【株式評論家の視点】日本スキー場開発の今7月期2ケタ増益、株価高値圏で堅調

株式評論家の視点

日本スキー場開発<6040>(東マ)は、上場後の高値5240円に対し27日は4605円と堅調だ。

同社グループは、4月22日に東京証券取引所マザーズに上場。関東甲信越を中心に7スキー場を運営(グループのスキー場は、長野に5か所、群馬に1か所、岐阜に1か所)。収益が低迷するスキー場を買収し、再生させる手法に強みを持ち、スキー場に関する総合コンサルティングを行っている。

同社グループの売上高は、主に同社グループのスキー場へ来場の顧客が利用するリフト券売上高、料飲売上高、レンタル売上高及びその他の売上高から構成され、売上高は来場者数・客単価に応じて変動している。

また、同社グループの業績は、スキー場のウィンターシーズンの営業を開始してから、スキー場のウィンターシーズンの営業を終了するまでの、通常11月から翌年4月にかけて、第2四半期と第3四半期に偏重する季節変動の傾向がある。当社グループのスキー場については、標高が低いスキー場から順に、概ね当初から想定していた時期にウィンターシーズンの営業を終了している。

前期までに取得したスキー場については、来場者実績・客単価実績及び直近の動向を織り込んで、来場者数・客単価を見積もっており、当期に取得しためいほうスキー場については、取得前の来場者実績・客単価実績をもとに来場者数・客単価を見積もっている。具体的にはスキー場全体で来場者数1,804千人(前期比7.6%増)、うち新規のめいほうスキー場は216千人)と見積もっている。

7月期末に向けて、グリーンシーズンの事業を進めているが、今後、グリーンシーズンにおいて、大雨や台風等の天候不順により、想定通り顧客が来場されない等の天候リスクを織り込んで、利益計画を策定している(株式評論家・信濃川)

今7月期・第2四半期業績予想は、売上高29億1300万円、営業利益4億7100万円、経常利益4億4500万円、純利益3億1100万円に着地。

通期業績予想は、売上高57億5000万円(前期比17.1%増)、営業利益9億円(同24.2%増)、経常利益8億5000万円(同13.2%増)、純利益6億3000万円(同30.6%増)を見込んでいる。上場時の新株発行で調達した約1億9700万円はスキー場のリフト整備など設備投資に充てる方針で、今期は無配を予定。支払い能力を勘案して配当時期を検討する見通し。

株価は、4月22日に公開価格3570円を9.9%上回る3925円で初値をつけた後、同23日に高値5240円と上昇。その後、モミ合いとなっている。昨シーズンより取り組んでいる海外営業の成果と円安効果が相まってインバウンドの顧客の来訪が顕在化し、アジア太平洋地域とりわけ豪州、中国、シンガポール、台湾、香港等からの来場者が増加。日本政府観光局(JNTO)がまとめた2015年1~3月の訪日外国人観光客数が、前年同期比43・7%増の413万1400人で、1~3月期としては過去最高となったことから、インバウンド関連人気に乗っている。

同社では外国人スタッフを交えた専属チームを組成し、各国観光業への販路を開拓中のほか、白馬観光開発株式会社の旅行代理店部門を含め、外国人採用を推進する方針で、国内からだけではなく、世界から日本のスキー場へ集客を図るインバウンド戦略を打ち出しており、訪日外国人観光客数の増加を背景に成長が続くと予想される。また、スキーシーズンだけではなく、グリーンシーズン(夏・秋)も集客を図るオールシーズン収益化戦略や、スキー場・関連事業の継続的な取得による業容拡大が期待される。インバウンド関連というテーマに乗っており人気が継続する可能性もありそうだ。

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