【アナリスト水田雅展の銘柄分析】東京個別指導学院は高値圏で堅調、16年2月期大幅増益・増配予想を評価

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 東京個別指導学院<4745>(東1)は小中高校生向け個別指導学習塾を展開している。株価は16年2月期大幅増益・大幅増配予想を好感し、3月の764円を突破して4月15日の上場来高値820円まで急伸した。その後は目先的な過熱感を強めて上げ一服の形だが、高値圏700円台で堅調に推移している。予想配当利回りは依然として3%台であり上値を試す展開だろう。

 ベネッセホールディングス<9783>グループで、小中高校生向けの個別指導学習塾などを展開している。新規教室の開校、生徒の利便性向上や収益性の改善を目指した教室移転・リニューアル・増床、テレビCMやWebマーケティングの積極活用、ベネッセコーポレーションとの連携強化、目的別・学力別・性格別完全オーダーメイド個別指導の強化などで、新規入会者・在籍生徒数の増加を推進している。

 14年4月には通信教育と個別指導の連携によって自学自習を育む「進研ゼミ個別サポート教室」を全教室で実施し、ベネッセコーポレーションから「Benesseサイエンス教室」と「Benesse文章表現教室」を譲り受けた。14年8月にインターネットによる個別指導「東京個別指導学院ネット教室」を開始し、15年3月には「東京個別指導学院ネット教室」の名称を「CCDnet」に変更した。本格的な全国展開に向けてプロモーション活動を展開している。

 ベネッセコーポレーションの進研ゼミと当社の教室運営・個別指導のノウハウを融合させた新業態「クラスベネッセ」については、14年12月に「クラスベネッセ仙川」を開校した。進研ゼミ会員の小学1年~中学3年を対象として、進研ゼミの教材を活用して1人の先生(コーチ)が生徒4人を指導する個別フォロー型学習サービスだ。現事業モデルでは出店拡大が難しい地域にも展開して市場シェアを拡大することを狙いとしているため、今後の展開については直営とFCで全国規模の展開を目指すとしている。

 15年2月期末時点の個別指導塾事業の教室数は首都圏165教室、関西地区40教室、東海地区8教室、九州地区5教室の合計218教室、サイエンス・文章表現事業の教室数は東京4教室、神奈川2教室、クラスベネッセ仙川、ネット教室(本社内併設)である。

 15年2月期の期中平均在籍人数は、個別指導塾合計が前期比8.3%増の2万5258人(小学生が同4.5%増の2699人、中学生が同4.3%増の1万202人、高校生が同12.4%増の1万2357人)だった。

 なお14年11月オリコン発表「オリコン顧客満足度ランキング2015高校受験個別指導部門(首都圏)総合部門」で2年連続1位となり、14年12月にはイードの教育情報サイト「リセマム」が実施した学習塾に関する顧客満足度調査「イード塾アワード2014高校生・大学受験生/個別指導」で3年連続の最優秀賞を受賞した。

 4月8日には16年2月期を初年度とする3ヶ年の新中期経営計画「Dynamic Challenge 2017」を発表した。目標数値として18年2月期の売上高193億円以上、営業利益29億円以上、売上高営業利益率15%以上、配当性向目標50%以上を掲げた。

 重要実行施策としては、個別指導を中心としたサービスポートフォリオの構築、人口集中が進む都市部においてドミナント戦略による個別指導事業の新規教室開校の強化、地方部の生徒にも活用できるインターネット配信や「クラスベネッセ」の事業化などを推進する。

 マーケティング面では、ドミナント戦略を生かしたマーケティングの集中化・効率化、サービスポートフォリオ拡充で可能となる「小学生が高校生になるまでの長期間に渡る一貫したプロモーション」の強化、進研ゼミなどベネッセグループのシナジー強化を推進する。

 さらに講師力を軸とした教育力の強化、進路指導センター設置などによる進路指導力・教育力の強化、多様なベネッセグループ内リソースを活用した教育内容やオリジナル教材の深化、自学自習力を育む「クラスベネッセ」の全国展開などベネッセグループとの連携による効率化・付加価値の向上、即戦力化が期待できる講師の社員登用など人材戦略の深化、業務プロセス改善による生産性の向上、顧客サービスの一層の強化、新ITシステムの開発着手などを推進する。

