【どう見るこの相場】「逆の逆はまた真なり」、「陰が極まれば陽に転ずる」で浮上する銘柄とは?

どう見るこの相場

■「木の葉」銘柄も「ワンチーム」で浮上余地大

 「石が浮かんで木の葉が沈む」だとか「無理が通れば道理が引っ込む」だとかの言い方をする。兜町でしばしば起こる個別銘柄の超常現象を形容する比喩法である。「自然の摂理」や「物理の法則」をまったく無視して、重く水に沈むはずの「石」銘柄の株価を水面上に引っ張り上げ、逆に比重の軽く水面上を漂うはずの「木の葉」銘柄の株価を売り込んで水面下に埋没させる集団行為的な力業をあたかも自然現象のようにうそぶく。

 10月上旬から始まった決算プレーでも、この超常現象が頻発した。「石」銘柄のトップバッターは、安川電機<6506>(東1)で、今2020年2月期業績を下方修正し、純利益が50%超も減益となったのに株価は上昇、証券各社の強気の投資判断、目標株価もいわば悪乗りして株価は500円超幅も急伸した。安川電に続いて、日本電産<6594>(東1)新光電気工業<6967>(東1)日東電工<6988>(東1)などの業績下方修正銘柄も、「石」銘柄として買い進まれた。だいたい日経平均株価、東証株価指数自体だって、決算発表では上方修正組より下方修正組のウエートが高く、相次いで発表された経済指標が景気減速を示唆し、10月1日から消費税が10%に増税されているにもかかわらず揃って年初来高値を更新したのである。

 これに反して業績を上方修正した「木の葉」銘柄は、ぐるなび<2440>(東1)システム・ロケーション<2480>(東1)日本電子材料<6855>(東1)などのようにストップ高する銘柄が続いた一方で、決算発表順に並べると、東宝<9602>(東1)大成建設<1801>(東1)ミロク情報サービス<9928>(東1)野村総合研究所<4307>(東1)ピー・シー・エー<9629>(東1)ワークマン<7564>(JQS)アンリツ<6754>(東1)電算システム<3630>(東1)などのように値下がりし、あるいは限定的な株高にとどまるケースも目立った。

 3連休明けのマーケットは、週明け4日の米国市場で米中貿易協議の進展を期待させるポジティブ材料が報道され、長期金利も上昇したことを受けて、ダウ工業株30種平均など主要株価指標が揃って史上最高値を更新しており、超常現象はさらに強まると想定される。決算発表は、3連休前にピークを過ぎたが、このあとも業績下方修正は、なお恐れるに足らずでむしろ株価を株高方向に刺激する可能性さえある。

 そこでである。この超常現象、超常相場を突き詰めるたくなる。超常現象・相場の行き着く先は、超々常現象・相場ではないのかとの想定が浮かぶ。「逆の逆はまた真なり」、「陰が極まれば陽に転ずる」で、水中に沈んだ木の葉銘柄の浮上である。日経平均株価や東証株価指数が、引き続き高値を追い続けるためには、それこそラグビーのワールドカップでベスト・エイトまで勝ち進んだ日本代表ではないが、下方修正銘柄も上方修正銘柄も一丸となる「ワンチーム」は不可欠であり、今週の当コラムでは、出遅れが顕著な上方修正銘柄に焦点を当てることにした。

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