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LIFULLは売り一巡、20年9月期大幅増益予想
- 2019/11/26 08:16
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
LIFULL<2120>(東1)は、不動産・住宅情報総合サイト「LIFULL HOME‘S」運営の不動産情報サービス事業を主力として、生活関連領域や海外への展開を加速している。19年9月期はM&A等の一時的コストも影響して減益だったが、20年9月期は大幅増益予想である。収益拡大を期待したい。株価は決算発表を機に反落して安値圏に回帰したが、売り一巡して出直りを期待したい。
■不動産情報サービスを主力に生活関連領域や海外への展開を加速
日本最大級の掲載件数を誇る不動産・住宅情報総合サイト「LIFULL HOME‘S」運営のHOME‘S関連事業を主力として、生活関連領域や海外への事業展開を加速している。
海外事業は、14年買収した世界最大級アグリケーションサイト運営のスペインTrovitと、19年1月買収したMitulaを経営統合して、新会社LIFULL CONNECTを設立(19年11月)する。不動産アグリゲーションサイト世界圧倒的NO.1企業となる。
その他事業は、LIFULL senior、LIFULL FinTech、LIFULL Social Fundingなどを展開している。民泊関連は、楽天<4755>と共同で17年6月設立した楽天LIFULL STAYが展開している。空き家活用では、国土交通省の全国版空き地・空き家バンク構築運営に関するモデル事業「LIFULL HOME‘S 空き家バンク」によって、全国の空き家バンクのプラットフォーム化を目指している。また官公庁・地方自治体向け施策立案マッチングソリューション提供のWeldrowに出資した。
なお収益面では、不動産情報サービス事業を主力としているため、1~3月が繁忙期となる季節要因がある。
■世界一のライフデータベース&ソリューション・カンパニーを目指す
スローガンに「世界一のライフデータベース&ソリューション・カンパニー」を掲げ、LIFULL HOME‘SやTrovitを通じて世界の不動産や暮らしに関するデータを蓄積し、先端技術を活用することで中期的な成長を目指している。中期経営計画の定量目標には20年9月期売上収益500億円台、EBITDA率20%前後を掲げている。
■20年9月期大幅増益予想
19年9月期の連結業績(IFRS)(Mitulaの9ヶ月分を新規連結)は、売上収益が18年9月期比13.7%増の392億97百万円、EBITDA(償却前営業利益)が0.4%減の53億60百万円、営業利益が4.7%減の41億10百万円、親会社所有者帰属純利益が17.5%減の23億53百万円だった。配当は1円62銭減配の4円40銭(期末一括)とした。
売上高はMitulaの新規連結も寄与して過去最高だが計画を下回り、人件費の増加、ブランド力向上に向けた広告宣伝費の増加、Mitula子会社化に伴う一時的コスト、子会社LSFの事業計画見直しに伴うのれん減損損失などが影響して減益だった。
HOME‘S関連事業は3.7%増収と堅調だが、広告宣伝費増加で14.3%減益だった。海外はTrovitの成長とMitulaの新規連結で98.9%増収となり、一時的費用を吸収して94.1%増益だった。その他は保険代理店事業譲渡で6.7%減収となり、地方創生事業関連費用が増加して赤字拡大した。
20年9月期連結業績(IFRS)予想は、売上収益が19年9月期比15.0%増の451億93百万円、EBITDA(償却前営業利益)が51.5%増の81億21百万円、営業利益が58.6%増の65億19百万円、親会社所有者帰属純利益が76.0%増の41億53百万円としている。配当予想は未定としている。
売上収益ではHOME‘S関連事業が19年10月の料金改定効果も寄与して堅調に推移し、海外のMitulaの通期連結も寄与して2桁増収予想である。事業別の売上収益計画は、HOME‘S関連事業が15.0%増の332億02百万円、海外が18.1%増の90億69百万円、その他が49.0%増の29億20百万円である。HOME‘S関連事業はARPA(1顧客あたり売上高)向上施策として、メディア力の強化に向けた投資を継続する。
コスト面では人件費や広告宣伝費が増加するが、前期発生の一時的コストの一巡も寄与して大幅増益予想である。収益拡大を期待したい。
■株価は売り一巡
株価は決算発表を機に反落して安値圏に回帰したが、売り一巡して出直りを期待したい。11月25日の終値は581円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS30円96銭で算出)は約19倍、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS242円30銭で算出)は約2.4倍、時価総額は約780億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)