 なお財務戦略では16年2月期以降の配当について、配当性向50%以上を目標とした。一層の企業成長に繋がるM&A投資も積極的に行うとしている。

 4月8日に発表した前期(15年2月期)業績(非連結)は売上高が前々期比9.7%増の157億17百万円、営業利益が同35.5%増の17億24百万円、経常利益が同35.4%増の17億29百万円、純利益が同45.8%増の10億75百万円だった。生徒数の増加で授業料売上が好調に推移し、コストの効率化・適性化も寄与した。

 配当予想は同2円増配の年間8円(第2四半期末4円、期末4円)とした。なおROE(自己資本当期純利益率)は14.7%(前々期比3.8ポイント上昇)で、自己資本比率は77.4%(同0.9ポイント低下)だった。

 新規教室開校(10教室、新業態「クラスベネッセ」を含めると11教室)や既存教室移転・リニューアル・増床、テレビCMやWebマーケティング、通信教育と個別指導を連携した「進研ゼミ個別サポート教室」の全教室での実施などの効果で、新規入会者数および在籍生徒数とも順調に増加した。新規入会者数は同2.6%増の2万120人、15年2月末時点の在籍生徒数は14年2月末比3.2%増の2万1473人だった。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(3月~5月)28億70百万円、第2四半期(6月~8月)44億84百万円、第3四半期(9月~11月)35億40百万円、第4四半期(12月~2月)48億23百万円、営業利益は第1四半期8億52百万円の赤字、第2四半期9億33百万円の黒字、第3四半期4億34百万円の黒字、そして第4四半期12億09百万円の黒字だった。

 第1四半期は卒業などで一時的に在籍生徒数が減少するのに対して、夏期・冬季講習なども寄与して第2四半期および第4四半期の構成比が高い収益構造である。

 今期(16年2月期)の業績(非連結)見通し(4月8日公表)は売上高が前期比7.5%増の169億円、営業利益が同33.4%増の23億円、経常利益が同33.2%増の23億04百万円、純利益が同29.9%増の13億97百万円としている。

 配当予想については30周年記念配当8円を含めて同16円増配の年間24円(第2四半期末12円=普通配当8円+記念配当4円、期末12円=普通配当8円+記念配当4円)としている。

 新中期経営計画に沿って首都圏中心に6教室(15年2月開校の2教室を含めると8教室)の新規開校を予定している。既存教室の生徒数増加や満足度向上に向けた移転・リニューアルも積極的に推進する。新規開校、テレビCM効果、付加価値の高い教育サービスの提供などで増収増益見通しだ。

 少子化による学齢人口縮小で業界再編・淘汰の動きも活発化しているが、東京を中心とした大都市圏においては学齢人口減少の影響は軽微のようだ。また政府が打ち出している教育改革に伴う教育環境変化への不安・関心の高まりも背景として、個別指導学習塾への期待感は一段と高まっている。祖父母から孫への教育資金贈与非課税制度など国の政策も追い風だろう。ベネッセグループ内のシナジー効果も寄与して中期的に収益拡大基調が期待される。

 なお3月31日に代表取締役社長斎藤勝己が3月20日付で公益社団法人経済同友会に入会したと発表している。教育がグローバル社会に与える影響を踏まえながら、業界横断的な交流や議論を通じて経営者としての見識を高めていくとしている。

 株価の動きを見ると、3月高値764円から一旦反落したが、16年2月期大幅増益・大幅増配予想を好感して再動意の展開となり、3月高値764円を突破して4月15日の上場来高値820円まで急伸した。その後は目先的な過熱感を強めて上げ一服の形だが、高値圏の700円台で堅調に推移している。

 4月27日の終値732円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS25円73銭で算出)は28~29倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間24円で算出)は3.3%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS141円02銭で算出)は5.2倍近辺である。

 急伸したため目先的な過熱感を残しているが強基調に転換した形だ。需給面では信用取組が依然として売り長である。予想配当利回りは依然として3%台だ。16年2月期の増収増益見通しを評価して上値を試す展開だろう。

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