【編集長の視点】第一稀元素は反落も業績下方修正を織り込み下値に売られ過ぎ修正買いが継続

第一稀元素化学工業<4082>(東1)は、前日16日に11円安の882円と反落して引けた。日経平均株価が、前週末13日の598円高から一転して70円安と反落したことから、直近安値から100円超の底上げ途上にある同社株も目先の利益を確定する売り物に押された。ただ、取引時間中の安値876円から引き戻して引けており、今年11月14日の今2020年第2四半期(2019年4月~9月期、2Q)累計決算の開示に際して、3月通期業績を下方修正し連続減益率が悪化したことは、織り込み済みとして下値に売られ過ぎ修正買いが依然として続いた。米中貿易協議の第一段階が合意されて、中国景気の減速懸念が後退し、国内証券が、同社の現在推進中の中期経営計画を評価し強気の投資判断で新規にカバーを開始したことも、フォローの材料視されている。

■5年間で400億円の設備投資を積極化し最終年度の経常利益50億円を目指す

 同社の今3月期通期業績は、2Q累計業績が期初予想を下ぶれて着地したことに伴い、売り上げが期初予想より12億円、利益が4億円~5億円引き下げられ、売り上げ278億円(前期比1.1%増)、営業利益36億円(同14.7%減)、経常利益35億円(同18.8%減)、純利益24億円(同22.4%減)と予想されている。2Q売り上げは、販売数量が前年同期比3.3%減となったのを販売製品構成による収益差や平均単価が上昇したことでカバーして前年度同期比0・8%増と連続増収をキープした。利益は、世界最大の自動車市場となった中国の販売不振の影響などにより世界の自動車販売が減少して、主力商品に自動車排ガス浄化触媒用途向け製品が伸び悩み、電子材料用途向け製品も、中国経済減速で減少、販売管理費の増加、為替の影響も重なって、前年同期比19.5%営業減益、26.9%経常減益、27.7%純益減益と減益転換した。なお今期配当は、年間20円(前期実績19円)と連続増配を予定している。

 一方、2019年3月期から2023年3月期を最終年度として進めている中期経営計画では、「永続的にジルコニウムのリーディングカンパニーであり続けるためのプロジェクト」を推進するために、この間に約400億円の設備投資を計画、生産能力の増強、研究開発の強化、市場開拓などを計画している。このうち約65億円を投資して江津事業所の隣接地に建設する新工場棟は、第1期が2020年3月、第2期が2020年8月に稼働開始を予定している。中期計画の最終年度には売り上げ420億円、経常利益50億円を数値目標に設定している。目内証券は、この中期計画効果により業績が上向くと評価して、投資判断を最上位の「A」、目標株価を1070円として新規カバーを開始した。

■ボックス上限抜けもPERは8倍台、PBRは0.7倍となお割り負け

 株価は、今期業績の連続減益予想で下ぶれた年初来安値704円から売られ過ぎとして904円までリバウンド、以来、5カ月間700円台央を下限、800円台央を上限として100円幅のボックス往来、国内証券が、最上位投資判断を格付けしたことが続きこの上限を上抜き年初来高値926円に肉薄し売り買い交錯となっている。PERは8倍台、PBRは0.78倍、配当利回りは2.26%となお売られ過ぎを示唆しており、年初来高値抜けから国内証券の目標株価をクリア、2018年11月高値1176円が次の上値フシとして意識されよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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