ソラストは上値試す、20年3月期2Q累計営業微減益だが通期2桁営業増益予想

 ソラスト<6197>(東1)は医療事務・介護・保育関連サービスを展開している。地域の女性人材を活用するため、ICTを活用して女性が働きやすい職場づくりや生産性向上を推進している。20年3月期第2四半期累計は営業微減益だったが、概ね計画水準としている。そして通期2桁営業増益予想である。通期ベースで収益拡大を期待したい。株価は年初来高値に接近している。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■医療事務・介護・保育関連サービスを展開

 医療事務請負・派遣の医療関連受託事業、訪問介護・通所介護・居宅介護支援・グループホーム・有料老人ホーム・サービス付高齢者向け住宅の介護事業、認可保育所運営の保育事業、その他事業(教育サービスなど)を展開している。

 19年3月期のセグメント別売上構成比は医療関連受託事業66%、介護・保育事業33%(介護31%、保育2%)、その他1%、営業利益構成比(連結調整前)は医療関連受託事業76%、介護・保育事業23%(介護21%、保育2%)、その他1%である。

 医療関連受託事業は大病院との長期取引を中心に請負が9割強を占めている。介護事業はM&Aを積極活用して東名阪地域に展開している。19年3月期末の介護事業所数は、18年3月期末比22拠点増加の383拠点(訪問介護66、デイサービス102、居宅介護支援64、グループホーム67、有料老人ホーム・サービス付高齢者向け住宅27、その他57)である。また19年3月期末の保育園は14施設だった。

■長期ビジョンで営業利益200億円目標

 VISION2030の目標値は、売上高3000億円(医療1000億円、介護1500億円、新規500億円)、営業利益200億円(営業利益率は医療15%、介護10%、新規15%)としている。

 サービス業のデジタルカンパニーに脱皮し、継続的にサービスモデルを刷新する。介護分野でのM&Aの積極活用などによって、早期に医療および介護の分野での業界NO.1達成を目指し、新規事業にも挑戦する方針だ。配当性向は50%を目安としている。

■ICTを積極活用して女性が働きやすい職場づくりや生産性向上目指す

 従業員は女性が約90%を占めている。地域の女性人材を活用するため、ICTを積極活用して女性が働きやすい職場づくりや生産性向上を目指している。

 医療関連受託事業の利益率向上に向けては、待遇・職場環境の改善やコミュニケーションの向上を通じてモチベーションの向上を図り、離職率を低下させることによって、社員退職に伴う配置転換や新入社員教育などに係る工数を減らし、現場の生産性を改善する。

 ICTも積極活用している。沖電気工業<6703>と共同開発した初診受付登録システムの設置病院を19年3月期から拡大し、20年3月期末に100病院への導入を目指している。

 採用プロセスの効率化では17年9月に次世代採用管理システムが稼働した。AIを活用した離職を防ぐ取り組みでは、FRONTEO<2158>の人工知能エンジン「KIBIT」を用いて、退職リスクのある人を早期に発見してフォローを行うなど、社員の離職防止や定着率向上に向けた取り組みを推進している。

 また通所介護における業務効率化と顧客満足度向上を目的として、インフォコム<4348>と協働で介護記録システム「Daily」を構築し、全事業所への導入を推進している。

 また医事会計ソフト「日医標準レセプトソフト」を約1万7000の医療機関に提供している日本医師会ORCA管理機構と、19年6月業務提携、19年7月資本提携した。19年10月には日本医師会ORCA管理機構の子会社ICIに出資した。医療・介護領域のICT活用に向けて連携を強化する。

■介護事業はM&A活用で中期成長目指す

 介護事業はM&Aの積極活用による成長を目指している。具体的には、1つの介護行政区(市・群・東京23区)を1エリアと定義し、2030年までに介護サービスを行うエリアを300エリアに拡大(現在87エリア)するとともに、全てのエリアで訪問介護、通所介護、居宅介護支援、グループホーム、有料老人ホームの施設を各1事業所以上運営することを目指している。

 19年3月期には、チャーム・ケア・コーポレーション<6062>からの介護付有料老人ホーム2施設譲り受け、施設系介護サービス中心のJAWA子会社化、カーメイト<7297>からの有料老人ホーム運営オールライフメイト株式取得などを実行した。また19年4月には東京都内中心に通所介護事業所53ヶ所を運営するなごやかケアリンクを子会社化した。

 なお20年3月期のM&Aについては、19年11月11日時点で8件のM&A契約を締結(新規M&A売上目標47億円に対して41億円を確保)した。

 保育事業は、認証保育所を認可保育所に移行して園児数の増加を図っている。なお19年4月東京都内および千葉県内に新たに1施設ずつ新設して運営開始した。

■20年3月期2Q累計営業微減益だが通期2桁営業増益予想

 20年3月期の連結業績予想は、売上高が19年3月期比13.1%増の953億円、営業利益が13.3%増の57億円、経常利益が11.7%増の56億円、純利益が42.6%増の50億円としている。配当予想は50銭増配の19円50銭(第2四半期末9円50銭、期末10円)である。

 通期のセグメント別計画は、医療関連受託が3.3%増収・6.5%増益、介護が33.9%増収・41.4%増益、保育が11.4%増収・15.7%増益としている。介護事業におけるM&A効果は19年3月期実施の6件、および19年4月子会社化したなごやかケアリンクの合計で70億円増収の見込みだ。純利益は固定資産売却益21億98百万円も寄与する。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比14.7%増の470億61百万円、営業利益が2.0%減の24億93百万円、経常利益が2.9%減の24億94百万円、純利益が85.5%増の30億35百万円だった。純利益は固定資産売却益計上が寄与した。

 M&A関連費用、全社ベースのIT投資関連費用、オフィス移転コストで営業微減益だったが概ね計画水準としている。医療関連受託は新規受注などで4.1%増収、8.2%増益と順調だった。生産性向上効果で営業利益率が継続的に改善している。介護は19年3月期以降のM&Aも寄与して39.3%増収となり、M&A関連費用を吸収して5.1%増益だった。保育は新規施設開設や園児数増加で19.6増収、12.7%増益だった。

 第2四半期累計は営業微減益だったが、四半期別営業利益を見ると、第1四半期の10億85百万円(前年同期比14.2%減益)に対して、第2四半期は14億07百万円(同10.2%増益)と大幅改善した。通期ベースで収益拡大を期待したい。

 介護サービス利用状況(速報値)によると、19年10月のサービス利用者数は、訪問介護が前年同月比4.3%増、デイサービスが44.2%増だった。施設系サービスの入居者数は44.2%増となった。月末入居率は95.6%と高水準を継続している。合計事業所数は19年3月末比67ヶ所増加の450ヶ所となった。

■株価は上値試す

 株価は年初来高値に接近している。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。11月25日の終値は1301円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS53円12銭で算出)は約24倍、今期予想配当利回り(会社予想の19円50銭で算出)は約1.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS148円00銭で算出)は約8.8倍、時価総額は約1225億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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