加賀電子が半導体輸出入などのエクセル社を子会社化し、負ののれん益約82億円

■富士通エレ、十和田パイオニアに続く戦略買収、中期計画に現実味

 加賀電子<8154>(東1)は12月9日の夕方、液晶等表示デバイス、集積回路、半導体素子、その他の電子部品の輸出入などを行う株式会社エクセル(東京都港区、以下「エクセル社」)の株式取得を発表し、2020年4月1日付で完全子会社になる予定とした。

■エクセル社の売上高は約675億円、純利益は約6億円

 エクセル社の資本金は30.86億円、2019年3月期の売上高は約675億円、親会社株主に帰属する純利益は約6億円。1株当たり配当は26円。取得価額(概算)はアドバイザリー費用等を含めて3.5億円。加賀電子は、これにともなう会計処理として、2021年3月期の連結財務諸表に約82億円を特別利益(負ののれん発生益)として計上する見込みになった。

■EMSビジネス拡充にスピード感ある経営を評価する姿勢が

 エクセル社のグループインにより、とりわけエクセル社が強みを持つ液晶デバイス領域における国内外の有力商材の販売拡大や、エクセル社の保有する中国顧客基盤への販売強化によるシナジー効果などが見込まれるという。顧客ニーズへの対応力が強化され、ひいてはシェア拡大を目指すことが可能になる。

■2021年度の売上高5000億円、営業利益130億円の目標に現実味

 株式の取得については、投資事業や経営コンサルティングなどを行うシティインデックスイレブンス(東京都渋谷区)を通じ、議決権所有割合100.0%を取得する。

 加賀電子は現在、付加価値の高いEMS(受託製造)事業の強化拡充を進めており、2019年に入り富士通エレクトロニクス<非上場>の買収(1月)、十和田パイオニア<非上場>の買収(10月)などと矢継ぎ早に手を打っている。エクセル社のグループインは、これらに続くものになる。

 19日の夕方、この発表を受けた調査筋の中には、同社のスピード感ある経営を高く評価したいと注目を強める姿勢があった。

 エクセル社が業績に寄与するのは来期・2021年3月期からのため、今期・20年3月期の連結業績予想には基本的に変更がない見通し。連結売上高は、富士通エレクトロニクスなどの寄与により4300億円(前期比46.9%の増加)を見込む一方、営業利益は体制構築や事業連携にともなう立ち上げ費用などがあるため70億円(同7.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は50億円(同37.6%減)を想定する。

 今期の利益見通しは、矢継ぎ早な連結化により減益を想定するが、エクセル社のグループインにより、EMSビジネスの事業規模拡大にとどまらずEV(電気自動車)関連事業などの新規事業を取り込む基盤も整うことになるという。

 加賀電子では、現中期計画の到達年度になる2021年度に連結売上高5000億円、営業利益130億円などの目標を掲げている。エクセル社を含めたグループとしての総合力を発揮することにより、この目標達成に向けた蓋然性がまたひとつ高まったとみることができそうだ。

 電子部品商社という業界の再編という大変革期の中にあって、同社は長期的に業界No.1企業、売上高1兆円企業を目指している。株式市場でも、このセクターの中で最も勢いのある銘柄として注目度がさらに強まることになりそうだ。(HC)

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