【新規上場(IPO)銘柄】ステムリムは「再生誘導医薬」の開発を進める、900円どころで下値固めへ

株式市場 IPO 鐘

 ステムリム<4599>(東マ)は、ステムリム<4599>(東マ)は、8月9日に東京証券取引所マザーズに上場。同社は、創業以来「再生誘導医薬」という画期的な新薬の開発を進めている。「再生誘導医薬」とは、人が本来持つ組織修復能力を最大限に引き出すことにより、機能的な組織・臓器の再生を誘導する新しい医薬品だ。同社は、生体内に存在する幹細胞を、体外に取り出すことなく、怪我や病気で損傷した組織に局所動員し、機能的組織再生を誘導する新しい作用機序に基づく医薬品の開発を進めている。


 同社で最も開発の進むHMGB1ペプチドは、現在、大阪大学医学部附属病院・慶應義塾大学病院・東邦大学医療センターにおいて難治性遺伝性皮膚潰瘍(表皮水疱症)を対象とした臨床試験(医師主導治験)第Ⅱ相試験を実施中。当該開発品をはじめとして、同社はこれまでの研究開発活動を通じて、複数の疾患に対する複数の研究開発パイプライン(医薬品候補群)を保有しており、再生誘導医薬の実現に向けた多面的・多層的な創薬研究開発事業を展開している。

 11月5日大引け後に同社が、開発したHMGB1ペプチド(PJ1-02/S-005151)について、ライセンスアウト先の塩野義製薬から、脳梗塞を対象とした第Ⅱ相試験の第一例目の被験者への投与が行われたと連絡があったと発表した。会社側は、業績への影響はないとしているが、HMGB1ペプチドを投与した際の有効性と安全性が確認されており、同社に対する関心は一段と高まると期待される。

 9月12日大引け後に発表した前2019年7月期業績実績は、事業収益1億円(前の期比50.0%減)、営業損益7億2600万円の赤字(同3億7500万円の赤字)、経常損益7億2200万円の赤字(同3億2700万円の赤字)、最終損益7億2100万円の赤字(同3億2300万円の赤字)に着地。塩野義製薬と締結しているHMGB1ペプチドに関するライセンス契約に基づく臨床データ使用許諾の対価を受領。事業推進のための研究開発費が膨らんだため、営業損益の赤字幅は拡大。中小企業庁・戦略的基礎技術高度化支援事業の補助金収入を計上した。

 今20年7月期業績予想は、事業収益4億円(前期比4倍)、営業損益10億9000万円の赤字(同7億2600万円の赤字)、経常損益11億3400万円の赤字(同7億2200万円の赤字)、最終損益11億3700万円の赤字(同7億2100万円の赤字)を見込む。年間配当は無配を予定している。

 株価は、8月29日につけた上場来高値1055円から9月18日に上場来安値797円まで調整を挟んで10月9日高値1025円と上昇。その後、モミ合っている。HMGB1ペプチドは、今後、虚血性心疾患、肝硬変、腎線維症など更なる適応拡大も期待されることから、中長期的な視点で注目される。ただ、1000円(公開価格)から上には戻り待ちの売りが控え、ミニデッドクロスを示現し、目先は日柄調整に入っているが、900円どころで下値を固めてくれば、再度、4ケタ大台を回復する場面が期待されそうだ。(株式評論家・信濃川)

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