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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】朝日ラバーは底打ち確認、16年3月期の営業損益改善期待で反発
- 2015/4/28 07:40
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
朝日ラバー<5162>(JQS)は自動車内装照明用ゴム製品などを展開している。株価は4月6日の1010円をボトムとして切り返しの動きを強めている。14日には15年3月期配当予想の増額修正を好感して1365円まで上伸する場面があった。底打ちを確認し、16年3月期の営業損益改善期待で反発展開だろう。
自動車内装照明関連などの工業用ゴム製品、スポーツ用ゴム製品(卓球ラケット用ラバー)、医療・衛生用ゴム製品(点滴輸液バッグ用ゴム栓など)、機能製品のRFIDタグ用ゴム製品などを展開している。
自動車内装関連の車載用小型電球の光源カラーキャップ「ASA COLOR LAMPCAP」や車載用LED照明の光源カラーキャップ「ASA COLOR LED」が主力製品である。車載用の「ASA COLOR LED」は高級車向けに加えて、小型車や軽自動車向けにも採用が拡大している。
シリコーンゴムや分子接着技術をベースにした製品開発力が強みだ。新製品では分子接着技術を活用した機能製品RFIDタグ用ゴムの増産を進め、医療分野の新製品プレフィルドシリンジ(薬液充填済み注射器)用ガスケットの量産も開始した。
またNEC<6701>のポータブルDNA解析装置向けマイクロ流体デバイスについては14年10月に量産を開始した。マイクロ流体デバイスは分子接着技術を活用した製品で、NEC向け以外の複数案件も商談が進行中のようだ。
4月13日に前期(15年3月期)連結業績と配当予想の修正を発表した。前回予想(2月6日に営業利益と経常利益を減額、純利益を増額修正)に対して、売上高は40百万円増額して前期比7.3%増の60億90百万円、営業利益は31百万円減額して同64.7%減の1億01百万円、経常利益は15百万円減額して同53.0%減の1億39百万円、純利益は99百万円増額して同95.6%増の3億13百万円とした。
配当予想は前回予想(5月13日公表)に対して期末5円を増額し、前期比5円増配の年間13円(第2四半期末3円、期末10円)とした。
売上面では、自動車関連製品のスイッチ用ゴム製品および機能製品のRFIDタグ用ゴム製品が顧客側の在庫調整の影響を受けたが、工業用ゴム事業において自動車関連の「ASA COLOR LED」が好調に推移したようだ。
営業利益と経常利益については、プロダクトミックスの悪化や役員退職慰労引当金繰入額の計上が影響する。純利益については特別利益に受取保険金を計上し、役員退職慰労金に対する繰延税金資産計上に伴う税金費用の減少も寄与する。
第3四半期累計(4月~12月)までの四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)14億85百万円、第2四半期(7月~9月)15億40百万円、第3四半期(10月~12月)15億21百万円、営業利益は第1四半期55百万円、第2四半期1億01百万円、第3四半期50百万円の赤字である。
今期(16年3月期)については車載用「ASA COLOR LED」が引き続き好調に推移し、プロダクトミックスの改善も期待される。さらに役員退職慰労引当金繰入額計上という特殊要因一巡も寄与して、営業損益は改善基調だろう。
14年5月発表の第11次3ヵ年中期経営計画(V-1計画)では、20年3月期を見据えた長期ビジョンを「AR-2020VISION」として、前半3ヵ年(15年3月期~17年3月期)を第1ステージ「V-1計画」、後半3ヵ年(18年3月期~20年3月期)を第2ステージ「V-2計画」としている。
中期経営方針は、既存事業の質・量の継続的成長(国内事業は質的成長、海外事業は量的成長)、新市場・新分野への事業展開、20年に向けた事業基盤の強化・整備としている。第1ステージ「V-1計画」の目標数値には17年3月期の売上高80億円(自動車分野37億円、医療分野13億円、ライフサイエンス分野16億50百万円、その他13億50百万円)、営業利益8億円を掲げ、設備投資計画は3期間累計で24億50百万円としている。成長分野への積極投資で中期的に収益拡大基調が期待される。
株価の動きを見ると軟調展開が続いたが、4月6日の1010円をボトムとして切り返しの動きを強めている。14日には15年3月期配当予想の増額修正を好感して1365円まで上伸する場面があった。その後は戻り一服の形だが6日の安値水準まで下押す動きは見られない。
4月27日の終値1179円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS68円83銭で算出)は17倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間13円で算出)は1.1%近辺、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS705円77銭で算出)は1.7倍近辺である。
週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形だが、日足チャートで見ると25日移動平均線を回復した。4月6日の1010円で底打ちした可能性があり、16年3月期の営業損益改善期待で反発展開だろう。