「昭和レトロ」調のフルサービス喫茶店株に「コーヒーブレイク」相場の先取りを一考余地=浅妻昭治

また日経平均株価が、2万円台を回復した。前回の4月10日の回復は、滞空時間がわずか2分間だったが、前週は、週末の24日まで滞空時間がほぼ3日間に及んだ。しかも、4月23日には2000年4月のITバブル当時の高値2万833円にあと631円と迫った。問題はこの先である。2万円台回復で、4月10日と同様にまたまた目標達成感を強めるのか、それとも大々台固めから次の上値フシとして1996年6月高値2万2666円の奪回を目指すのか、そのどちらが有力となるかだ。

ポイントになるファクターは、数えあげれば限りない。世界的には、ギリシャの金融不安や中東の地政学リスクから始まって、為替相場や原油先物価格の騰落、4月24日発売の米アップルの「アップルウオッチ」の出足の売れ行きや27日発表予定の決算状況、国内では、安倍首相の訪米時のTPP(環太平洋経済連携協定)交渉の進展度合い、4月30日開催の日銀の金融政策決定会合での追加緩和策の有無、米国市場に次いで発表がスタートした3月期決算会社の今期業績動向など、どれもこれも一筋縄では判断がつかない難しさを孕んでいる。さらに米国には「5月には売り逃げろ(Sell in May,and go away)」と大調整を示唆する強力な相場格言まであるのである。

しかも投資テクニック的にも、悩ましい問題に直面せざるを得ない。4月10日の日経平均2万円台回復をリードしたのは超値がさ株で、4月22日の大々台回復を主導したのは銀行株などの出遅れ内需株となったが、5月相場では、どちら主軸となるか判断を迫られるからだ。値がさ株か内需出遅れ株か、それとも両方とも買い進まれる全面高か、両方とも利益確定売りで上値が重くなる調整相場か、いずれに転ぶにしろ、高値圏にいて投資採算的にも割高水準まで買い上げられている銘柄が多いだけに、ハラを決めて「エイヤッ」と即断即決しなければならないことが目に見えている。5月の大型連休をエンジョイするなどとうかうかと太平楽を決め込むことは許してくれそうもない。

そこで「コーヒーブレイク」である。「コーヒーブレイク」の元々の字義は、頭が煮詰まり手詰まりになったときには一杯のコーヒーでも飲んで息抜きをしてリラックスしようというところにあるが、当コラムの「コーヒーブレイク」は、コーヒー関連株をマークして相場の新たな突破口を開拓してみてはどうかという投資ヒントの提案である。というのもこのところ、新聞やテレビで「サードウエーブ」コーヒーなどとする見出しやニュースにお目に掛かることが多くなっているからだ。コーヒー店の流行スタイルが、隆盛を極めたセルフサービス式カフェやコンビニ店の100円コーヒーから、正統派高級喫茶店に変わりつつあると伝えているのである。この「サードウエーブ」は、コーヒー豆にこだわりつつ一杯ずつドリップ式などの手作業で淹れて、その代わり一杯の値段は1000円以上も高価格となるが、店に長時間居続けることも歓迎するというフルサービス式である。

著者のような「昭和レトロ」世代に取っては、学生時代に入り浸った「純喫茶」、「名曲喫茶」の喫茶店文化に影響を受けて先祖返りしたものといわれるから、うれしさも懐かしさはひとしおである。どうして「昭和レトロ」調のリバイバルかと思うが、これに関連して前週末24日のNHKテレビのニュースでは、個人消費の最近の動向として「ちょい高」、「プチ贅沢」、「メリハリ消費」などの3つのキーワードを指摘し、従来の低価格路線・節約志向が転換され、消費の二極化が進んでいると分析しており、古くて新しいビジネスチャンスも予感させる。

すでに米国の同系統のコーヒーチェーン店が、日本に第1店、2号店を出店し、国内のチェーン店も出店を加速させ、さらにセルフ式チェーン店の一部店舗転換や、外食大手の新規出店の動きなども活発化している。また話題の名古屋式モーニングサービスの代表格と目されるコメダが、来年の新規株式公開(IPO)を目指して上場準備を進めていることなども、関連株買いの背景材料となると見込みである。(本紙編集長・浅妻昭治)

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