【編集長の視点】加賀電子は年初来高値更新に肉薄、2Q業績の高利益進捗率をテコに割安株買いが増勢
- 2019/11/13 08:08
- 編集長の視点
加賀電子<8154>(東1)は、前日12日に21円高の2532円と変わらずを含めて6営業日続伸して引け、11月8日につけた年初来高値2604円に肉薄した。今年11月7日に発表した今2020年3月期第2四半期(2019年4月~9月期、2Q)累計業績が、2ケタ増益と大幅増益転換して着地し、今3月期通期予想業績に対して高利益進捗率を示したことを手掛かりに通期業績の上ぶれ期待を高めて割安株買いが増勢となった。国内では福島県須賀川市の新工場、海外ではタイのEMS(電子機器の受託製造サービス)の第2工場と相次いで新工場が稼働を開始することも、業績上ぶれの側面支援材料視されている。
■2Q売り上げは倍増し利益進捗率は70%超と目安を大きく上回る
同社の今期2Q累計業績は、売り上げ2306億3000万円(前年同期比99.9%増)、営業利益52億3900万円(同38.9%増)、経常利益55億4600万円(同37.0%増)、純利益35億200万円(同27.4%増)とV字回復し、期初予想の3月通期業績に対する利益進捗率は、70%~79%と目安の50%を大きく上回った。今年1月にグループ会社化した富士通エレクトロニクスの収益が上乗せとなって売り上げがほぼ倍増し、この買収効果とともにEMSビジネスで医療機器、車載関連向けなどが順調に推移し、情報機器事業でも、個人や学校・教育機関向けにパソコン及びパソコン周辺機器の販売が好調に伸びたことなどが要因となった。
この2Q累計業績の高利益進捗率にもかかわらず、同社は、今2020年3月期通期業績については米中貿易協議、英国のEU(欧州連合)離脱、中国の国内景気動向など先行き不透明な経営環境が控え、これを慎重に見極めたいとして期初予想を変更しなかった。売り上げ4300億円(前期比46.9%増)、営業利益70億円(同7.5%減)、経常利益70億円(同10.9%減)、純利益50億円(同37.6%減)と見込んでいる。しかし2Q累計業績に加えてパイオニアの製造子会社の十和田パイオニアのグループ会社化のほか須賀川新工場・タイ第2工場などが相次いで稼働を開始することなども寄与して、上ぶれ展開が期待される。市場コンセンサスでは純利益を57億円としており、この程度は想定範囲内となりそうだ。
■1年1カ月ぶりの高値フシを上抜き低PER・PBR修正で3000円大台奪回も射程圏
株価は、今年8月に世界同時株安に巻き込まれて年初来安値1450円へ急落したが、売られ過ぎ修正に今期第1四半期の好業績、タイ第2工場建設などで2000円大台を回復、中間配当の権利落ちでいったん1890円まで調整したが、再騰に弾みをつけ2Q累計決算発表とともに年初来高値を更新し、昨年10月以来の1年1カ月ぶりの高値水準に躍り出た。それでもPERは13倍台、PBRは0.90倍となお割安であり、1年1カ月ぶりの高値フシを上抜いたここからは、昨年5月以来の3000円大台奪回を射程圏に、さらに2017年12月高値3780円へチャレンジしよう。(本紙編集長・浅妻昭治)