インフォコムは上値試す、20年3月期2桁増収増益予想

 インフォコム<4348>(東1)はITサービスや電子コミック配信サービスを主力としている。20年3月期2桁増収増益予想である。収益拡大を期待したい。株価は8月の上場来高値から一旦反落したが、11月の直近安値圏から反発している。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■ITサービス事業とネットビジネス事業を展開

 帝人<3401>グループで、ITサービス(医療機関・製薬企業・介護事業者向けヘルスケア事業、一般企業向けSIのエンタープライズ事業、RPAとAIを活用したERPソフト「GRANDIT」や緊急連絡・安否確認サービスなどのサービスビジネス事業)と、一般消費者向けネットビジネス(子会社アムタスの電子コミック配信サービス「めちゃコミック」、女性向け・音楽系デジタルコンテンツ提供)を展開している。

 19年3月期のセグメント別(連結調整前)売上構成比はITサービス47%、ネットビジネス53%、営業利益構成比はITサービス36%、ネットビジネス64%だった。電子コミック配信サービスの拡大でネットビジネスが利益柱に成長した。なおITサービス事業は年度末にあたる第4四半期の構成比が高い特性がある。

■電子コミックとヘルスケアで成長加速

 中期経営計画(18年3月期~20年3月期)では、基本方針を成長の追求、および成長を支える経営基盤の継続強化としている。

 成長の追求では電子コミックとヘルスケアを重点事業としてM&Aを積極推進し、AIやIoTを活用したビジネス展開も推進する。成長を支える経営基盤の継続強化では品質管理の継続強化とサービス品質向上、業務プロセス改革による効率化と社会との協業強化、人財育成強化を推進する。

 経営目標数値には、20年3月期売上高600億円~800億円(SI・サービス160億円、ヘルスケア140億円、電子コミック300億円、およびM&A200億円)、EBITDA(営業利益+償却費)70億円~100億円、重点事業(電子コミックとヘルスケア)比率70%、ROE10%以上、配当性向30%を掲げ、M&A戦略投資枠200億円を掲げている。

 18年3月電子書籍事業大手パピレス<3641>の株式9.83%を取得、19年5月アムタスが韓国で電子コミック配信サービスを展開するピーナトゥーンを子会社化、アムタスとパピレスが海外への取次事業を行う共同出資会社アルド・エージェンシー・グローバル(AAG)を設立した。

 また19年5月介護人材紹介事業のスタッフプラスを子会社化、19年10月シンガポール拠点でヘルスケア分野に特化したベンチャーキャピタルHealthXCapitalが運営するファンドに出資した。12月5日には製薬企業向けMR営業支援プラットフォーム「DigiPro」の音声入力機能強化に向けて、アドバンスト・メディアとの業務提携を発表した。

■20年3月期2桁増収増益予想

 20年3月期の連結業績予想(10月30日に売上高、利益とも上方修正)は、売上高が19年3月期比13.1%増の585億円、営業利益が19.0%増の82億円、経常利益が19.3%増の82億円、純利益が15.0%増の55億円としている。配当予想は19年3月1日付株式2分割遡及修正後で7円増配の29円(第2四半期末10円、期末19円)である。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比19.7%増の276億79百万円、営業利益が48.8%増の38億63百万円、経常利益が48.1%増の38億76百万円、純利益が37.2%増の25億75百万円だった。重点事業(電子コミック、ヘルスケア)が好調に推移して大幅増収増益だった。

 ITサービスは12.9%増収(うちヘルスケアが22.8%増収)で3.3倍増益だった。改元や消費増税対応も寄与して病院・企業向けが好調に推移した。ネットビジネスは25.1%増収(うち電子コミックが27.8%増収)で15.9%増益だった。電子コミック配信サービスが好調に推移し、海外展開やアプリ開発への投資コスト増を吸収した。

 通期は、第3四半期に消費増税対応案件前倒しの反動があるが、重点事業(電子コミック、ヘルスケア)が好調に推移して大幅増収増益予想である。セグメント別計画は、ITサービスの売上高が3.2%増の250億円(うちヘルスケアが8.7%増の106.5億円)で営業利益が16.6%増の29億円、ネットビジネスの売上高が21.9%増の335億円(うち電子コミック配信サービスが24.5%増の332億円)で営業利益が20.7%増の53億円としている。

 重点取り組みとして、電子コミック配信サービスではデータ分析によるデジタル広告最適化を推進している。19年7月には「めちゃコミック」スマホ向けアプリの提供を開始した。ヘルスケア事業では病院向けサービスや介護分野サービスを強化し、東南アジアでヘルスケア領域に特化した新規事業も展開する方針だ。収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は毎年9月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月30日現在で1単元(100株)以上保有株主を対象として、保有株数および保有年数に応じて、優待商品と交換できる株主優待ポイントを贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は上値試す

 株価(19年3月1日付で株式2分割)は8月の上場来高値から一旦反落したが、11月の直近安値圏から反発している。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。12月5日の終値は2395円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS100円53銭で算出)は約24倍、今期予想配当利回り(会社予想29円で算出)は約1.2%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS595円05銭で算出)は約4.0倍、時価総額は約1380億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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