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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】クレスコは調整一巡、16年3月期増収増益期待で切り返し
- 2015/4/27 07:11
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
受託ソフトウェア開発のクレスコ<4674>(東1)の株価は、高値圏の2000円台から反落して1800円割れ水準まで調整した。ただし足元では下げ渋り感を強めている。調整が一巡したようだ。16年3月期の増収増益期待で切り返し展開だろう。なお5月8日に15年3月期の決算発表を予定している。
ビジネス系のソフトウェア開発事業を主力として、組込型ソフトウェア開発事業、その他事業(商品・製品販売)も展開している。重点施策としては品質管理とプロジェクトマネジメント力の向上、組込型ソフトウェア開発事業の再構築、クラウド関連ソリューションの展開、新ビジネスモデル創出と事業領域拡大、グループ連携強化による収益性改善、ニアショア開発・オフショア開発の推進(地方分散開発体制強化と海外開発体制整備)などを掲げている。
オリジナル製品・サービスに関しては「インテリジェントフォルダ」「クレアージュ」や、14年6月に開始したSAP基幹業務をモバイル化して業務効率を向上させる新ソリューション「モビック」の拡販を推進している。
また15年3月には、旅行などのシーンで行われる点呼確認作業をビーコンとスマートデバイスを使って自動化するソリューション「みんなのてんこ」を発表した。訪日外国人旅行客に対するサービス向上を実現するため16カ国後に対応した適切な言語で通知する機能も備えている。5月から提供開始する。
得意分野を持つビジネスパートナーとのアライアンス・M&A戦略も積極活用している。13年4月ソリューション事業のクリエイティブジャパンを完全子会社化、企業コンサルティング事業のエル・ティー・エスを持分法適用会社化、13年9月三谷産業<8285>とクラウドサービス事業で協業、14年3月ゴマブックスと提携して企業内文書デジタルサービスの提供開始、14年8月高速クラウド構築支援サービスでSkeedと技術提携、14年12月受託ソフトウェア開発のエー・アイ・エム スタッフを持分法適用会社化した。
15年4月には子会社ワイヤレステクノロジーとクレスコ・アイディーを統合して商号を「クレスコ ワイヤレス」に変更した。
3月30日に技術提携先のSkeedの第三者割当増資を引き受ける(出資比率12.1%)と発表した。戦略的技術提携を通じて「高速クラウド構築支援サービス」の提供などを行っているが、相乗効果を最大限に創出するとともに、提携関係を一層強固にするため第三者割当増資を引き受けるとした。
また3月30日にはSAP社の基幹業務パッケージの導入支援を主力とするエス・アイ・サービスの株式100%を取得して完全子会社化(株式譲渡日4月1日)すると発表した。当社グループにおけるERP事業のさらなる成長に寄与することが期待されるとしている。
前期(15年3月期)の連結業績見通し(2月6日に増額修正)は売上高が前期比13.0%増の249億円、営業利益が同32.9%増の19億円、経常利益が同25.2%増の21億円、純利益が同43.4%増の13億50百万円としている。
配当予想(2月23日に増額修正)は前期比8円増配の年間38円(第2四半期末17円、期末21円)としている。配当に関しては特別損益を零とした場合に算出される当期純利益の40%相当額の配当を継続的に実現することを目指している。
第3四半期累計(4月~12月)は前年同期比15.4%増収、56.0%営業増益、40.7%経常増益、64.5%最終増益で、通期見通しに対する進捗率は売上高72.9%、営業利益79.6%、経常利益80.5%、純利益87.6%と高水準だった。ソフトウェア開発事業で金融・保険分野、組込型ソフトウェア開発事業でカーエレクトロニクス分野などが好調に推移し、効率化効果も寄与して大幅増収増益だった。
四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)58億10百万円、第2四半期(7月~9月)61億89百万円、第3四半期(10月~12月)61億55百万円で、営業利益は第1四半期3億80百万円、第2四半期5億89百万円、第3四半期5億43百万円だった。
今期(16年3月期)も、ソフトウェア開発事業で金融・保険分野や公共・サービス分野、組込型ソフトウェア開発事業でカーエレクトロニクス分野の好調が牽引して増収増益が予想される。
国内のIT投資需要は、クラウドやモバイル端末を活用したシステムへの移行、ITシステム基盤の統合・再構築、ビジネスプロセスの可視化・最適化、ビッグデータの分析と活用、仮想化技術の導入、ソーシャル・テクノロジーのビジネス活用などを背景として高水準に推移する見込みだ。中期的にも収益拡大基調だろう。
なお14年11月のドイツ銀行ロンドン支店を割当先とする自己株式を活用した第三者割当による第1回~第3回新株予約権の発行、および新株予約権買取契約(行使許可条項付・ターゲット・イシュー・プログラム「TIP・2014モデル」)については、3月12日に第1回新株予約権の権利行使が全て完了(行使価格1600円、交付株式数50万株)した。また3月18日に第2回新株予約権の行使許可(行使価格1800円、予約権の数50万個、行使許可期間3月18日~4月14日)を発表した。
また3月30日には、6月19日開催予定の第27回定時株主総会での承認を前提として、監査等委員会設置会社に移行すると発表している。
株価の動きを見ると、高値圏2000円台から反落して1800円割れ水準まで調整した。利益確定売りが優勢になったようだ。第2回新株予約権の行使許可が需給面での懸念要因と警戒された可能性もあるだろう。ただし足元では下げ渋り感を強めている。調整が一巡したようだ。
4月24日の終値1791円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS128円68銭で算出)は14倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間38円で算出)は2.1%近辺、前々期実績PBR(前々期実績の連結BPS849円71銭で算出)は2.1倍近辺である。
日足チャートで見ると25日移動平均線を割り込んだが、週足チャートで見ると26週移動平均線が接近して反発のタイミングのようだ。指標面に割高感はなく、16年3月期の増収増益期待で切り返し展開だろう。