綿半ホールディングスは売られ過ぎ感、20年3月期2桁営業・経常増益予想

 綿半ホールディングス<3199>(東1)はホームセンター中心の小売事業、および建設事業、貿易事業を展開している。20年3月期2桁営業・経常増益予想である。収益拡大を期待したい。株価は年初来安値圏だが売られ過ぎ感を強めている。調整一巡して出直りを期待したい。

■小売事業、建設事業、貿易事業を展開

 ホームセンター中心の小売事業、および建設事業、貿易事業を展開している。19年3月期セグメント別売上高構成比は小売事業が63%、建設事業が32%、貿易事業が4%、その他が0%、営業利益構成比は小売事業が31%、建設事業が46%、貿易事業が21%、その他が3%だった。

■小売事業はEDLP×EDLC戦略を推進

 小売事業は、綿半ホームエイドが長野県を中心にスーパーセンター業態とホームセンター業態、綿半フレッシュマーケットが愛知県を中心に食品スーパー業態、綿半Jマートが関東甲信越エリアにホームセンター業態を展開している。

 18年12月家電・パソコン通販サイト「PCボンバー」を運営するアベルネットを子会社化、19年4月長野県内で「お茶元みはら胡蝶庵」を展開する丸三三原商店を子会社化(19年11月社名を綿半三原商店に変更予定)、19年8月戸建木造住宅FC事業を展開するサイエンスホーム(浜松市)を子会社化した。

 M&Aも活用したエリア拡大と売場面積拡大、EDLP(エブリデー・ロー・プライス)×EDLC(エブリデー・ロー・コスト)戦略、綿半パートナーズによるグループ商品仕入原価低減とPB商品共同開発・相互供給、全社を一本化する新基幹システムの導入と物流改革などを推進している。

■建設事業は長尺屋根工事や自走式立体駐車場工事に強み

 建設事業は、綿半ソリューションズが建築・土木・住宅リフォーム工事、鉄骨・鋼構造物の加工・製造などを展開し、長尺屋根工事および自走式立体駐車場工事を強みとしている。

 長尺屋根工事では工場の操業を止めずに老朽化した屋根の改修工事を行うWKカバー工法で特許を取得し、自走式立体駐車場工事では柱の少ない「ステージダブル」など国土交通省の認定を多数有している。19年9月には、ららぽーと愛知東郷町(仮称)に併設される立体駐車場建設工事を受注した。

■貿易事業はジェネリック医薬品向け天然原料などを輸入販売

 貿易事業は、医薬品・化成品向け天然原料輸入専門商社の綿半トレーディングが展開している。

 ジェネリック医薬品向けアセトアミノフェン(解熱鎮痛剤)や、メキシコ特産でヘアワックス・口紅などに使用するキャンデリラワックス(取り扱い数量国内1位)など特定分野に強みを持ち、製造部門はHMG(ヒト尿由来の排卵障害治療薬)原薬を製造して医薬品メーカーに販売している。

■小売事業は既存店売上と店舗網拡大、建設事業は工事採算に注目

 小売事業は既存店売上高、M&Aも活用した店舗網拡大戦略、新業態開発戦略が注目される。建設事業は基本的には第4四半期の構成比が高い季節要因だが、大型案件の動向や個別案件の工事採算動向で利益率が変動する。

■20年3月期2桁営業・経常増益予想

 20年3月期の連結業績予想は、売上高が19年3月期比7.3%増の1142億45百万円、営業利益が13.0%増の26億73百万円、経常利益が12.2%増の28億11百万円、純利益が1.7%増の16億40百万円としている。配当予想は1円増配の34円(期末一括)である。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比19.8%増の588億46百万円、営業利益が2.8%増の9億34百万円、経常利益が3.5%増の10億13百万円、純利益が16.6%減の5億51百万円だった。

 小売事業のM&Aや消費増税前駆け込み需要も寄与して大幅増収だった。利益面では建設事業が鋼材価格の上昇や採算性の低い案件の増加などで減益だったが、小売事業の増収効果が牽引し、全体として営業・経常増益だった。小売事業は22.4%増収で34.2%増益、建設事業は8.1%増収だが87.7%減益、貿易事業は高利益率商品の前倒し販売で34.4%増収・99.7%増益だった。なお建設事業の受注残高は41.1%増加している。

 通期のセグメント別計画(期初計画を一部組み替え)は、小売事業はM&Aやコスト削減などで売上高が11.0%増の750億百万円、利益が42.9%増の16億60百万円としている。建設事業は上期実績を踏まえて売上高が1.1%減の335億円、利益が前期並みの15億円としている。貿易事業は新原料の市場投入などで売上高が14.6%増の53億60百万円、利益が7.4%増の7億70百万円としている。収益拡大を期待したい。

 小売事業の月次売上(速報値)を見ると、19年11月は全店115.1%、既存店98.0%だった。全店は前年の可児店オープンセールの反動があったが、18年12月子会社化したアベルネットも寄与した。既存店売上は消費増税前駆け込み需要の反動が残り、2ヶ月連続の前年比マイナスだった。なお19年4月~11月累計は全店120.7%、既存店99.0%となった。

■景気に左右されない安定・成長性のある事業構造を目指す

 中期ビジョンでは基本方針に「時代の変化に対応し、景気に左右されない安定・成長性のある事業構造を創り上げる」を掲げ、多様性のある経営人財の育成、IT化推進による経営改革、M&A推進のための財務体質強化、長期を見据えた海外展開の準備に取り組んでいる。

 新中期経営計画では、目標値に22年3月期売上高1200億円(小売事業790億円、建設事業350億円、貿易事業58億円、その他2億円)、経常利益32億円を掲げている。小売事業では既存店売上を維持しながら、ネット通販など販売手法の多様化も推進する。コスト面では新決済システムや物流改革による効率化を推進する。新規出店は3年間で売場面積4500坪拡大を目指す。建設事業は新製品開発や工場ロボット化による生産性向上、貿易事業は天然原料の新製品投入や販路拡大で収益力向上を目指す。

■株主優待制度は9月末の株主対象

 株主優待制度は、毎年9月30日現在の1単元(100株)以上保有株主を対象として、信州特産品や綿半ホームエイドPB商品詰め合わせなど(1点選択)を贈呈する。

■株価は売られ過ぎ感

 株価は年初来安値圏だが売られ過ぎ感を強めている。調整一巡して出直りを期待したい。12月16日の終値は1930円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS166円30銭で算出)は約12倍、今期予想配当利回り(会社予想34円で算出)は約1.8%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1488円41銭で算出)は約1.3倍、時価総額は約191億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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