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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】アールテック・ウエノは売り一巡、16年3月期の収益拡大期待で反発
- 2015/4/27 07:08
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
創薬ベンチャーのアールテック・ウエノ<4573>(JQS)の株価は、年初来高値圏2300円台から急反落し、4月8日には1178円まで調整する場面があった。ただしその後は1200円台で推移して売り一巡感を強めている。16年3月期も収益拡大が期待され当面の業績は好調だ。反発のタイミングだろう。なお5月14日に15年3月期決算発表を予定している。
緑内障・高眼圧症治療レスキュラ点眼薬の製造販売、および米スキャンポ社の便秘症治療薬AMITIZA(アミティーザ)カプセル受託製造を主力としている。
当社はAMITIZAカプセルの全世界における独占的製造供給権を保有している。米スキャンポ社はAMITIZAカプセルの日本と欧州での販売承認取得や米国での追加新薬承認取得、さらにレスキュラ点眼薬の米国上市など販売地域や適応の拡大戦略を推進している。また米スキャンポ社は武田薬品工業<4502>とAMITIZAカプセルに関するグローバルライセンス契約を締結(14年10月)している。
中期経営目標値としては16年3月期のROE10%以上を目指し、新薬開発は網膜色素変性、重症ドライアイ、アトピー性皮膚炎関連を中心に進めている。
日本発・世界初の網膜色素変性治療薬を目指すウノプロストン(開発コードUF-021)点眼液については、14年8月にウノプロストン点眼液へのトロメタモール配合に関する日本特許が成立し、11月にはウノプロストンが厚生労働省から網膜色素変性を対象とするオーファンドラッグに指定された。海外におけるウノプロストンの開発・商業化権については米スキャンポ社にライセンスし、当社はウノプロストン製品の独占的製造供給権を保有している。
なお3月9日にウノプロストン点眼液の第3相臨床試験の終了と解析結果の速報を発表した。主要評価項目において統計学的な有意差を得ることができなかったため、さまざまな角度からデータを整理し、承認申請の可能性を鋭意検討しているとした。
日本発・世界初の生物製剤による重症ドライアイ治療薬を目指す遺伝子組み換え人血清アルブミン(RU-101)点眼液については14年11月、米国での第1相および第2相を合わせた臨床試験を完了した。
抗炎症作用や免疫調節作用を有するVAP-1阻害剤である新規化合物RTU-1096については、経口内服薬として14年10月に第1相臨床試験を開始した。候補疾患としてはアトピー性皮膚炎などの皮膚化疾患がある。皮膚疾患領域では男性型脱毛症関連(RK-023)が第2相臨床試験を開始している。
米国で係属していたAMITIZAカプセルの特許侵害訴訟に関しては、米スキャンポ社、当社、武田薬品工業が14年10月、Par社との和解・ライセンス契約を締結した。また14年11月には米スキャンポ社、当社、武田薬品工業が、米国食品医薬品局(FDA)にAMITIZAカプセル後発品申請を行ったDr.Reddys社に対して特許侵害訴訟を提起した。
なお4月1日、代表取締役社長眞島行彦が慶應義塾大学医学部(眼科学)からの客員教授の委嘱要請に応じると発表した。契約期間は15年4月1日から16年3月31日までとしている。
前期(15年3月期)の業績(非連結)見通し(2月12日に増額修正)は売上高が前々期比18.2%増の66億39百万円、営業利益が同48.6%増の21億09百万円、経常利益が同53.1%増の22億61百万円、純利益が同53.2%増の16億27百万円、配当予想(2月12日に増額修正)が前期比5円増配の年間30円(期末一括)としている。
第3四半期累計(4月~12月)は前年同期比1.4%増収、同20.3%営業減益、同12.5%経常減益、同7.3%最終減益だった。臨床試験に伴う研究開発費の増加で減益だったが、売上面ではAMITIZAカプセルが好調だった。
四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)11億46百万円、第2四半期(7月~9月)15億82百万円、第3四半期(10月~12月)15億44百万円で、営業利益は第1四半期1億38百万円、第2四半期2億73百万円、第3四半期4億51百万円である。営業損益は改善基調だ。
通期ベースでは、レスキュラ点眼薬が日本で薬価改定の影響を受けるが、AMITIZAカプセルの日本での出荷数量が増加し、米国向けAMITIZAカプセルは為替のドル高・円安進行がプラス要因となる。想定為替レートは1ドル=115円で、1円の変動で営業利益は約6百万円変動するとしている。
今期(16年3月期)についても、引き続きAMITIZAカプセルが好調に推移し、為替のドル高・円安進行も寄与して収益拡大が期待される。
株価の動きを見ると、ウノプロストン点眼液の第3相臨床試験で有意差が得られなかったことから年初来高値圏2300円台から急反落し、4月8日には1178円まで調整する場面があった。ただしその後は1200円台で推移して売り一巡感を強めている。
4月24日の終値1247円を指標面で見ると、前期推定PER(会社予想のEPS84円34銭で算出)は14~15倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は2.4%近辺、前々期実績PBR(前々期実績のBPS473円61銭で算出)は2.6倍近辺である。
週足チャートで見ると大陰線を引いて調整局面だ。ただし16年3月期も収益拡大が期待され当面の業績は好調だ。売りがほぼ一巡して反発のタイミングだろう。