【アナリスト水田雅展の銘柄分析】フライトHD下値固め完了、16年3月期の収益改善期待で出直り

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 システム開発や電子決済ソリューションのフライトホールディングス<3753>(東マ)の株価は下値固め完了感を強めている。16年3月期の収益改善期待で出直り展開だろう。なお5月19日に15年3月期決算発表を予定している。

 フライトシステムコンサルティング(旧)が13年10月、持株会社に移行してフライトホールディングスに商号変更した。事業承継した子会社フライトシステムコンサルティング(新)が、システム開発などのコンサルティング&ソリューション(C&S)事業、および電子決済ソリューションなどのサービス事業を展開している。

 電子決済ソリューションの分野では、スマートデバイス決済専用マルチ電子決済端末「インクレディスト」およびスマートデバイス決済専用アプリケーション「ペイメント・マスター」の展開を強化している。決済専用アプリ「ペイメント・マスター」は10年9月に提供開始した国内初のBtoB向け決済ソリューションで、高級ホテル、レストラン、観光タクシー、旅行代理店などに導入されている。

 14年9月フォウカスとスマートデバイスを用いたモバイルPOS決済システムで協業、14年10月ECサイト構築パッケージソフト「イーシー・ライダー」のDRAGON TECHNOLOGY(11月イーシー・ライダーに商号変更)を子会社化してECソリューション事業も強化している。また14年12月には海外での「ペイメント・マスター」および「インクレディスト」の拡販に向けて米国子会社フライトUSAを設立した。

 4月23日にはスマートデバイスを活用したクレジットカード・銀聯カードなど複数の決済処理が可能な新サービス「ペイメント・マスター for J-Mups(ジェイマップス)」を開発し、加盟店向けに提供開始すると発表した。接続先決済センターを三菱UFJニコスとJR東日本メカトロニクスが共同で運営する「J-Mups(ジェイマップス)」として、顧客ニーズに合わせた様々な拡張性の高い決済を実現する。

 前期(15年3月期)の連結業績見通し(2月12日に減額修正)は売上高が前々期比16.3%減の16億円、営業利益が85百万円の赤字(前々期は1億79百万円の黒字)、経常利益が95百万円の赤字(同1億65百万円の黒字)、純利益が98百万円の赤字(同1億52百万円の黒字)としている。

 第3四半期累計(4月~12月)は大型案件一巡で前年同期比43.6%減収となり、各利益は赤字だった。四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)3億59百万円、第2四半期(7月~9月)3億円、第3四半期(10月~12月)2億38百万円、営業利益は第1四半期7百万円の赤字、第2四半期58百万円の赤字、第3四半期77百万円の赤字だった。

 マルチ電子決済端末「インクレディスト」と決済専用アプリ「ペイメント・マスター」新規大口案件が顧客側の都合で16年3月期にズレ込んだ。Windowsタブレット向け「ペイメント・マスター」に連携する他社製POSアプリケーションの準備が遅れ、IC対応クレジットカード決済(EMV決済)の開発や電子マネーの対応範囲拡大が遅れていることも影響するようだ。ただし16年3月期は大型案件も寄与して収益改善が期待されるだろう。

 今後の取り組みとして、C&S事業でマイナンバー(社会保障・税番号)制度関連のシステム開発、サービス事業でマルチ電子決済端末「インクレディスト」および決済専用アプリ「ペイメント・マスター」のテスト稼働中顧客の全国展開、IC対応クレジットカード決済(EMV決済)の新規大口顧客案件対応、HP社「リテールケース」とマルチ電子決済端末「インクレディスト」を核にしたHP社との営業展開、決済専用アプリ「ペイメント・マスター」の他社供給、ECソリューション事業でのECサイト構築パッケージ「EC-Rider B2B」の拡販を推進するとしている。

 株価の動きを見ると、4月2日と3日の戻り高値670円から反落して概ね560円~600円近辺でモミ合う展開だ。ただし2月の安値491円、3月の安値532円まで下押すことなく、下値固め完了感を強めている。

 4月24日の終値は572円で、前々期実績PBR(前々期実績連結BPS59円06銭で算出)は10倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線突破、また週足チャートで見ると13週移動平均線突破の動きを強めている。下値固めが完了し、16年3月期の収益改善期待で出直り展開だろう。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■シスルナ経済圏構築に向け、グローバルなパートナーシップを強化  ispace(アイスペース)<9…
  2. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  3. ■物価高・人手不足が直撃、倒産件数29カ月連続で増加  帝国データバンクの調査によると、倒産件数が…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1.  暖房機器、除雪商品などを展開し割安放置が目立つセクターにホームセンター株がある。PBRが1倍を割…
  2. ■背広の売れ行きが映す街角の景気シグナル  街角の景気実感を分析し、景気実態を明らかにする経済指標…
  3. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  4. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る