【特集】「買いたい弱気」派にお薦めの銘柄とは?
- 2019/11/18 11:54
- 特集
■上方修正セット銘柄の代表株
「買いたい弱気」派にアプローチをお薦めしたいのが、上方修正セット銘柄である。上方修正セット銘柄とは、業績の上方修正と自己株式取得、さらには増配を同時に発表した銘柄である。かつては下方修正セット銘柄があった。業績を下方修正し、あるいは減配・無配転落した銘柄が、同時に自己株式取得、中期経営計画、役員報酬の減額などをセットで発表して精一杯の経営責任ポーズをアピールしたものである。今回、今年10月以降の決算発表イベントでも業績の下方修正や、四半期業績の減益とともに自己株式取得を発表した銘柄は数多く続いた。
上方修正セット銘柄の代表株は、なんといってもトヨタ自動車<7203>(東1)である。同社株は、今年8月に下方修正した今2020年3月期の税引前純利益を11月7日に一転して上方修正し、同時に取得株式総数を3500万株(発行済み株式総数の1.19%)、取得総額を2000億円とする自己株式取得を発表した。また未定としていた配当についても、期末配当はそのまま未定としたが、中間配当は前年同期と横並びの100円で実施することを明らかにした。
株価は、年初来高値追いとなっているが、PERはなお10倍台と割安で業績上方修正でさらに上値にチャレンジするとともに、自己株式取得が、万が一の場合の下値をサポートすることになりそうだ。今年5月に取締役会決議された前回の自己株式取得は、今年9月末に取得を終了(取得株式総数4334万7500株、取得総額2999億9997万円)しており、この1株当たりの取得株価は、6920円と計算され同社株の押し上げ効果を発揮したと推定され、この再現が有力となる。
同様の上方修正銘柄は、アステラス製薬<4503>(東1)、東京製鉄<5423>(東1)、Gunosy<6047>(東1)、オムロン<6645>(東1)、東京計器<7721>(東1)、京阪神ビルディング<8818>(東1)、東武鉄道<9001>(東1)などである。このうち東京製鉄と東京計器は2回目の上方修正で、オムロンは純利益のみの上方修正で自己株式消却を伴い、京阪神ビルは自己株式消却、増配の3点セット、塩野義製薬<4507>(東1)は、自己株式取得と上方修正を時間差で発表した。またツガミ<6101>(東1)は、業績を下方修正しながら増配と自己株式取得を発表する特異な存在となった。トヨタとともに上値チャレンジに弾みをつけよう。
■自己株式TOB銘柄にも異色の需給思惑の番外株人気が浮上
自己株式取得を発表した銘柄のうち、異色の需給思惑の番外株として浮上しそうな銘柄は、自己株式公開買い付け(TOB)銘柄である。その多くが、大株主の自社保有株の売却意向に対応して実施するもので、公開買い付け価格(TOB価格)はディスカウントされている。例えばジェコー<7768>(東2)は、業績の上方修正と未定としていた中間配当を減配しながら、トヨタの売却意向に沿ってTOB価格を3008円で今年12月9日までをTOB期間に実施中だ。
また同じくビー・エム・エル<4694>(東1)も、TOB価格を2789円に12月9日まで実施中である。このほかTOB価格を2155円として12月3日までTOBを実施中の船井総研ホールディングス<9757>(東1)を含めて、TOB価格が下値サポートラインとして意識されそうだ。