【編集長の視点】トーセは反落も減収益転換予想業績を織り込み5G・クラウド関連人気が底流し下げ渋る
- 2019/11/15 09:00
- 編集長の視点
トーセ<4728>(東1)は、前日14日に12円安の867円と反落して引けた。日経平均株価が、178円安と続落するなか同社株も目先の利益を確定する売り物に押された。ただ寄り付きは、886円と小高く始まっており、今2020年8月期業績を減収減益転換予想を織り込み済みとして値ごろゲーム株買いが下値に続き、下げ渋る動きもみせた。とくに今期も、新組織体制の運営を継続し、研究開発推進部や企画開発推進部の新設により5G(第5世代移動通信システム)関連やクラウドゲーム向けの開発を強化することが関連株人気につながっている。またテクニカル的にも、直近安値からの底上げで25日移動平均線が75日移動平均線を上抜くゴールデンクロス(GC)を示現して上昇トレンド転換を示唆しており、買い手掛かりとなっている。
■研究開発推進部・企画開発推進部を新設しオフショア開発拠点も育成
同社の今2020年8月期業績は、前2019年8月期業績が、期初予想を上ぶれ増収増益率を伸ばして着地したのに対し一転して減収減益転換と予想した。売り上げ51億5200万円(前期比3.7%減)、営業利益2億2600万円(同37.7%減)、経常利益2億5800万円(同36.1%減)、純利益1億4200万円(同42.9%減)と見込んでいるが、これは、国内ゲーム市場でゲーム開発の大型化・長期化や、海外ゲームメーカーの参入も含めて競争が激化、人材も不足する厳しい経営環境が続くことに柔軟に対応できる新組織体制を運営実行するとともに、人材投資を積極化する成長戦略を引き続き推進することが要因となる。
とくにゲーム開発では、研究開発推進部と企画開発推進部を新設し、さらにフィリピン子会社をオフォショア開発拠点として育成し、5G関連やクラウドゲームなどの企画・開発力を強化するとともに、人材計画についても新卒を含めて60名の採用を進める。前期業績は、家庭用ゲームソフトの大型案件の開発や効率的な事業運営により期初予想を上ぶれて着地しており、今期も期の進行とともにこの再現期待も高まってきそうだ。なお今期配当も、年間25円(前期実績25円)を継続する
■GC示現が上昇トレンド転換を示唆し年初来高値奪回に弾み
株価は、8月末の配当権利落ち安値796円からNintendo Switch向けの「ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランドRETRO」配信開始を手掛かりに9月の929円高値まで急伸し、今期業績の減収減益予想が響いて25日移動平均線を出没し上ヒゲ、下ヒゲを伸ばす調整を続けてきた。この間、25日線と75日線がクロスするGCを示現して上昇トレンド転換したとして826円安値でダメ押しして900円台にタッチしてきた。9月高値抜けから年初来高値1034円奪回に弾みをつけよう。(本紙編集長・浅妻昭治)