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ファンデリーは調整一巡、20年3月期大幅増増益予想
- 2019/12/9 07:41
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ファンデリー<3137>(東マ)は健康食宅配事業を主力として、ヘルスケア総合企業を目指している。20年3月期第2四半期累計は減益だったが、通期は第4四半期稼働予定の新工場も寄与して大幅増益予想である。通期ベースで収益拡大を期待したい。株価は軟調展開で水準を切り下げたが、調整一巡して出直りを期待したい。
■健康食宅配サービスのMFD事業が主力
健康食宅配サービスのMFD(Medical Food Delivery)事業を主力として、マーケティング事業も展開している。19年3月期事業別売上高構成比はMFD事業88%、マーケティング事業12%だった。
MFD事業は健康食(冷凍弁当)の通販カタログ「ミールタイム」などを医療機関や調剤薬局などを通じて配布し、顧客(個人)から注文を受けて宅配する。従来の食事宅配サービスと一線を画し、食事コントロールを通じた血液検査結果の数値改善を目指している。管理栄養士・栄養士が顧客の疾病・制限数値・嗜好などに合わせてメニューを選び、定期的に届ける「栄養士おまかせ定期便」も提供している。
健康食宅配サービスから派生した事業として、食品メーカーなどへの健康食通販カタログ誌面の広告枠販売、食品メーカーなどからの商品サンプリングや健康食レシピ作成の業務受託、健康食レシピサイト運営などのマーケティング事業も展開し、収益源の多様化を推進している。
MFD事業では、おせち料理などで12月の売上高が増加する季節要因がある。またマーケティング事業では業務受託売上が下期偏重だったが、徐々に平準化が進んでいる。
なお需要拡大に対応して、MFD事業の初の生産拠点となる新工場を建設(20年3月期中に操業予定)する。事業構造をSPA(製造小売業)モデルへ転換し、品質向上を目指す。
■MFD事業の会員数は増加基調
MFD事業の会員数は、15年3月期末15万2771人、16年3月期末18万2905人、17年3月期末20万3441人、18年3月期末22万1727人、19年3月期末24万4651人と増加基調である。19年3月期末の定期コース会員数は8162人で、18年3月期末比237人増加した。1件あたり購入単価は概ね7000円前後で推移している。
全国の医療機関や調剤薬局など2万ヶ所以上の紹介ネットワークを通じた効率的な顧客獲得、専門性の高い栄養士による「ヘルシー食」など多様な健康食の開発やカウンセリングが強みである。
■20年3月期大幅増益予想
20年3月期の非連結業績予想は、売上高が19年3月期比41.5%増の48億02百万円、営業利益が31.0%増の9億34百万円、経常利益が12.0%増の7億83百万円、純利益が13.5%増の5億01百万円としている。配当予想は3円(期末一括)としている。初配当である。
MFD事業の健康食宅配会員数が増加基調であり、第4四半期に稼働予定の新工場も寄与して大幅増収増益予想である。セグメント別の計画は、MFD事業の売上高が45.9%増の43億42百万円で営業利益が33.2%増の9億87百万円、マーケティング事業の売上高が9.8%増の4億60百万円で営業利益が4.0%増の3億22百万円としている。なお営業外費用で新工場稼働に伴う初期費用の発生を見込んでいる。
第2四半期累計は、売上高が前年同期比1.3%増の16億94百万円、営業利益が24.7%減の2億59百万円、経常利益が24.9%減の2億59百万円、純利益が25.0%減の1億64百万円だった。計画を下回り減益だった。売上高が計画を下回り、新工場の採用に伴う人件費増加も影響して減益だった。MFD事業は会員数が25万人を突破したが計画未達で5.9%増収、6.7%減益だった。マーケティング事業は一部案件の期ズレで計画未達となり32.0%減収、40.1%減益だった。
第2四半期累計の進捗率は期ズレも影響して低水準だが、通期は第4四半期に稼働予定の新工場も寄与して大幅増収増益予想である。通期ベースで収益拡大を期待したい。
■23年3月期営業利益20億円目標
中期経営計画「will2022」では目標値に23年3月期売上高100億円、営業利益20億円、営業利益率20%を掲げている。セグメント別目標は、MFD事業が売上高91億円、営業利益20億円、マーケティング事業が売上高6億円、営業利益4億円、新設予定のメディア事業が売上高3億円、営業利益2億円、営業利益調整の全社費用6億円としている。
MFD事業では、SPA(製造小売業)モデルへの事業構造転換を推進し、圧倒的NO.1の健康食ブランドの確立を目指す。マーケティング事業では、医療機関リコメンドサンプリングを成長ドライバーとして大型契約獲得を推進し、商品力を高めてTVCMと競争できるサービス提供を目指す。新設予定のメディア事業では、ポイント家電を軸に自社の強みを活かした新事業を創出し、第3の収益柱を目指す。
一人暮らし高齢者の増加、生活習慣病患者や食事制限対象者などの増加を背景として、健康食宅配市場の拡大が予想される。従来の食事宅配サービスと一線を画した健康食メニュー開発力などを武器として、中期的に収益拡大基調を期待したい。
■株価は調整一巡
株価は軟調展開で水準を切り下げたが、調整一巡して出直りを期待したい。12月6日の終値は1150円、今期予想PER(会社予想EPS78円52銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想3円で算出)は約0.3%、前期実績PBR(前期実績BPS426円85銭で算出)は約2.7倍、時価総額は約74億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)