【特集】Windows7のサポート終了・消費税増税・長期金利低下関連株の3セクター株に注目
- 2019/11/11 10:25
- 特集
年末相場に向けては、引き続き個別株物色で対応することを考えたい。「神は細部に宿る」との教えもあり、今回の決算発表で業績が独自材料で上方修正された個々の銘柄に照準を合わせる投資スタンスである。当特集では、この「細部株」としてややサプライズ感のある3セクター株に注目した。Windows7のサポート終了関連株、消費税増税関連株、長期金利低下関連株の3セクター株で、いずれも今回の決算発表では上方修正が相次いだセクターである。しかもこの「細部株」は、いずれも時価総額が低位の小型軽量株であり、早めのクリスマス相場に向けて高いボラティリティーを発揮してくれることを期待したい。
■Windows7のサポート終了と消費税増税前の駆け込み需要が相乗
脚光を浴びそうな第1コースの「細部株」は、Windows7のサポート終了関連株である。パソコンの基本ソフト(OS)のWindows7のサポートは来年2020年1月14日に終了し、セキュリティリスクを回避するためにもWindows10などへの入れ替えが推奨されている。この対応はとっくに終わっているとばかり思っていたが、驚いたことに現在進行中ということらしい。電子情報技術産業協会の統計資料によると今年7月~9月期のパソコン出荷台数は、前年同期比66.0%増、9月単月では前年同月比71.8%増と大きく伸びており、特需として関連株の業績を押し上げた。それでも未処理パソコンは、法人顧客、個人ユーサーなどを中心になお相当数が残っているともいわれており、前回の2014年4月のWindowsXPサポート終了と同様に来年1月に向けさらに特需が拡大、業績寄与を高めると予想される。
この入れ替え特需を要因に業績を上方修正した銘柄は、ダイワボウホールディングス<3107>(東1)、EMシステムズ<4820>(東1)、MCJ<6670>(東2)、扶桑電通<7505>(東2)、大興電子通信<8023>(東2)、ピー・シー・エー<9629>(東1)、ミロク情報サービス<9928>(東1)など多数にのぼる。業績上方修正とともに年初来高値を更新し高値調整中の関連株は逆張り、なお年初来高値に遠い銘柄はキャッチアップと値幅効果を発揮してくれそうだ。
このリプレース需要の顕在化させた要因には、10月1日からの消費税増税を前にした駆け込み需要も働いたもようだ。ということで第2コースの「細部株」は、消費税増税関連株となる。駆け込み需要で業績を上方修正した理想科学工業<6413>(東1)、クリナップ<7955>(東1)、イエローハット<9882>(東1)、関連ソフトではシステムリサーチ<3771>(東1)、POSレジの東芝テック<6588>(東1)などが注目される。
■十六銀行をリード役に業績上ぶれの地銀株にはバリュー株人気
第3コースの長期金利関連株の「細部株」は、前回11月5日の当コラムでも一部触れた地銀株となる。低金利により与信費用が減少し、内外市場での金融相場の展開で運用環境が好転したことを要因に業績を上方修正した銘柄が対象になる。リード株は、十六銀行<8356>(東1)だろう。同行は、今年10月30日に今3月期第2四半期(2Q)累計業績を上方修正し、2Q累計決算発表時の11月6日に今度は今3月期通期業績を上方修正した。この要因に運用環境好転のほか地盤の岐阜・愛知両県での顧客企業の堅調な輸出、設備投資を上げているからだ。株価は年初来高値を更新したが、「勝ち馬」がどこまでスピードをアップさせるかがポイントとなりそうだ。
追撃期待が高いのは同じく業績を上方修正した地銀株で、コード番号順に列挙するとじもとホールディングス<7161>(東1)、三十三フィナンシャルグループ<7322>(東1)、武蔵野銀行<8336>(東1)、北國銀行<8363>(東1)、山梨中央銀行<8360>(東1)、紀陽銀行<8370>(東1)、四国銀行<8387>(東1)、高知銀行<8416>(東1)、宮崎太陽銀行<8560>(福)などとなっている。いずれもPERは1ケタ倍率で、PBRに至っては0.1~0.5倍の低評価にとどまるバリュー株であり、仮りに長期金利が強含むようなことがあれば、利ザヤ改善期待が株価に上乗せになる展開もなくはない。
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