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Jトラストは下値固め完了、19年12月期(決算期変更)営業黒字予想
- 2019/12/24 05:17
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
Jトラスト<8508>(東2)は日本、韓国・モンゴル、およびインドネシアを中心とする東南アジアで金融事業を展開している。19年12月期(決算期変更で9ヶ月決算)営業黒字予想である。収益改善を期待したい。株価は下値固め完了して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。
■日本、韓国・モンゴル、インドネシア中心に金融事業を展開
日本、韓国・モンゴル、およびインドネシアを中心とする東南アジアで、金融事業(銀行、信用保証、債権回収、クレジット・信販、その他の金融)を展開している。銀行業を中心とする持続的な利益拡大を目指し、M&Aや債権承継などを積極活用して事業基盤を強化している。
19年3月期のセグメント別営業収益構成比は、日本金融事業が14%、韓国・モンゴル金融事業が53%、東南アジア金融事業が17%、総合エンターテインメント事業が2%、不動産事業が9%、投資事業が1%、その他事業が4%だった。
日本金融事業は日本保証、Jトラストカード、パルティール債権回収など、韓国およびモンゴル金融事業はJT親愛貯蓄銀行、JT貯蓄銀行、JTキャピタル、TA資産管理、モンゴルのファイナンス事業会社CCIなど、東南アジアは金融事業をJトラスト銀行インドネシア、投資事業をJトラストアジアが展開している。
19年4月にはSAMURAI&JPARTNERS<4764>が発行する新株予約権を引き受けて業務提携、19年8月にはカンボジアの商業銀行ANZRoyalBankを子会社化(商号変更してJTRB)した。19年11月にはクラウドファンディングによる東南アジア金融事業に対する資金調達を発表した。東南アジア金融事業のインドネシア部門においてスピーディに事業成長するための資金として活用する。
なおJトラストアジアは、東南アジアにおけるリテール分野への進出を企図して販売金融事業のタイGL社に出資するとともに、タイGL社と共同でインドネシアに割賦販売金融事業のGLFI社(出資比率20%)を設立したが、17年10月タイGL社CEOである此下益司氏がタイSECから偽計および不正行為で刑事告発されたため、現在はタイGL社、此下益司氏およびGLの関連取締役に対して、刑事告発手続き、会社更生法申し立て・補償請求・賠償請求などの訴訟を提起している。19年8月、破産裁判所がタイGL社に対する会社更生申し立てを却下したが、控訴の準備を進めている。
総合エンターテインメント事業と不動産事業は子会社のKeyHolder<4712>が展開している。KeyHolderは18年3月、子会社アドアーズの全株式を譲渡してアミューズメント施設運営から撤退し、ライブ・エンターテインメント事業で新たな収益柱の構築を目指している。
■収益はM&A・事業再編・不良債権処理などで変動
収益はM&A・事業再編・不良債権処理などで大幅に変動する可能性がある。利益配分については、将来の経営環境や業界動向を総合的に勘案しながら、積極的な利益還元を図ることを基本方針としている。
■19年12月期(決算期変更で9ヶ月決算)営業黒字予想
19年12月期連結業績(IFRS、決算期変更で9ヶ月決算)予想は、営業収益が643億97百万円、営業利益が61百万円の黒字(19年3月期は326億円の赤字)、親会社所有者帰属純利益が11億18百万円の赤字(同361億07百万円の赤字)としている。投資事業における通常発生する損益以外の影響額は織り込んでいない。配当予想は6円減配の1円(期末一括)である。
第2四半期累計(4~9月)は営業収益が前年同期比0.7%減の363億07百万円、営業利益が4.7倍の1億18百万円、親会社所有者帰属純利益が12億79百万円の赤字(前年同期は21億82百万円の赤字)だった。
M&A費用や訴訟関連費用などが増加したが、負ののれん発生益などでカバーして営業利益は大幅増益だった。純利益は為替差損益の悪化などで赤字(前年同期比では赤字縮小)だった。
第2四半期累計の進捗率は営業収益56.4%、営業利益194.6%と順調である。通期は、日本および韓国・モンゴルの金融事業がアセットの積み上げや良質化などで順調に推移する。また東南アジア金融事業では、18年10月子会社化したJTOとのジョイントファイナンスを中心とした業容拡大を目指すとしている。収益改善を期待したい。
■株価は下値固め完了
株価は11月末に急伸する場面があった。下値固め完了して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。12月23日の終値は436円、今期予想配当利回り(会社予想1円で算出)は約0.2%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS983円96銭で算出)は約0.4倍、時価総額は約503億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)