【編集長の視点】綿半HDは年初来安値から続伸、ネット通販とリアル店舗の強化をテコに売られ過ぎ訂正

綿半ホールディングス<3199>(東1)は、前日23日に8円高の1943円と続伸して引け、12月19日につけた年初来安値1921円から底上げした。12月10日に発表した今年11月の月次動向で、ネット通販の強化で全店売上高が12カ月連続でプラスとなり、リアルの店舗の強化でも今年11月に綿半スーパーセンター豊科店にいけすを設置、生きた状態の魚介類の販売を始めるなど差別化戦略を推進していることなどを手掛かりに、売られ過ぎ訂正買いが増勢となった。今2020年3月期業績も5期連続で過去最高を更新し、配当も5期連続で増配を予定している好実態も見直されている。

■ネット通販ではM&A効果、リアル店舗ではいけす導入で差別化戦略

 同社の11月月次動向は、既存店売上高が、今年10月の消費税増税の反動減により日用品などが伸び悩み前年同月比2.0%減となったが、全店売上高は、15.1%増と昨年12月以来12カ月連続して前年同月を上回り、今2020年3月期に入った今年4月から11月までの8カ月累計でも前年度同期比20.7%増と前年を大きく上回った。昨年11月にネット通販の老舗企業アベルネットを連結子会社化し、この寄与分が昨年12月から上乗せとなり、家電製品・パソコンを中心にこの相乗効果を上げたことが要因となっている。

 ネット通販に加えてリアル店舗での差別化戦略も強化している。綿半スーパーセンター豊科店に設置したいけすがその代表例で名古屋や新潟の市場から魚介類を生きた状態で直送、「海なし県」の長野県でいけすのなかで泳ぐ魚介類を加工調理して集客力と店舗競争力を強める。2020年3月末までに14店舗のうち、レイアウト上導入が難しい店舗を除きほぼ全店舗に設置する計画である。

 一方、今2020年3月期通期業績は、売り上げ1142億4500万円(前期比7.3%増)、営業利益26億7300万円(同13.0%増)、経常利益28億1100万円(同12.2%増)、純利益16億4000万円(同1.7%増)と予想され、5期連続で過去最高を更新する。小売事業の売り上げ続伸や相次ぐM&A効果に加え、チラシの削減や商品点数の絞り込みなどを中心とするEDLC(エブリデイ・ロー・コスト)戦略の継続推進が寄与する。また今期の年間配当も、34円(前期実績33円)と5期連続の増配を予定している。

■PER11倍の底値水準から25日線を上抜き年初来高値を目指す

 株価は、台風被害の復旧・復興需要や消費税増税前の駆け込み需要などを期待してつけた2100円台の高値から増税後に1940円へ調整、今期第2四半期の続伸業績を評価して再び2100円台にタッチしたものの、相場全般のハイテク株買い・ディフェンシブ株売りの波及で25日移動平均線に上値を抑えられ年初来安値1921円まで再調整した。PERは11倍台と売られ過ぎを示唆しており、25日線の1986円奪回で弾みをつけ、今年7月の年初来高値2576円を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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