【注目銘柄】シャノンの19年10月期通期業績は17年1月の上場以来、初の黒字決算で着地

◇利益面については当初予想を上回る

 シャノン<3976>(東マ)の19年10月期通期業績は、17年1月の上場以来、初の黒字決算で着地した。利益面については、当初予想を上回る結果となった。

 同社は、企業のマーケティング課題を解決するマーケティングクラウドのリーディングカンパニーとして、顧客から最も信頼される企業を目指すことをビジョンとして掲げている。

 19年10月期通期の売上高は当初想定を少し下回ったものの、最重要課題として取り組んでいるサブスクリプション売上は当初想定を上回った。また、賃借料や広告宣伝費が増加した一方で、業務の効率化等により、人件費は想定よりも低く抑えられた。

 その結果、19年10月期通期連結業績は、売上高18億55百万円(前年同期比2.9%増)、営業利益36百万円(前年△31百万円)、経常利益26百万円(同△30百万円)、純利益24百万円(同△31百万円)と増収増益で黒字転換となった。

 売上高の内訳は、マーケティングオートメーション(MA)13億01百万円(前年比10.9%増)、イベントマーケティング(EM)5億54百万円(同12.0%減)であった。

 マーケティングオートメーション(MA)が2ケタの増収となった要因は、MAサブスクリプションの売上が8億53百万円(同20.5%増)と当初想定を上回る伸びとなったことによるもの。

 また、イベントマーケティング(EM)が2ケタの減収となっているが、当初計画では売上高5億52百万円としていたことから、計画を02百万円上回っての着地といえる。

  直近の話題としては、同社のプレス用来場システム「SHANON MARKETING PLATFORM」が「第46回東京モーターショー2019」に採用されたことが挙げられる。

 「SHANON MARKETING PLATFORM」は、マーケティングの統合データ管理・活用を実現するクラウドアプリケーションで、申込フォームや告知サイトの作成、セミナーやイベントでの申込・来場管理、名刺情報管理、キャンペーン運営業務やメール配信など、マーケティング業務全般の一元的な実施・管理を実現する。

 以上のように、19年10月期は売上高は計画を下回ったものの、利益は計画を上回るほど好調に推移した。続く今期20年10月期については、前期に続き増収増益を見込む。

 ちなみに、20年10月期連結業績予想は、売上高19億50百万円(前期比5.1%増)、営業利益50百万円(同36.4%増)、経常利益46百万円(同73.2%増)、純利益40百万円(同62.5%増)と増収大幅増益を見込む。

 同社では、中長期の収益基盤となるMAサブスクリプション売上高を増加させていくことが当面の最重要課題としている。なお、20年10月期では年間のサブスクリプション売上高が10億円前後まで拡大すると見込んでいる。

 12月17日に決算説明会が開催された。今期20年は東京オリンピックの開催で、ビッグサイトがその時期使えなくなるので、イベントの開催件数が減少するのではないかというアナリストからの質問に対して、代表取締役社長中村健一郎氏は、以下のように答えた。

 「オリンピックの影響でイベントの開催が減るのではないかと言われますが、実際は、現在見えている範囲では、ビッグサイトがその時期に完全にメディアセンターとして使われるので、その時期には使えなくなります。そのため、展示会はかなり減るのではないかと言われています。しかし、全体的には、減る分が前後に散ってしまい、春先に先行して開催するか、秋以降にずれ込んで開催するように聞いています。したがって、開催そのものを取りやめてしまうということは聞いていませんので、減少するとは思っていません。

 イベントの数としては、ビッグサイトで行う規模でできないので、小規模になるというのはあるかもしれません。しかし、私共のサービスの提供のスタイルとしては規模によって売上額が大きく左右されるということはあまりありません。どちらかというと、イベント自体は、基本的にはこなされているように見えています。全体感としては、主力どころではプライベートショーのように、企業様が主体となってホテルで行うようなイベントが多く、活況になるととらえています。様々なホテルを確保してのイベント開催が多く、日程・場所の確保がますます難しくなっています。そのような状況なので、イベントマーケットは比較的活況になるとみています。」

 中期計画では、2020年代前半に売上50億円を達成し、2020年代後半には100億円の達成を目指すとしている。

 マーケティングオートメーション市場は、今後、年々拡大し、2018年の約90億円から5年後の2023年には180億超の市場に拡大する(出典:富士キメラ総研)と予想されることから、リーディングカンパニーとして、同社の業績の急拡大が期待される。

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