【どう見るこの相場】引き続き個別株物色で対応、上方修正銘柄に照準
- 2019/11/11 10:24
- どう見るこの相場
■独自材料で業績上方修正のやや意外性のある「細部株」に早めのクリスマス相場を期待
ついに「ソフトバンク・ショック」かと心配した。ソフトバンクグループ<9984>(東1)の今3月期7月~9月期の最終損益が、前年同期の5264億円の黒字から7001億円の赤字へと「天国から地獄へ」転げ落ちたからだ。記者会見で孫正義社長は、「ボロボロ、真っ赤っかの大赤字、投資の判断がまずかった」とコメントしたが、あの著名投資家ウォーレン・バフェットの背中が遠ざかったように見えたかもしれない。トランプ米大統領が、大統領選挙に勝利した2016年にはすぐさま当選祝いにトランプタワーに駆け付け、政権密着度をアピールしたが、同大統領の対中強硬姿勢までは想定外だったのだろうか?ただ決算発表日の翌7日の同社株の日経平均株価へのマイナス寄与度は20円程度にとどまり、週末のプラス寄与度が25円程度と反発しツーペイとなり事なきを得た。
だいたい10月初旬以来の今回の決算プレーは、下方修正銘柄が逆行高するサプライズがあった一方、大きなショック安は目立たず、マーケットにとってはフレンドリーなイベント通過となっていた。10月初めの米中貿易摩擦の不透明化懸念で売られた安値から、米中協議の部分合意報道で持ち直し、米・韓・台湾のハイテク株の好決算を受けて、業績を下方修正した国内ハイテク株も、ツレ高して逆行高し、もちろん好決算を発表した銘柄も個別株物色され、さらにはラグビーのワードカップの盛り上がりによる直接・間接のマインド好転も加わって日経平均株価や東証株価指数がともに年初来高値を更新した。
さて四半期決算の発表がピークアウトし、個別の手掛かり材料の後退が想定される年末に向けての相場展開はどうなるのか?米国市場は、主力銘柄の企業業績が市場予想を上回って着地し、一部経済指標が堅調な景気動向を示唆して、クリスマス商戦への期待を高め、万が一の場合は、FRB(米連邦準備制度理事会)の政策金利引き下げの救命ボートもあって強調展開、日本株も、主力株を中心に追随高する可能性はある。しかし足元の国内市場では、ラグビー熱が一段落し、企業業績の回復の遅れとともに、10月1日から10%に引き上げられた消費税増税や9月、10月と続いた自然災害の傷跡などが、ボディーブローとして景気を下押さないか改めて意識されるかもしれない。日本銀行も、万が一の際はマイナス金利の深掘りなどの追加緩和策の意向を表明しているが、プラスになるどころか副作用が拡大すると不安視されている。
年末相場に向けては、引き続き個別株物色で対応することを考えたい。「神は細部に宿る」との教えもあり、今回の決算発表で業績が独自材料で上方修正された個々の銘柄に照準を合わせる投資スタンスである。