が28.1%増の12億60百万円、経常利益が23.9%増の12億48百万円、純利益が31.0%増の8億11百万円としている。配当予想は1円増配(19年10月1日付株式5分割遡及換算後)の年間2円(期末一括、普通配当1円40銭+創立20周年記念配当60銭)で、予想配当性向は19.4%となる。

 ビジネスソリューション事業は、売上高が6.5%増の47億74百万円(障がい者雇用支援サービス27%増収、ロジスティクスアウトソーシングサービス29%減収、採用支援サービス48%増収)で、営業利益が33.8%増の11億70百万円の計画である。ロジスティクスアウトソーシングサービスでは、配送費値上げに対応して配送費を立替方式に変更(売上減への影響約5億円)するが、粗利額に影響は無く、収益改善に向けて自社営業を強化し、品川センターの早期満床を目指す。

 人材ソリューション事業は、売上高が19.4%増の124億円(コールセンター業務22.8%増収、店頭販売支援19.6%増収)で、営業利益が17.4%増の11億79百万円の計画である。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比18.7%増の126億99百万円、営業利益が72.1%増の12億03百万円、経常利益が72.3%増の12億11百万円、純利益が77.2%増の7億75百万円だった。障がい者雇用支援サービスが牽引して大幅増益だった。

 ビジネスソリューション事業は13.2%増収、83.9%営業増益だった。障がい者雇用支援サービス(42.7%増収)で利益率の高い区画販売が増加した。19年8月末時点の管理区画数は2673区画となり、管理料も順調に増加している。ロジスティクスアウトソーシングサービス(22.2%減収)は、通販発送代行サービスに係る配送費を立替金に変更した影響で減収だが、品川センター稼働率上昇、システム一本化、低収益案件見直しなどの効果で損益改善が進展した。採用支援サービス(41.5%増収)は、月間応募受付件数が損益分岐点となる3万件を安定的に上回るようになり、損益が改善した。

 人材ソリューション事業は20.4%増収、23.5%営業増益だった。コールセンター向け派遣(22.7%増収)や販売支援向け派遣(17.9%増収)を中心にグループ型派遣が伸長し、効率的な業務運営も寄与した。

 通期予想は据え置いた。9月の台風15号による被害(市原農園におけるビニールハウス被害等、保険にて補償される見込み)の確定に時間を要するためとしている。ただし第3四半期累計の営業利益進捗率は95.5%と高水準である。通期予想は上振れが濃厚だろう。収益拡大を期待したい。

■株価は上値試す

 株価(19年7月26日付で東証2部から東証1部に市場変更、19年10月1日付で株式5分割)は、上場来高値圏から利益確定売りで一旦反落したが、素早く切り返している。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。10月30日の終値は643円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS10円28銭で算出)は約63倍、今期予想配当利回り(会社予想2円で算出)は約0.3%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS25円65銭で算出)は約25倍、時価総額は約508億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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